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読む前に押さえたいこと
「患者さんの言葉はSだと分かるけれど、表情や家族の話はどこ?」「Aに何を書けば、ただのデータの繰り返しにならない?」と迷うのは自然なことです。SOAPは四つの枠を埋める課題ではなく、患者の体験と観察事実から現在の状態を考え、次の看護へつなげる記録法です。この記事では、S・O・A・Pの境界、AとPの組み立て方、架空の実習記録例、報告や個人情報の注意点を順に説明します。読み終えるころには、患者の変化と次の看護がつながるSOAPを自分で組み立てられるようになります。
SOAPは「情報から次の看護まで」をつなぐ経過記録
この章の要点SOAPは、S(Subjective:主観的データ)、O(Objective:客観的データ)、A(Assessment:情報の解釈・評価)、P(Plan:次の計画)に分ける経過記録の一方法です。大切なのは、順番どおりの文章量ではなく、S・O→A→Pの判断の筋道が読む人に追えることです。[厚生労働省の検討会配布資料](https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/dl/s1005-14d.pdf)と[Open RNの初学者向け教材](https://wtcs.pressbooks.pub/nursingfundamentals/chapter/2-5-documentation/)でも、この四要素が同じ方向で整理されています。
日本看護協会は、看護記録の目的を「看護実践を証明する」「継続性と一貫性を担保する」「評価と質向上を図る」ことと示しています。つまりSOAPは、文章のうまさを示すためではなく、その時の判断と行動を次の担当者に渡すためのものです。[日本看護協会「看護記録に関する指針」](https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf)は、経過記録の方法や項目は各施設で設定するとしています。SOAP、SOAPIE、DAR、フローシートなどの使い分けは、まず学校・実習施設の基準を確認しましょう。
S:Subjective
- 短い意味
- 主観的情報
- 主な内容
- 患者・家族が感じ、考え、訴えたこと
- 自分への問い
- 本人は何と言っているか
O:Objective
- 短い意味
- 客観的情報
- 主な内容
- 観察、測定、検査、実際の行動、実施した援助と反応
- 自分への問い
- 自分は何を見て、測り、確認したか
A:Assessment
- 短い意味
- 査定・評価
- 主な内容
- SとOの意味づけ、状態の判断、目標の達成状況
- 自分への問い
- この情報は何を意味するか
P:Plan
- 短い意味
- 計画
- 主な内容
- 次の観察、援助、説明、報告、再評価
- 自分への問い
- 次に何を確認し、どうつなぐか
| 項目 | 短い意味 | 主な内容 | 自分への問い |
|---|---|---|---|
| S:Subjective | 主観的情報 | 患者・家族が感じ、考え、訴えたこと | 本人は何と言っているか |
| O:Objective | 客観的情報 | 観察、測定、検査、実際の行動、実施した援助と反応 | 自分は何を見て、測り、確認したか |
| A:Assessment | 査定・評価 | SとOの意味づけ、状態の判断、目標の達成状況 | この情報は何を意味するか |
| P:Plan | 計画 | 次の観察、援助、説明、報告、再評価 | 次に何を確認し、どうつなぐか |
S・O・A・Pは「誰の言葉か、確かめた事実か、自分の解釈か、次の行動か」で分ける
この章の要点分類に迷ったら、その文が「患者・家族が伝えたこと」「観察・測定・照合したこと」「そこから考えたこと」「次にすること」のどれかを問います。事実と解釈を分けると、SとOだけでなく、OとAの混同も減ります。
S
- 判断する問い
- その人は何と話し、何を感じているか
- 書く内容
- 症状、気持ち、希望、自覚、家族等の発言
- 混ぜない内容
- 観察者の解釈や医学的判断
O
- 判断する問い
- 何を見、聞き、触れ、測り、記録で確認したか
- 書く内容
- バイタルサイン、身体所見、行動、検査結果、実施後に確認した反応
- 混ぜない内容
- 「不安が強い」「状態が悪い」など根拠の見えない解釈
A
- 判断する問い
- SとOを組み合わせると、現在の状態をどう捉えられるか
- 書く内容
- 状態、変化、関連要因、危険性、強み、目標の達成度、追加確認の必要性
- 混ぜない内容
- S・Oの単なる転記、根拠のない診断
P
- 判断する問い
- Aを受けて、誰が何をし、何で効果を見るか
- 書く内容
- 観察、援助、説明、報告・連携、実施条件、再評価の時期と項目
- 混ぜない内容
- Aと無関係なルーチン、「経過観察」だけの抽象的な計画
| 項目 | 判断する問い | 書く内容 | 混ぜない内容 |
|---|---|---|---|
| S | その人は何と話し、何を感じているか | 症状、気持ち、希望、自覚、家族等の発言 | 観察者の解釈や医学的判断 |
| O | 何を見、聞き、触れ、測り、記録で確認したか | バイタルサイン、身体所見、行動、検査結果、実施後に確認した反応 | 「不安が強い」「状態が悪い」など根拠の見えない解釈 |
| A | SとOを組み合わせると、現在の状態をどう捉えられるか | 状態、変化、関連要因、危険性、強み、目標の達成度、追加確認の必要性 | S・Oの単なる転記、根拠のない診断 |
| P | Aを受けて、誰が何をし、何で効果を見るか | 観察、援助、説明、報告・連携、実施条件、再評価の時期と項目 | Aと無関係なルーチン、「経過観察」だけの抽象的な計画 |
Sは患者の体験を「誰が、いつ、どんな条件で」話したかが分かるように書く
この章の要点Sには、痛み、息苦しさ、吐き気、不安、希望など、主に本人が言葉で伝える主観的データを書きます。「痛い」と言った事実は患者の体験に関する情報であり、体温計のように第三者が同じ値を測れないからといって、価値の低い情報ではありません。
患者の表現は、意味を変えない範囲で必要部分をかぎ括弧に入れると、解釈と分けやすくなります。ただし、会話の全文転記は不要です。焦点と判断に関係する言葉を選び、発言時の姿勢、動作、食事前後などの条件を残します。例えば「痛い」だけより、「立ち上がると傷が引っ張られて痛い」のほうが次の観察につながります。
家族、付添い者、他の職種から得た言葉を書く場合は、「妻は『昨夜はほとんど眠れていない』と話した」のように情報源を明らかにします。家族の発言は、家族から得た二次的な主観情報です。本人の体験と断定せず、Oで確認できる所見と合わせて考えます。
Oは再確認できる事実を「数値・時刻・条件・変化」とともに書く
この章の要点Oには、観察・測定した所見、検査結果、実際の行動など、他者が同じ条件で再確認できる客観的データを書きます。「元気がない」は解釈ですが、「呼びかけに開眼し、質問へ1〜2語で返答。朝食は主食2割、副食1割摂取」なら事実が伝わります。
数値は値だけでなく、できる範囲で測定時刻、体位、安静時か動作後か、酸素投与の有無など、解釈に必要な条件を添えます。検査値や他者の記録から得た情報は、実施日時や情報源を確認します。また、1回の値だけで安定・悪化と断定せず、その人の前値、平常時、目標、他の所見と組み合わせます。
「不安が強い」「脱水傾向」「転倒リスクが高い」はOではなくAに属する表現です。Oでは「同じ質問を5分間に3回繰り返す」「飲水量は8時から12時まで100mL」「立位直後にふらつき、手すりを握る」と書き、その意味はAで検討します。事実の言語化がOの中心です。
AはSとOを繰り返す欄ではなく、変化の意味と次に優先することを示す
この章の要点Aは、関連するSとOを統合して、患者の現在の状態、目標からの差、原因として考えられること、今後の危険性や強みを書く欄です。根拠のある解釈にするため、次の順で考えると整理しやすくなります。
- 焦点となる状態や変化を一言で示す。
- そう考えたSとOの根拠を選ぶ。
- 前値、平常時、目標、関連する病態や生活背景と比較する。
- 現在の優先課題と、追加で確認すべき情報を示す。
例えば「S:動くと痛い。O:立位時に顔をしかめ、創部を手で支える」に対し、Aを「創部痛あり」だけで終えると情報の言い換えです。「安静時より立位時に痛みが強まり、表情と創部を支える行動もみられるため、動作時痛が離床を制限している可能性がある」とすれば、根拠と意味がつながります。
看護学生は、根拠が足りない病態や医学診断を断定しないことも大切です。「肺炎である」と断定する代わりに、確認できた情報から「呼吸状態の変化があり、原因の評価が必要」とし、ただちに指導者・担当看護師へ報告します。分からない点を明示することも、安全なアセスメントの一部です。
PはAに対する次の行動と、その効果を何で確かめるかまで書く
この章の要点Pには、Aで明らかにした課題に対して、観察、援助、患者への説明、報告・連携、再評価をどう進めるかを書きます。「経過観察する」では、何を見て計画の継続・変更を判断するかが伝わりません。実行可能な具体性が必要です。
Pを作るときは、①何を確認するか、②いつ・どの条件で行うか、③誰と行うか、④どの変化を誰に報告するか、⑤実施後に何を比べるか、を点検します。例えば「痛みを観察する」より、「次回離床前に安静時と動作時の痛み、めまい、悪心、創部の出血の有無を確認し、離床後に同じ項目と歩行距離を再評価する」のほうが、判断に使える計画です。
学生が独断で治療、投薬、離床範囲を変更する計画は書けません。既存の指示と看護計画を確認し、指導者・担当看護師と実施する内容として書きます。また、実施した援助をI(Intervention)、その反応をE(Evaluation)に分けるSOAPIEを用いる場合があります。PとI・Eの区分は学校・施設の指定に従ってください。
SOAPは「書き始める前に焦点を決める」と短くてもつながる
この章の要点いきなりS欄から埋めるより、まず「どの健康問題や目標の経過を書くのか」を決めます。1つの焦点に関連する情報を選ぶと、記録は短くても判断の流れが見えます。
- 看護問題、目標、その日の患者の課題から焦点を1つ決める。
- 焦点に関係するSとOを、時間・条件・前値とともに集める。
- SとOを「情報が一致する」「ずれる」「不足する」に分ける。
- Aを「現在の状態→根拠→意味・要因→優先課題」の順で作る。
- Aに対するPを「次の観察・援助・報告→再評価」まで作る。
- 最後に、Aの各文にSまたはOの根拠があるか、Pの各項目がAに答えているかを逆向きに確認する。
この順序は、看護実践を観察・査定、課題の明確化、計画、実行、評価として記録する[日本看護協会の原則](https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf)とつながります。重要なのは、情報をすべて移すことではなく、「このAとPを支える情報は何か」を考えて関連情報を選ぶことです。
架空例:腹部手術後の離床と動作時痛をSOAPで記録する
この章の要点次は、SOAPのつながりを学ぶための架空の学習例です。実在の患者の情報ではありません。実習先の指示、術式、合併症、安静度、鎮痛計画で判断は変わるため、そのまま写さず、分け方の見本として読んでください。
場面は、成人患者の腹部手術後2日目。担当看護師が当日の離床可能範囲を確認済みで、学生は担当看護師とともに歩行を支援します。焦点は「#1 動作時痛と離床への不安」。この例の学校様式では、実施した歩行とその反応をOの経過に含める設定とします。SOAPIE指定なら、歩行介助はI、実施後の反応はEに分けます。
S
- 記録例
- 9:50「起きると傷が引っ張られて痛い。歩くのが怖い」。痛みは施設で使用する0〜10の数値評価尺度(NRS)で安静時2、立位時5と返答。
O
- 記録例
- 9:50 臥位で表情は穏やか。ドレッシング材に新たな滲出なし。歩行前は血圧124/76 mmHg、脈拍76回/分、SpO₂97%。9:55 立位時に顔をしかめ、創部に手を添える。めまい・悪心なし。10:00 担当看護師の1人介助と歩行器で病室前10 mを歩行し、1回停止。歩行後は血圧128/78 mmHg、脈拍84回/分、SpO₂97%。創部出血なし。
A
- 記録例
- 安静時より立位時に痛みが強まり、しかめ面と創部を支える行動がみられるため、動作時痛と痛みへの不安が離床の負担となっている。一方、めまい・悪心や創部出血はみられず、1人介助で10 mの歩行は完了できた。次回は既存の鎮痛計画と活動時刻を担当看護師と調整し、痛みと歩行の反応を再評価する必要がある。
P
- 記録例
- 上記S・O・Aを担当看護師と実習指導者に報告する。次回離床前に安静時・動作時の痛み、表情、めまい、悪心、創部の状態を確認する。指示された鎮痛薬の実施状況と効果発現を担当看護師に確認し、安全な離床時刻を相談する。次回も担当看護師と実施し、歩行距離、介助量、痛み、バイタルサイン、創部、患者の言葉を実施後に再評価する。痛みの急な増強、新たな出血、めまい、呼吸困難感などの変化時は離床を中止し、ただちに担当看護師へ報告する。
| 項目 | 記録例 |
|---|---|
| S | 9:50「起きると傷が引っ張られて痛い。歩くのが怖い」。痛みは施設で使用する0〜10の数値評価尺度(NRS)で安静時2、立位時5と返答。 |
| O | 9:50 臥位で表情は穏やか。ドレッシング材に新たな滲出なし。歩行前は血圧124/76 mmHg、脈拍76回/分、SpO₂97%。9:55 立位時に顔をしかめ、創部に手を添える。めまい・悪心なし。10:00 担当看護師の1人介助と歩行器で病室前10 mを歩行し、1回停止。歩行後は血圧128/78 mmHg、脈拍84回/分、SpO₂97%。創部出血なし。 |
| A | 安静時より立位時に痛みが強まり、しかめ面と創部を支える行動がみられるため、動作時痛と痛みへの不安が離床の負担となっている。一方、めまい・悪心や創部出血はみられず、1人介助で10 mの歩行は完了できた。次回は既存の鎮痛計画と活動時刻を担当看護師と調整し、痛みと歩行の反応を再評価する必要がある。 |
| P | 上記S・O・Aを担当看護師と実習指導者に報告する。次回離床前に安静時・動作時の痛み、表情、めまい、悪心、創部の状態を確認する。指示された鎮痛薬の実施状況と効果発現を担当看護師に確認し、安全な離床時刻を相談する。次回も担当看護師と実施し、歩行距離、介助量、痛み、バイタルサイン、創部、患者の言葉を実施後に再評価する。痛みの急な増強、新たな出血、めまい、呼吸困難感などの変化時は離床を中止し、ただちに担当看護師へ報告する。 |
実習記録例は「Aの一文ずつに根拠を戻す」と読み解ける
この章の要点例文のAは、どのS・Oから導いたかを逆に追うことができます。「動作時痛が負担」という判断は、安静時と立位時のNRS、患者の言葉、しかめ面、創部に手を添える行動から導いています。「歩行は完了できた」は、10 m歩行した事実から評価しています。Aと根拠の対応が明確です。
ただし、歩行前後の数値のみで「安全」と断定することはできません。患者の症状、創部、意識、介助量、個別の指示を組み合わせる必要があります。そのためPは、単に「歩行を継続」とせず、次回の実施条件と前後の再評価を組み込んでいます。
また、新たな出血や呼吸困難感など、安全に関わる変化が出たときは、SOAPを完成させてから報告するのではありません。まず行動を中止して患者を安全な状態にし、指導者・担当看護師に報告します。安全確保は記録より先です。
SOAPでよくある間違いは「曖昧な言葉」を根拠と再評価に置き換える
この章の要点よくあるNGは、文章が短いことではなく、読んだ人が事実、判断理由、次の行動を確認できないことです。曖昧語の具体化と、S・O→A→Pの対応を点検しましょう。
S:疼痛あり
- 問題点
- 患者の言葉、程度、条件が不明
- 直し方の例
- S:「寝返りで右膝がズキッと痛む」。安静時NRS1、寝返り時4
O:不安が強い
- 問題点
- 「不安」は解釈
- 直し方の例
- O:退院後の生活について同じ質問を10分間に3回行い、両手を握りしめる
O:食欲不振
- 問題点
- 何をどれだけ摂取したか不明
- 直し方の例
- O:昼食は主食2割、副食1割。食事中断1回、嘔吐なし
A:状態は安定している
- 問題点
- 何がどの基準で安定か不明
- 直し方の例
- A:安静時の呼吸困難感はなく、呼吸数とSpO₂は前回と同程度。ただし歩行時は息切れが出現するため、活動時の継続評価が必要
A:脱水である
- 問題点
- 限られた情報から診断を断定
- 直し方の例
- A:午前の飲水量が前日同時間帯より少ない。排尿状況、口腔内、バイタルサイン、治療上の水分制限を追加確認する必要がある
P:経過観察する
- 問題点
- 観察項目、時期、報告、再評価が不明
- 直し方の例
- P:次の歩行前後に呼吸困難感、呼吸数、SpO₂、会話のしやすさ、回復までの時間を確認し、変化時は担当看護師へ報告する
| よくある書き方 | 問題点 | 直し方の例 |
|---|---|---|
| S:疼痛あり | 患者の言葉、程度、条件が不明 | S:「寝返りで右膝がズキッと痛む」。安静時NRS1、寝返り時4 |
| O:不安が強い | 「不安」は解釈 | O:退院後の生活について同じ質問を10分間に3回行い、両手を握りしめる |
| O:食欲不振 | 何をどれだけ摂取したか不明 | O:昼食は主食2割、副食1割。食事中断1回、嘔吐なし |
| A:状態は安定している | 何がどの基準で安定か不明 | A:安静時の呼吸困難感はなく、呼吸数とSpO₂は前回と同程度。ただし歩行時は息切れが出現するため、活動時の継続評価が必要 |
| A:脱水である | 限られた情報から診断を断定 | A:午前の飲水量が前日同時間帯より少ない。排尿状況、口腔内、バイタルサイン、治療上の水分制限を追加確認する必要がある |
| P:経過観察する | 観察項目、時期、報告、再評価が不明 | P:次の歩行前後に呼吸困難感、呼吸数、SpO₂、会話のしやすさ、回復までの時間を確認し、変化時は担当看護師へ報告する |
急な変化ではSOAPの完成を待たず、安全確保・報告・再評価を先に行う
この章の要点患者の意識、呼吸、循環、出血、痛みなどに急な変化があるときは、記録用紙の完成よりも、患者から離れず、安全を確保し、実習指導者・担当看護師へ報告することが先です。報告時は、患者の言葉、発見時刻、観察した事実、前値からの変化、実施した対応、その後の反応を簡潔に伝えます。報告の先行が原則です。
[日本看護協会の看護業務基準](https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/gyomu/kijyun.pdf)は、緊急時の状況把握と必要な対応、継続的な観察・査定・計画・実行・評価を示しています。また、[看護記録に関する指針](https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf)は、予期せぬ事態では発見・発生状況、観察、処置、対処後の結果・反応を正確な時間とともに記録するとしています。
報告すべき一律の数値を自分で作るのは避けます。患者ごとの指示、病態、治療目標、前値、症状、実習施設の報告基準で判断が変わります。数値が基準内に見えても、本人の症状や前値から明らかに変化している場合は報告が必要です。記録後は、報告先、報告時刻、指示・対応、患者の反応が追えるかを確認します。単一値で判断しないことが大切です。
実習記録は事実、訂正履歴、個人情報を守り、患者が読む可能性も考える
この章の要点記録は、患者とチームが読んで状況を理解できる表現にします。「わがまま」「非協力的」などと人格を評価する言葉ではなく、どのような説明に対し、本人が何と話し、何を選択したかを書きます。人格ではなく事実を記録することが、尊厳を守るとともに、次の支援に役立ちます。
誤記を見つけたときは、訂正前の内容を見えなくするような消去や改ざんをせず、学校・施設の手順に従います。[日本看護協会の指針](https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf)は、訂正者、内容、日時が分かり、訂正前の記載も読める形で残すこと、追記はいつのどの箇所へのものかを明らかにすることを示しています。他人のIDで記録したり、実際の記載時刻を隠して過去に記載したように見せたりしてはいけません。
実習記録には病歴や生活情報などの要配慮個人情報が含まれます。氏名をイニシャルに変えただけで安全と考えず、不要な住所、日付、家族構成、稀な病歴など、組み合わせで本人を特定できる情報を減らします。学校・実習施設が認めた保管・提出方法だけを使い、許可のない個人端末、個人クラウド、SNS、生成AIへ患者情報を入力しません。指定された取扱方法を最優先にします。
国試ではSOAPの丸暗記より、情報を選び、アセスメントし、最初の行動を決める力がつながる
この章の要点国試対策としては、S・O・A・Pの英語を覚えるだけでは足りません。[厚生労働省の「保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版」](https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000958440.pdf)は、必修問題の基本技術に看護過程の情報収集・アセスメント・計画立案・実施・評価を、基礎看護学に看護情報の記録・報告・共有を置いています。SOAPの練習は、この看護過程の思考を短い記録で繰り返す学習になります。
状況設定問題を読むときも、次の順で整理できます。
- S:本人・家族が訴える症状、困りごと、希望は何か。
- O:バイタルサイン、行動、所見、検査値、経時変化は何か。
- A:今最も優先すべき問題は何か。その根拠はどのS・Oか。
- P:患者の安全のため最初に行う観察、援助、報告は何か。実施後に何を再評価するか。
国試の選択肢では、正しい知識でも「今、最初に行うこと」に合わない場合があります。今あるS・OからAを作り、緊急性と安全性を踏まえてPを選ぶと、なぜその選択肢が先かを説明できます。正解の根拠をSOAPで言葉にする復習が有効です。
提出前は「根拠が追えるか」と「次に再評価できるか」を30秒で確認する
この章の要点よいSOAPは、長い記録ではなく、患者の体験と観察事実から看護上の解釈が生まれ、それに応じた次の行動と再評価が書かれた記録です。提出前に次の項目を順に確認しましょう。
- 焦点と看護目標に関連する情報を選んだか。
- Sは発言者と条件、Oは時刻・測定条件・変化が分かるか。
- Oに解釈が混ざらず、Aには根拠と比較があるか。
- Aのすべての判断をSまたはOへ戻って説明できるか。
- PがAに対応し、実施者、時期、条件、報告、再評価が分かるか。
- 学生の独断で治療・指示を変更する内容になっていないか。
- 急な変化を先に報告し、時間、対処、反応を記録したか。
- 個人を特定できる不要な情報や、差別的・感情的な表現がないか。
最後に、S・O→AとA→Pの間に「なぜ」が抜けていないかを見ます。このつながりの点検ができれば、SOAPは実習記録のためだけでなく、国試の状況設定問題や卒業後の看護実践にもつながる思考の型になります。
学習メモ・復習の予定気づきを自分の言葉で残す+
わかったこと、まだ曖昧なこと、次に調べたいことを残せます。
学びを、もう一度
復習日になると、ホームと復習リストで確認できます。
次に見返す日を決める
この記事の編集方針
主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
詳しい編集方針を見る →参考にした資料
- 看護記録に関する指針公益社団法人日本看護協会・2018第2章〜第5章を確認。看護記録の目的、一連の過程、適時性、正確性、訂正・追記、施設ごとの様式・記載基準、守秘と個人情報。見出し1、7、11、12、14に対応。原資料を開く
- 看護業務基準(2021年改訂版)公益社団法人日本看護協会・20211-2-5、1-3-2〜1-3-5を確認。専門知識に基づく判断、継続的観察・査定・計画・実行・評価、緊急時の対応、一連の過程の記録。見出し1、5〜9、11、14に対応。原資料を開く
- 資料4 看護記録に関する教材と看護師国家試験問題の例厚生労働省・2005第10回「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」配布の教材抜粋。p.3のPOS・SOAP・SOAPIEの用語定義を確認し、現行の統一推奨とはみなしていない。見出し1、2、5、6、8に対応。原資料を開く
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