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目次この記事でわかること14項目+
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読む前に押さえたいこと
尿一般の結果に「蛋白+」「潜血+」「亜硝酸塩−」が並んでいても、それだけで病気や緊急性は決まりません。尿の濃さ、採り方、服薬、症状によって、同じ結果の意味が変わるためです。「何の項目か」は分かっても、「なぜ変化するのか」「患者のどこを確認するのか」で迷うことは少なくありません。この記事では、成人の健診・外来・入院で用いられる尿一般を中心に、主な項目と基準範囲の考え方、採尿時の注意、尿沈渣や血液検査とのつながりを整理します。さらに、感染や腎障害を疑う所見の組み合わせ、急いで共有したい症状、患者への説明までを扱います。妊娠やカテーテル留置で判断が変わる場面は、該当箇所で示します。
尿一般には、外観・試験紙・尿沈渣の確認がある
この章の要点尿一般では、尿の外観と化学的な反応を調べ、腎臓・尿路の病変や代謝異常の手掛かりを得ます。尿沈渣を併せて調べることもありますが、測定される項目は一定ではありません。
試験紙は、尿に含まれる成分や酵素による色の変化を判定する検査です。尿沈渣は、血球・上皮細胞・円柱などの形のある成分を顕微鏡や装置で調べます。「尿一般を提出した」という情報だけで沈渣や培養も実施済みと考えず、依頼項目と結果欄を確かめます。略号も装置により異なるため、表ではよく用いられる表示を例示します。[京都大学病院の尿一般項目](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0101.html)、[試験紙の添付文書](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)、[尿沈渣の項目説明](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0107.html)。
一覧は確認の入口です。異常の原因と看護での捉え方は、後続の各項目で説明します。
色調
- 何を見ているか
- 尿の色
- 基本的な読み方
- 淡黄色~黄褐色など。色だけで原因を確定しない
混濁・濁度
- 何を見ているか
- 尿の濁り
- 基本的な読み方
- 血球・細菌・結晶などを区別して考える
比重・SG
- 何を見ているか
- 尿の濃さの指標
- 基本的な読み方
- 水分状態、尿量、測定法と合わせる
pH
- 何を見ているか
- 尿の酸性・アルカリ性
- 基本的な読み方
- 食事、代謝、検体の変化などの影響を受ける
蛋白・PRO
- 何を見ているか
- 主にアルブミンへの反応
- 基本的な読み方
- 通常は陰性。持続性と定量検査が重要
糖・GLU
- 何を見ているか
- 尿中のブドウ糖
- 基本的な読み方
- 通常は陰性。血糖値・服薬も確認する
ケトン体・KET
- 何を見ているか
- ケトン体の一部
- 基本的な読み方
- 通常は陰性。摂取不足と緊急病態を区別する
潜血・BLD
- 何を見ているか
- ヘモグロビンなどの反応
- 基本的な読み方
- 通常は陰性。沈渣の赤血球と合わせる
白血球反応・LEU/LE
- 何を見ているか
- 白血球の酵素反応
- 基本的な読み方
- 通常は陰性。炎症の手掛かりになる
亜硝酸塩・NIT
- 何を見ているか
- 一部の細菌がつくる亜硝酸塩
- 基本的な読み方
- 通常は陰性。陰性でも感染を除外できない
ビリルビン・BIL
- 何を見ているか
- 胆汁色素への反応
- 基本的な読み方
- 通常は陰性。血液検査と合わせる
ウロビリノーゲン・URO
- 何を見ているか
- 胆汁色素に由来する代謝産物
- 基本的な読み方
- 少量は生理的に存在。表示は製品・施設で異なる
尿沈渣
- 何を見ているか
- 赤血球・白血球・上皮細胞・円柱・結晶・微生物など
- 基本的な読み方
- 数、形、種類と採尿条件を読む
アルブミン・尿クレアチニン・各比
- 何を見ているか
- 蛋白排泄の詳しい評価や尿濃度の補正
- 基本的な読み方
- 追加項目の場合があり、尿一般だけで測定済みとは限らない
| 項目・表記の例 | 何を見ているか | 基本的な読み方 |
|---|---|---|
| 色調 | 尿の色 | 淡黄色~黄褐色など。色だけで原因を確定しない |
| 混濁・濁度 | 尿の濁り | 血球・細菌・結晶などを区別して考える |
| 比重・SG | 尿の濃さの指標 | 水分状態、尿量、測定法と合わせる |
| pH | 尿の酸性・アルカリ性 | 食事、代謝、検体の変化などの影響を受ける |
| 蛋白・PRO | 主にアルブミンへの反応 | 通常は陰性。持続性と定量検査が重要 |
| 糖・GLU | 尿中のブドウ糖 | 通常は陰性。血糖値・服薬も確認する |
| ケトン体・KET | ケトン体の一部 | 通常は陰性。摂取不足と緊急病態を区別する |
| 潜血・BLD | ヘモグロビンなどの反応 | 通常は陰性。沈渣の赤血球と合わせる |
| 白血球反応・LEU/LE | 白血球の酵素反応 | 通常は陰性。炎症の手掛かりになる |
| 亜硝酸塩・NIT | 一部の細菌がつくる亜硝酸塩 | 通常は陰性。陰性でも感染を除外できない |
| ビリルビン・BIL | 胆汁色素への反応 | 通常は陰性。血液検査と合わせる |
| ウロビリノーゲン・URO | 胆汁色素に由来する代謝産物 | 少量は生理的に存在。表示は製品・施設で異なる |
| 尿沈渣 | 赤血球・白血球・上皮細胞・円柱・結晶・微生物など | 数、形、種類と採尿条件を読む |
| アルブミン・尿クレアチニン・各比 | 蛋白排泄の詳しい評価や尿濃度の補正 | 追加項目の場合があり、尿一般だけで測定済みとは限らない |
基準範囲と「+」は、診断や重症度をそのまま表さない
この章の要点結果は、その検査の基準範囲と測定法で読みます。とくに比重・pH・ウロビリノーゲンは、資料の数字や記号を共通の正常値として暗記すると誤解につながります。
「−」は陰性、「±」や「+」は反応の区分です。半定量は、おおよその濃度を段階で示す方法で、正確な排泄量を測る定量とは異なります。製品や項目により区分が違うため、「蛋白+」と「潜血+」を同じ量や重症度とみなすことはできません。[試験紙の判定法](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)。
下表は違いを示すための公表値です。数値が違うことだけから、どちらかが誤りとは判断できません。京都大学病院の欄は随時尿・早朝尿を対象とし、試験紙・吸光度法・屈折率法を含む検査です。福井大学病院の説明表には、該当欄の採尿時点・測定法の明示がありません。実際の判定には検査報告書を使います。[京都大学病院の基準範囲](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0101.html)、[福井大学病院の基準値表](https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/wp-content/uploads/kensakoumoku-kizyunchi20250801.pdf)。
基準範囲と臨床判断値は別です。基準範囲は結果を解釈する目安、診断基準は病態を定義する条件、治療目標は治療で目指す値です。緊急連絡の基準も別に定められるため、一覧の範囲外という理由だけで共通の報告基準を作らないことが大切です。
pH
- 京都大学病院の公表例
- 4.5~8.5
- 福井大学病院の公表例
- 4.5~7.5
比重
- 京都大学病院の公表例
- 1.002~1.045
- 福井大学病院の公表例
- 1.005~1.030
ウロビリノーゲン
- 京都大学病院の公表例
- Normal
- 福井大学病院の公表例
- ±
| 項目 | 京都大学病院の公表例 | 福井大学病院の公表例 |
|---|---|---|
| pH | 4.5~8.5 | 4.5~7.5 |
| 比重 | 1.002~1.045 | 1.005~1.030 |
| ウロビリノーゲン | Normal | ± |
結果を読む前に、採り方・採った時刻・保存を確かめる
この章の要点尿検査は、採尿条件によって結果が変わります。異常値を病態に結び付ける前に、本人確認、採尿日時、採尿方法、提出までの経過を確かめます。
自然排尿では、最初の尿を少量流した後の中間部分を採る「中間尿」が基本になります。尿道口周囲の細胞や分泌物の混入を減らすためです。容器は指定された清潔なものを使い、内側に触れないよう説明します。早朝尿は起床後の尿、随時尿は時刻を限定せず採った尿で、検査目的により選択されます。健診などでは月経や激しい運動の影響も確認します。急な症状がある場合は、月経中であることを記録し、評価を先延ばしにしません。[血尿ガイドラインの採尿・検体取扱い](https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=2023-hematuria-diagnostic-guidelines.pdf)。
放置すると細菌の増殖や細胞の変性が進み、pHや沈渣の所見も変わり得ます。採ったら速やかに提出し、遅れるときは検査部に保存方法を確認します。ビリルビンなどは光・熱にも影響されるため、「尿は一律に何時間保存できる」と決めないことが重要です。ビタミンCを含む薬・サプリメントは、試験紙によって潜血・糖などの反応を弱めることがあります。服薬内容を伝え、検査に備えて処方薬を変更・中止する必要があるかは診療チームに確認するよう説明します。[検査結果に影響する条件](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0101.html)、[検体と妨害物質の注意](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)。
尿道カテーテルが留置されている場合
尿一般・培養用の新鮮な少量尿は、所定の採尿ポートから無菌的に採るのが原則です。排液バッグ内にたまった尿で代用すると、保存や汚染の影響が加わります。閉鎖式排液系を保つことを前提に、採取は施設の手順と使用器具の説明に従います。採尿のためだけに不要なカテーテル留置を行うことは避けます。[CDCのカテーテル管理・検体採取の推奨](https://www.cdc.gov/infection-control/hcp/cauti/summary-of-recommendations.html)。
尿の色や濁りは手掛かりになるが、感染を確定しない
この章の要点尿の見た目は変化に気付く入口になりますが、濁りだけで尿路感染症とは判断できません。濁りには白血球・細菌だけでなく、結晶、赤血球、混入物なども関わります。
赤色・褐色の尿でも、出血のほかに色素、食物、薬の影響があります。濃い色についても、水分状態だけで説明できるとは限りません。見た目の変化は、潜血、沈渣、ビリルビン、症状などで確かめます。[EFLM指針の尿の外観に関する説明](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)。
看護では、普段の色からいつ変わったか、採りたてか放置後か、血の塊が見えるかを記録します。同時に排尿痛、発熱、排尿量の変化を確認すると、検査結果を解釈するための情報になります。外観の記録は、検査の代わりに病名を付けるためではなく、評価につなぐために行います。
比重とpHは、尿の濃さと排泄の状態を読む項目
この章の要点比重は尿の濃さの指標、pHは尿の酸性・アルカリ性を示します。比重だけで脱水、尿pHだけで血液の酸塩基異常を決めないことが基本です。
腎臓は、ろ過された液から水分や成分を調節して最終的な尿を作ります。そのため比重は水分の摂取・排泄や濃縮状態の手掛かりになりますが、尿に含まれる成分と測定法にも左右されます。試験紙による比重は化学反応、屈折率法は光の屈折を利用するため、測定の仕組みが違います。尿の濃さを考える際は、尿量、飲水・輸液、嘔吐・下痢などの経過を合わせます。[京都大学病院の尿比重の説明](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/index/_test_patient_explain.html)、[試験紙の比重測定原理](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)。
尿pHは食事や代謝、薬剤、検体の保存などで変動します。体の酸塩基状態を検討する情報の一つですが、血液のpHそのものではありません。血液ガスなどを使う評価とは区別します。前回から変化したら、患者の状態と採尿・保存条件のどちらが変わったかを確認します。[尿の生理的変動と検査条件](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0101.html)、[尿pHの検査説明](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/index/_test_patient_explain.html)。
濃い尿や高い比重を見て、その場で一律に飲水を増やすのは適切ではありません。看護では水分管理の指示と患者の状態を確認し、摂取・排泄の変化を担当医へ共有します。
尿蛋白は、持続性と定量を確認して腎障害の評価につなぐ
この章の要点尿蛋白陽性は精査の手掛かりですが、1回の「+」だけで慢性腎臓病とは決まりません。尿の濃さ、一過性の変化、蛋白の種類を考え、必要な再検査・定量につなげます。
糸球体は血液をろ過する部分で、尿細管はろ過された成分を再吸収する部分です。これらの障害により尿中の蛋白が増えることがあります。一方、発熱や運動、立位に関連した一過性の蛋白尿もあります。一般的な試験紙の蛋白反応は主にアルブミンを捉え、別の蛋白を同じ感度で検出するわけではありません。強いアルカリ性や容器の消毒剤などで偽陽性になる製品もあります。[蛋白尿の原因の分類](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)、[蛋白反応の特性と妨害物質](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)。
希釈尿では反応が弱く、濃縮尿では強く見えることがあります。精査では尿蛋白定量や、尿蛋白を同じ尿のクレアチニン濃度で割った尿蛋白/クレアチニン比を用います。尿の濃さの影響を小さくするための指標で、血清クレアチニンとは役割が違います。[CKDガイドラインのの評価法](https://jsn.or.jp/data/gl2023__ch01.pdf)。
尿潜血陽性と、沈渣で確認する血尿は区別する
この章の要点尿潜血は、赤血球の数そのものを測る検査ではありません。陽性なら沈渣の赤血球や症状と合わせ、血尿の有無と原因を評価します。
試験紙はヘモグロビンなどの反応を利用するため、赤血球の混入以外に、赤血球が壊れて生じるヘモグロビンや筋由来のミオグロビンでも陽性になることがあります。尿中で赤血球が壊れた場合も、潜血と沈渣の赤血球数は一致しないことがあります。「潜血+・赤血球が少ない」を矛盾として片付けず、検体の状態や他の検査を確認します。[尿潜血の測定原理](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)、[血尿の定義と検査上の注意](https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=2023-hematuria-diagnostic-guidelines.pdf)。
国内の血尿診断ガイドライン2023では、顕微鏡的血尿を尿沈渣の赤血球5個/HPF以上、非遠心尿では20個/μL以上としています。HPFは顕微鏡の強拡大1視野です。この2つは異なる測定条件の定義であり、個/HPFと個/μLを単純に換算してはいけません。[血尿の国内の定義](https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=2023-hematuria-diagnostic-guidelines.pdf)。
赤血球の形が不均一で、蛋白尿や赤血球円柱もある場合は、糸球体など腎臓由来の出血を考える手掛かりになります。ただし、形だけで出血部位を確定したり、尿路の病変を除外したりすることはできません。[赤血球形態と血尿の評価](https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=2023-hematuria-diagnostic-guidelines.pdf)。
月経・抗血栓薬・痛みのない血尿で注意すること
月経血の混入は結果に影響するため記録し、検査目的に応じて再評価します。抗凝固薬・抗薬の使用中でも、を薬のせいだけにして原因検索を省かないことが重要です。
尿糖の陰性で糖尿病を除外せず、陽性は血糖と薬剤で読む
この章の要点尿糖は血糖の代わりにはならず、陰性でも糖尿病を除外できません。陽性時も、血糖値と腎臓の再吸収、服薬の影響を区別します。
ブドウ糖は腎臓でろ過された後、通常は尿細管で再吸収されます。血糖が上がり、再吸収できる量を超えると尿糖が現れます。ただし、この現れ方には個人差や腎臓側の条件が関わるため、尿糖の段階から採血時の血糖値を逆算することはできません。血糖値や、一定期間の血糖状態を反映するHbA1cで評価します。[尿糖と再吸収の説明](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/index/_test_patient_explain.html)、[尿糖検査の役割と限界](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)。
SGLT2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑えて尿へ排泄させる薬です。服用中の尿糖陽性は作用によることがあるため、陽性だけを理由に血糖管理が悪いと判断しません。薬剤名と、採尿・採血の時刻、実際の血糖値を合わせて共有します。[SGLT2阻害薬と尿糖の関係](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)。
尿ケトン体は、摂取不足とケトアシドーシスを区別して読む
この章の要点尿ケトン体は食事が十分に取れないときにも陽性になりますが、症状によっては急いで評価が必要です。尿ケトン体だけで重症度や改善を判定しないことが重要です。
糖を利用しにくい状態や摂取不足では、脂肪の分解に伴ってケトン体が増えます。絶食・嘔吐などによるケトーシスと、糖尿病性ケトアシドーシスは同じ意味ではありません。ケトアシドーシスではケトン体の増加に酸塩基の異常が伴うため、食事歴、血糖、血中ケトン体、血液ガスなどを合わせて評価します。[成人の高血糖緊急症に関する合意報告](https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-024-06183-8)。
一般的な尿ケトン試験紙は主にアセト酢酸を捉え、ケトアシドーシスで重要なβヒドロキシ酪酸を検出できません。発症早期に状態を軽く見積もったり、回復期に尿の陽性が残って悪化と誤解したりすることがあります。治療経過の判断にも尿の「+」だけを使わない理由です。[尿ケトン検査と血中ケトン体の違い](https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-024-06183-8)。
SGLT2阻害薬の使用中は、血糖が高くなくても注意する
SGLT2阻害薬を使用している糖尿病患者では、血糖上昇が目立たないケトアシドーシスもあります。倦怠感、悪心・嘔吐、腹痛があれば、血糖が正常に近いことだけで安心せず、担当医・糖尿病診療チームへ速やかに共有します。深い呼吸や意識の変化も併せて伝えます。必要な血中ケトン体などの評価につなげ、尿の再検査だけで待たないことが大切です。[日本糖尿病学会のSGLT2阻害薬の注意事項](https://www.jds.or.jp/uploads/files/recommendation/SGLT2.pdf)、[ケトアシドーシスの症状と評価](https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-024-06183-8)。
白血球反応・亜硝酸塩は、症状と組み合わせて感染を考える
この章の要点白血球反応・亜硝酸塩は感染を疑う情報ですが、陽性だけで感染、陰性だけで感染なしとは決まりません。排尿症状、発熱、採尿条件、沈渣や必要な培養を合わせます。
白血球反応は白血球のエステラーゼという酵素を捉えます。炎症の手掛かりですが、白血球があることと、抗菌薬が必要な細菌感染があることは同じではありません。亜硝酸塩は、一部の細菌が尿中の硝酸塩を変化させることで生じます。反応しない菌、膀胱内での尿の滞留時間が短い場合、硝酸塩の供給が少ない場合などでは、感染があっても陰性になり得ます。[白血球と亜硝酸塩の測定原理](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)、[亜硝酸塩の検出条件](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)。
排尿痛、頻尿、残尿感に尿所見が伴えば下部尿路の感染を検討する情報になります。発熱、背部・側腹部痛、全身状態の悪化があれば腎盂腎炎なども考え、試験紙の結果だけで評価を終えません。培養は原因菌や薬剤感受性を調べる別の検査で、複雑性尿路感染症などでは重要です。採取が指示された場合は、抗菌薬開始との前後関係も記録します。[国内ガイドラインの膀胱炎・腎盂腎炎の説明](https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC_2015_urinary-tract.pdf)。
無症状の細菌尿を、検査陽性だけで治療につなげない
無症候性細菌尿は、尿路感染に対応する症状がなく、培養で細菌が確認される状態です。健康な非妊娠成人女性、無症状の高齢者、長期カテーテル留置者などでは、原則として検査所見だけを理由に抗菌薬治療を行いません。不要な治療による害も考える必要があります。高齢者の急な混乱や転倒も、局所の尿路症状や発熱・循環不安定などがなければ、細菌尿だけで感染の原因と決めず、ほかの原因を評価します。[IDSAの無症候性尿ガイドライン](https://www.idsociety.org/practice-guideline/asymptomatic-bacteriuria/)。
ビリルビンとウロビリノーゲンは、胆汁色素の流れで理解する
この章の要点尿ビリルビンは通常陰性ですが、ウロビリノーゲンは少量が生理的に存在します。どちらも単独で肝疾患を診断する検査ではありません。
ビリルビンは、赤血球のヘモグロビンの分解に由来する胆汁色素です。尿に出るのは水に溶ける抱合型で、肝・胆道の異常を考える手掛かりになります。胆汁として腸に入ったビリルビンは腸内細菌の働きでウロビリノーゲンになり、その一部が尿に現れます。こうした流れがあるため、溶血、肝での処理、胆汁の通過などによって両者の結果が変わります。[尿の胆汁色素の基礎説明](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/index/_test_patient_explain.html)、[抱合型ビリルビンと胆汁色素の検査の位置付け](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)。
ウロビリノーゲンのNormalや±は、その測定法での正常域を表す場合があります。記号だけを見て、ほかの項目と同じ陽性扱いにしないことが大切です。また、採尿後の光・熱の影響で本来の反応が失われることもあります。[ウロビリノーゲンの基準表示](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0101.html)、[別の基準表示の例](https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/wp-content/uploads/kensakoumoku-kizyunchi20250801.pdf)、[胆汁色素の検体条件](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/170005_21600AMZ00655000_E_02_02)。
評価では黄疸、尿色の変化、便色などの情報を集め、血中ビリルビンや肝・胆道系の血液検査と合わせます。現在は血液検査の方が肝疾患の評価に有用な場面が多く、尿の結果だけで肝機能の良し悪しを説明しないようにします。[尿胆汁色素検査の限界](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)。
尿沈渣は、成分の種類と形から試験紙の結果を補う
この章の要点尿沈渣は、「何が、どの形で、どのくらいあるか」を調べる検査です。試験紙と併せることで、血尿や炎症、腎臓由来の所見を詳しく検討できます。
報告単位には個/HPF、個/LPF、個/μLなどがあります。LPFは顕微鏡の弱拡大1視野で、HPFとは見ている範囲が違います。装置による分類と顕微鏡による確認も区別して読み、異なる方法の結果を数字だけで比較しません。[尿沈渣の測定法と表示](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0107.html)。
円柱は尿細管内で蛋白を主な基材として形成され、含まれる細胞などが病変の手掛かりになります。ただし、硝子円柱は濃縮尿や運動後など、病的でない条件でも見られます。また結晶は保存中にも析出するため、検出だけで尿路結石の診断にはなりません。[円柱・結晶の臨床的な意味](https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/cclm-2024-0070/html)。
看護では、沈渣を見て病名を確定するのではなく、採尿条件と患者の状態を結び付けます。再採尿が必要か、定量・培養・画像検査などが計画されているかを確認し、結果がそろった後の評価につなぎます。
赤血球
- 解釈の入口
- 血尿の程度や形の情報
- 合わせて確かめること
- 潜血、蛋白、月経、出血・排尿症状
白血球
- 解釈の入口
- 尿路などの炎症の手掛かり
- 合わせて確かめること
- 症状、細菌、必要な培養。膿尿だけで感染を確定しない
上皮細胞
- 解釈の入口
- 尿路や腎臓に由来する細胞
- 合わせて確かめること
- 細胞の種類、採尿方法。扁平上皮だけで汚染と断定しない
円柱
- 解釈の入口
- 腎臓内で形成された成分
- 合わせて確かめること
- 種類、蛋白、赤血球、血清クレアチニンの経過
結晶
- 解釈の入口
- 成分の析出
- 合わせて確かめること
- 新鮮尿か、pH、疼痛、結石の既往・画像所見
細菌・酵母様真菌
- 解釈の入口
- 微生物の存在の手掛かり
- 合わせて確かめること
- 汚染の可能性、症状、カテーテル、必要な培養
| 主な成分 | 解釈の入口 | 合わせて確かめること |
|---|---|---|
| 赤血球 | 血尿の程度や形の情報 | 潜血、蛋白、月経、出血・排尿症状 |
| 白血球 | 尿路などの炎症の手掛かり | 症状、細菌、必要な培養。膿尿だけで感染を確定しない |
| 上皮細胞 | 尿路や腎臓に由来する細胞 | 細胞の種類、採尿方法。扁平上皮だけで汚染と断定しない |
| 円柱 | 腎臓内で形成された成分 | 種類、蛋白、赤血球、血清クレアチニンの経過 |
| 結晶 | 成分の析出 | 新鮮尿か、pH、疼痛、結石の既往・画像所見 |
| 細菌・酵母様真菌 | 微生物の存在の手掛かり | 汚染の可能性、症状、カテーテル、必要な培養 |
看護では、結果の組み合わせと患者の変化から報告を組み立てる
この章の要点報告の優先度は「+の数」だけでなく、症状・バイタルサイン・尿量の変化で考えます。検査結果がそろう前でも、急な全身状態の悪化があれば速やかな共有が必要です。
下表は、報告を組み立てるための組み合わせです。診断表でも、全国共通の数値による連絡基準でもありません。症状のある血尿、感染を疑う全身症状、ケトアシドーシスを疑う症状は、それぞれの原資料で評価の必要性が示されています。[血尿の評価](https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=2023-hematuria-diagnostic-guidelines.pdf)、[腎盂腎炎の全身症状](https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC_2015_urinary-tract.pdf)、[薬剤使用中のケトアシドーシスへの注意](https://www.jds.or.jp/uploads/files/recommendation/SGLT2.pdf)。
報告には、採尿日時・方法、結果と前回からの変化、症状の出現時刻、尿量と測定時間、血圧・脈拍・体温・呼吸・意識、飲水・輸液・摂食の経過、関連薬剤を含めます。たとえば尿量は、量だけでなく「どの時間帯に測ったか」を添えることで経過を共有できます。担当医とリーダー看護師へ、異常の組み合わせと今の状態を伝え、診察・追加検査・再評価の時点を確認します。
カテーテル留置中に尿が減った場合は、チューブの屈曲や排液の流れも確かめます。閉鎖系を外して原因を探すのではなく、尿流を保つ原則に従って確認します。[CDCの閉鎖系・尿流確保の推奨](https://www.cdc.gov/infection-control/hcp/cauti/summary-of-recommendations.html)。
蛋白・潜血が続く、円柱などもある
- なぜ共有するか
- 腎臓由来の病変を検討する情報になる
- 報告・再評価の要点
- 前回値、血圧、浮腫、尿量、血清クレアチニンを担当医へ。定量・精査の計画を確認
肉眼的血尿に排尿不能、下腹部痛などがある
- なぜ共有するか
- 尿閉など、速やかな医療対応が必要な状態を考える
- 報告・再評価の要点
- 血塊、最終排尿、尿量、疼痛を直ちに共有。再検体の提出だけで待たない
発熱・側腹部痛に、血圧低下や意識の変化が伴う
- なぜ共有するか
- 上部尿路感染や全身への影響を考える
- 報告・再評価の要点
- 担当医・リーダーへ速やかに共有し、急変時は院内の緊急連絡経路を使う
悪心・嘔吐・腹痛、深い呼吸、意識の変化がある
- なぜ共有するか
- ケトアシドーシスなどの代謝異常の評価が必要になる
- 報告・再評価の要点
- 血糖、薬剤、食事・嘔吐の経過を共有。尿糖・尿ケトン陰性だけで評価を止めない
| 所見・変化の組み合わせ | なぜ共有するか | 報告・再評価の要点 |
|---|---|---|
| 蛋白・潜血が続く、円柱などもある | 腎臓由来の病変を検討する情報になる | 前回値、血圧、浮腫、尿量、血清クレアチニンを担当医へ。定量・精査の計画を確認 |
| 肉眼的血尿に排尿不能、下腹部痛などがある | 尿閉など、速やかな医療対応が必要な状態を考える | 血塊、最終排尿、尿量、疼痛を直ちに共有。再検体の提出だけで待たない |
| 発熱・側腹部痛に、血圧低下や意識の変化が伴う | 上部尿路感染や全身への影響を考える | 担当医・リーダーへ速やかに共有し、急変時は院内の緊急連絡経路を使う |
| 悪心・嘔吐・腹痛、深い呼吸、意識の変化がある | ケトアシドーシスなどの代謝異常の評価が必要になる | 血糖、薬剤、食事・嘔吐の経過を共有。尿糖・尿ケトン陰性だけで評価を止めない |
患者には、検査の目的と次に確かめることを説明する
この章の要点患者への説明では、「陽性=病名」ではないことと、次に何を確認するかを伝えます。陰性の場合も、症状が続くなら評価が必要なことを説明します。
説明の例:「尿から、腎臓や尿の通り道、糖の代謝などの手掛かりを調べています。今の結果だけで原因が決まるわけではないので、症状やほかの検査と合わせて確認します。尿の色、痛み、出にくさなどが変わったら教えてください」。
採尿前には、採り方と提出先だけでなく、月経、運動、薬・サプリメントなど伝えてほしい情報も具体的に示します。再検査が決まっている場合は、その目的、採尿条件、確認する時期を診療チームの説明とそろえます。「様子を見てください」だけでは、何を見て、いつ相談すればよいかが伝わりません。
学びを深めるときは、まず尿沈渣と尿蛋白の定量を学び、その後に目的に応じて血尿・CKD・尿路感染症の資料へ進むと、尿一般の結果が追加検査につながる理由を理解しやすくなります。原資料は[尿沈渣の説明](https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/0107.html)、[CKDの尿蛋白評価](https://jsn.or.jp/data/gl2023_ckd_ch01.pdf)、[血尿診断ガイドライン](https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=2023-hematuria-diagnostic-guidelines.pdf)、[無症候性細菌尿のガイドライン](https://www.idsociety.org/practice-guideline/asymptomatic-bacteriuria/)から確認できます。
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この記事の編集方針
主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
詳しい編集方針を見る →参考にした資料
- 尿一般物質定性半定量検査[随時尿]京都大学医学部附属病院検査部・2026Ver.15の文書更新日は2026年7月22日。検査項目概要、生物学的基準範囲または臨床判断値、検査結果に影響を与える臨床情報の該当箇所を確認。項目、随時尿・早朝尿のpHと比重、定性表示、採尿条件による変動を参照。施設の値を共通基準や手順には転用しない。見出し1~3、5。原資料を開く
- 各検査項目と基準値福井大学医学部附属病院PDF4ページの尿検査欄を確認。pH4.5~7.5、比重1.005~1.030、ウロビリノーゲン±などを、基準範囲と表示が資料により異なる例として参照。本文中の発行・改訂年は確認できず、ファイル名から推定しない。見出し1、2。原資料を開く
- ウロペーパーⅢ 電子化された添付文書栄研化学株式会社・20242024年11月改訂、第8版。1~3ページの全般的な注意、測定原理、操作上の注意、測定結果の判定法の該当箇所を確認。製品による項目・判定の違い、蛋白・潜血等の反応、光・熱・ビタミンC等の影響を参照。添付文書の条件は本製品に適用し、全製品へ一般化しない。見出し1~3、5~7、9~11。原資料を開く
残り12件の参考資料を見る原資料・発行元・発行年を確認できます+
- 血尿診断ガイドライン2023ライフサイエンス出版・2023日本腎臓学会、日本泌尿器科学会、日本小児腎臓病学会、日本医学放射線学会、日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会編集。原文の該当ページを確認。BQ1(本文2ページ)、BQ2(3~6ページ)、BQ3~4(7~8ページ)、BQ12(33~34ページ)、GPS1~2(42~44ページ)を参照。国内の血尿定義、赤血球形態、採尿、抗血栓薬使用時の評価、肉眼的血尿を扱う。見出し3、7、13。原資料を開く
- エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 第1章 CKD診断とその臨床的意義日本腎臓学会・2023別項1-1の表1(3ページ)と1-2-2の該当箇所(8~9ページ)を確認。CKDの持続条件、蛋白尿・アルブミン尿の基準、尿蛋白定量と尿クレアチニン補正、試験紙の尿濃度による限界を参照。診断基準を緊急報告値として扱わない。見出し6、13。原資料を開く
- CKD診療ガイド2024 第4章 糖尿病関連腎臓病日本腎臓学会・2024章冒頭の糖尿病関連腎臓病の概念、尿アルブミンの評価、糖尿病性腎症病期分類2023の該当箇所を確認。アルブミン尿とeGFRを併せること、アルブミン尿が目立たなくても腎機能低下があり得ることを参照。章全体の全文確認ではなく、上記の該当部分を参照。見出し6。