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読む前に押さえたいこと
「血便があれば大腸がん?」「便潜血が陽性ならがんなの?」「手術をすると必ずストーマになる?」など、大腸がんには症状・検査・治療について誤解しやすい点があります。さらに臨床では、診断名だけでなく、がんの位置や深達度、リンパ節・遠隔転移、手術方法、排便状態、薬物療法の内容まで把握しなければ観察の意味がつながりません。この記事では、大腸がんの基本病態から検査、病期ごとの治療、術後合併症、ストーマ、薬物療法、看護観察までを「なぜそうなるのか」の順番で解説します。
大腸がんは結腸・直腸の粘膜から発生する悪性腫瘍
この章の要点大腸がんは、盲腸・結腸・直腸からなる大腸に発生する悪性腫瘍で、多くは粘膜の腺細胞から生じる腺がんです。日本人ではS状結腸と直腸に発生しやすいとされています。
大腸の壁は内側から粘膜、粘膜下層、筋層などで構成されています。がんは初期には粘膜内にとどまりますが、進行すると粘膜下層、筋層、さらに腸壁の外側へと深く入り込みます。これを深達度と呼びます。
深く進むほど、腸壁周囲のリンパ管・血管へがん細胞が入り込む機会が増え、リンパ節や肝臓、肺などへ転移する可能性が高くなります。そのため「腫瘍が何cmあるか」だけではなく、どこまで深く入り込んでいるか、リンパ節や遠隔臓器へ広がっているかを合わせて評価します。
看護では「大腸がん」という診断名だけで捉えず、結腸なのか直腸なのか、腫瘍の位置、病期、狭窄の程度、治療法まで確認することが重要です。同じ大腸がんでも、右側結腸と直腸では現れやすい症状や術後に問題となる機能が異なります。
大腸がんは一つの原因で起こるのではなく、生活習慣・遺伝・疾患など複数の要因が関係する
この章の要点大腸がんの発生を「この食べ物が原因」「便秘だから発生した」と一つの要因だけで説明することはできません。大腸粘膜の細胞に遺伝子異常が積み重なり、一部の細胞が増殖の制御を失ってがん化していきます。
大腸がんには、良性の腺腫が段階的にがんへ変化する経路と、正常にみえる粘膜から直接がんが発生する経路があります。
日本の公的資料では、喫煙、飲酒、肥満などが大腸がんのリスクと関連するとされています。また、炎症性腸疾患、大腸がんの家族歴、家族性大腸腺腫症(FAP)、リンチ症候群なども重要です。
「リスクが高い」と「必ず発症する」は別です。危険因子のない人にも大腸がんは起こり、危険因子があっても発症しない人もいます。
糖尿病との関係
糖尿病や慢性的な糖代謝異常と大腸がんの発症リスクとの関連は、日本人を対象とした疫学研究でも報告されています。一方、こうしたデータから「糖尿病が直接大腸がんを起こす」と個人レベルで断定することはできません。
大腸がん患者に糖尿病が併存する場合は、むしろ臨床では手術前後の食事変化、絶食、感染、薬物療法、ステロイド使用などによって血糖管理が変化し得る点が重要です。既往歴だけでなく、食事摂取量、推移、薬・の使用状況を治療内容と合わせて確認します。
早期大腸がんは症状がないことが多く、症状がないことでは否定できない
この章の要点大腸がんは早期では自覚症状がほとんどないことがあります。そのため「腹痛もないから大丈夫」「便通は普通だから大丈夫」とは判断できません。
進行すると、血便や下血、便の表面への血液付着、便秘や下痢、便が細くなる、残便感、腹部膨満などがみられることがあります。
症状はがんの位置によっても異なります。右側結腸では腸管内腔が比較的広く、便も液状に近いため、ある程度腫瘍が大きくなるまで狭窄症状が目立たず、慢性的な出血による貧血や倦怠感から発見されることがあります。一方、左側結腸や直腸では便が固形化しており、腫瘍による狭窄が便通に影響しやすいため、便秘、便が細い、腹部膨満、排便パターンの変化などが手がかりになります。
ただし症状だけから部位や進行度を決めることはできません。
看護では便の有無だけでなく、普段からの変化を確認します。「1日1回排便あり」という情報より、「これまで毎日出ていたのに数週間前から便秘と下痢を繰り返す」「最近便が細くなった」といった経時変化の方が重要なことがあります。
血便・貧血・腹痛・嘔吐は、腫瘍による出血や狭窄を考える手がかりになる
この章の要点大腸がんでよく知られている症状が血便です。しかし、血便があるから大腸がん、鮮血だから痔、と色だけで判断することはできません。
腫瘍表面は正常粘膜より傷つきやすく、便が通過する刺激などによって出血することがあります。少量の出血が長期間続けば、鉄欠乏性貧血につながり、倦怠感、息切れ、動悸、めまいなどとして現れることがあります。
さらに腫瘍が大きくなって腸管を狭くすると、便やガスが通過しにくくなります。腹部膨満、腹痛、便秘などから始まり、閉塞が進むと排便・排ガスがなくなり、悪心・嘔吐を伴う腸閉塞になる場合があります。
看護で腹痛を見るときは「痛いか」だけでは不十分です。発症時刻、部位、持続性・間欠性、増悪、腹部膨満、圧痛、嘔吐、排便・排ガス、便の性状、バイタルサインを組み合わせます。
特に腹痛が増強し、著明な腹部膨満、嘔吐、排便・排ガス停止などが重なる場合は、単なる便秘ではなく腸閉塞などを考え、経過と所見を整理して医師へ報告する必要があります。
便潜血検査は「がんを確定する検査」ではなく、無症状者から精密検査が必要な人を拾い上げる検査
この章の要点大腸がん検診で用いられる便潜血検査は、便の中に目では確認できない微量の血液が混ざっていないか調べるスクリーニング検査です。大腸がんそのものを確定診断する検査ではありません。
日本の対策型大腸がん検診では、40歳から1年に1回、便潜血検査2日法を受けることが推奨されています。
大腸がんは毎日出血するとは限らないため、2日分のうち1日でも陽性であれば要精密検査と判定されます。陽性だから必ずがんというわけではありませんが、痔などの可能性を自己判断して便潜血検査をやり直すことは精密検査の代わりにはなりません。
反対に便潜血が陰性でも大腸がんを完全に否定できるわけではありません。血便、腹痛、便通変化などの症状がある場合は「検診」の対象として様子を見るのではなく、症状に対する診療として評価する必要があります。
看護師が患者へ説明するときは、「陽性=がん」でも「陰性=絶対大丈夫」でもないことを伝え、検査目的を混同させないことが重要です。
大腸がんの確定には内視鏡と病理診断を行い、CT・MRIなどで広がりを調べる
この章の要点大腸がんが疑われた場合、検査は「がんなのかを確定する検査」と「どこまで広がっているかを調べる検査」に分けて考えると理解しやすくなります。
大腸内視鏡では肛門から内視鏡を挿入し、大腸の病変を直接観察します。病変を認めた場合には組織を採取し、病理診断によってがん細胞の有無などを調べます。
CT、MRI、腹部超音波などは、原発巣だけでなく周囲組織やリンパ節、肝臓、肺などへの広がりを評価して治療方針を決めるために用います。PETはすべての患者に必須という検査ではなく、ほかの検査だけでは転移・再発の判断が難しい場合などに用いられることがあります。
CEA・CA19-9の意味
大腸がんではCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーを測定することがあります。しかし、腫瘍マーカー単独では診断できません。値が正常でもがんが存在する場合があり、高値でも必ずがんとは限りません。
また治療後も、CEAが上がったという情報だけで再発と決めるのではなく、画像検査や症状などと合わせて評価します。
バイオマーカー検査
進行・再発大腸がんでは、KRAS、BRAF、HER2、MSI/MMRなどの腫瘍の性質を調べ、薬物療法の選択に利用することがあります。
「大腸がんなら全員同じ抗がん薬」という考え方ではなくなっており、病期+全身状態+腫瘍の分子学的特徴を組み合わせて治療を考えることが重要です。
便潜血検査
- 主な目的
- 無症状者のスクリーニング
- 単独で分かることの限界
- がんの確定診断はできない
大腸内視鏡
- 主な目的
- 病変の位置・形態を直接観察
- 単独で分かることの限界
- 観察だけでは病理診断にならない
生検・病理検査
- 主な目的
- がん細胞の確認、組織学的評価
- 単独で分かることの限界
- 全身の転移の有無までは分からない
CT・MRI等
- 主な目的
- 周囲臓器、リンパ節、遠隔転移などの評価
- 単独で分かることの限界
- 病理診断そのものではない
CEA・CA19-9
- 主な目的
- 診断補助、治療効果・経過観察の参考
- 単独で分かることの限界
- 正常でもがんを否定できず、高値だけで診断できない
バイオマーカー検査
- 主な目的
- 一部の薬物療法選択など
- 単独で分かることの限界
- 病期・全身状態を無視して治療を決めるものではない
| 検査 | 主な目的 | 単独で分かることの限界 |
|---|---|---|
| 便潜血検査 | 無症状者のスクリーニング | がんの確定診断はできない |
| 大腸内視鏡 | 病変の位置・形態を直接観察 | 観察だけでは病理診断にならない |
| 生検・病理検査 | がん細胞の確認、組織学的評価 | 全身の転移の有無までは分からない |
| CT・MRI等 | 周囲臓器、リンパ節、遠隔転移などの評価 | 病理診断そのものではない |
| CEA・CA19-9 | 診断補助、治療効果・経過観察の参考 | 正常でもがんを否定できず、高値だけで診断できない |
| バイオマーカー検査 | 一部の薬物療法選択など | 病期・全身状態を無視して治療を決めるものではない |
大腸がんの治療はStageだけでなく、切除可能性・腫瘍の位置・全身状態・バイオマーカーなどを合わせて決める
この章の要点大腸がんでは病気の広がりをStage 0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳなどで表します。数字が大きいほど一般に広がりが大きくなりますが、治療方法はStage番号だけで機械的に決まるわけではありません。
Stage 0~Ⅲでは、切除可能であれば内視鏡治療または手術が中心です。StageⅢや再発リスクが高い一部のStageⅡでは、手術後に補助化学療法を検討します。
StageⅣは肝臓・肺・腹膜などへの遠隔転移を伴う状態ですが、「StageⅣ=手術できない」と一律にはいえません。原発巣と転移巣の両方を安全に切除できるか、全身状態はどうかなどによって治療方針が変わります。
直腸がんでは、骨盤内再発のリスクや肛門機能との関係から、結腸がんとは異なる手術・放射線治療・術前治療が検討されることがあります。
2026年版大腸癌治療ガイドラインでは、2024年版以降の新規エビデンスに基づき、薬物療法、免疫チェックポイント阻害薬、後方治療、バイオマーカー、高齢者に対する治療選択などが更新されています。
早期でリンパ節転移リスクが低い病変では内視鏡だけで治療できることがある
この章の要点腫瘍が浅い層にとどまり、リンパ節転移の可能性が低いと判断される早期大腸がんでは、開腹手術ではなく内視鏡治療で病変を切除できる場合があります。
ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)などがあり、病変の大きさや形、深達度などから方法を選択します。
重要なのは「内視鏡で取れた=それで治療終了」とは限らない点です。切除した組織を病理検査し、がんがどこまで深く入り込んでいたか、切除断端、リンパ管・静脈への侵襲などを評価します。リンパ節転移のリスクが高い所見があれば、追加の腸切除とリンパ節郭清を検討します。
内視鏡治療後は出血と穿孔に注意します。治療後の血便、増強する腹痛、発熱などは合併症の手がかりになるため、発症時刻や程度、バイタルサイン、腹部所見を確認して報告します。
手術では腫瘍だけでなく必要な腸管とリンパ節を切除し、状況によってストーマを造設する
この章の要点内視鏡治療では十分な根治性が得られない大腸がんでは手術を行います。手術では、腫瘍そのものだけをくり抜くのではなく、がんが広がっている可能性のある周囲腸管とリンパ節を含めて切除します。
結腸がんでは、腫瘍の位置に応じて右半結腸切除、S状結腸切除などを行います。
直腸がんは骨盤の深い場所にあり、膀胱・生殖器・自律神経・肛門括約筋などと近いため、がんの根治性だけでなく、排便・排尿・性機能をどこまで温存できるかも重要です。
ストーマは全員に必要ではない
「大腸がんの手術=人工肛門」ではありません。
切除後に腸管を安全につなげる場合はストーマを造設しないことがあります。一方、直腸がんで非常に低い位置の吻合を保護する目的で一時的ストーマを造る場合や、肛門を一緒に切除する手術などで永久ストーマとなる場合があります。
看護師は造設の有無だけでなく、一時的か永久的か、ストーマの種類、排泄物の性状、本人の理解度、装具管理能力、生活背景を把握します。
術後は縫合不全・出血・感染・腸閉塞を「単独の数値」ではなく経時変化から捉える
この章の要点大腸がん術後で特に重要なのは、縫合不全、感染、腸閉塞、出血などを早期に捉えることです。公的資料でも、縫合不全、創感染、腸閉塞などが代表的な術後合併症として挙げられています。
縫合不全
縫合不全は、腸管をつないだ吻合部から腸内容が腹腔内へ漏れる状態です。腹膜炎や膿瘍、敗血症につながる可能性があります。
観察では体温だけを見るのではなく、腹痛の新規出現・増悪、圧痛、腹部膨満、頻脈、血圧、呼吸数、悪寒、全身倦怠感、炎症反応、ドレーンがある場合は排液量・色・性状などを組み合わせます。
発熱だけなら原因は複数ありますが、「腹痛が増えた+頻脈+発熱+排液性状の変化」のように複数所見が重なれば、腹腔内感染などを疑う重要性が高まります。
腸閉塞
術後は腸管麻痺や癒着などにより腸閉塞を生じることがあります。
腹部膨満、悪心・嘔吐、腹痛、排便・排ガス状況、食事摂取量を確認します。「便が昨日出た」という情報だけでは不十分で、その後の排ガス、膨満、嘔吐の有無まで経時的に確認します。
出血
薬物療法は「抗がん薬を使うか」だけでなく、治療目的・バイオマーカー・臓器機能・有害事象を合わせて考える
この章の要点大腸がんの薬物療法は、大きく「手術後の再発を減らす目的」と「切除不能進行・再発がんの進行を抑える目的」に分けて理解すると整理しやすくなります。
StageⅢでは、全身状態などの条件を満たす場合に術後補助化学療法が推奨され、再発リスクの高い一部のStageⅡでも検討されます。
切除不能進行・再発大腸がんでは、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを患者ごとに組み合わせます。
現在は特にバイオマーカーが重要です。RAS、BRAF、MSI/MMR、HER2などによって適する治療が変わる場合があります。2026年版ガイドラインでもこの領域が更新されています。
看護では薬剤名だけを暗記するより、投与されているレジメンから「この患者に何が起こり得るか」を予測することが重要です。
例えば細胞障害性抗がん薬では骨髄抑制、悪心・嘔吐、下痢、口内炎、末梢神経障害などが問題になることがあります。分子標的薬では薬剤によって皮膚障害、高血圧、蛋白尿、出血、血栓、消化管穿孔など注意点が異なります。免疫チェックポイント阻害薬では、正常な臓器に免疫反応が起こる免疫関連有害事象が問題になります。
したがって「抗がん剤中だから発熱した」と単純化せず、投与薬、投与後の日数、好中球数、感染徴候、腹部症状、呼吸器症状、皮膚症状、食事・水分摂取などを合わせます。
直腸がん術後では排便回数だけでなく、便意切迫・分割排便・失禁など生活への影響を見る
この章の要点大腸を切除しても、多くの患者は時間経過とともに日常生活へ戻っていきます。ただし、手術部位によっては排便・排尿・性機能に長期的な影響が残ることがあります。
特に直腸を大きく切除した場合、便を一時的にためる機能が低下し、頻便、便意切迫、少量ずつ何度も排便する分割排便、便失禁などが起こることがあります。
看護では「1日10回排便だから異常」と数字だけで判断するのではなく、手術前との違い、便性状、夜間排便、失禁、肛門周囲皮膚障害、外出・仕事・睡眠への影響まで確認します。
また自律神経への影響で、尿意が分かりにくい、排尿しにくい、残尿感などを生じる場合があります。直腸がん手術後では排便だけでなく排尿機能も確認します。
患者にとっては「生存できるか」だけでなく、「トイレから離れられない」「漏れるのが怖くて外出できない」といった生活上の問題も大きな負担です。症状を我慢している場合もあるため、具体的に質問することが重要です。
ストーマは色・浮腫・排泄量・皮膚・装具の適合を合わせて観察する
この章の要点ストーマ造設後は、単に「便が出ているか」だけでなく、ストーマそのものと周囲皮膚を観察します。
術後早期には浮腫がみられることがありますが、色調、腫脹、出血、突出・陥没などを継続して確認します。便の量と性状も重要で、特に小腸側に近いストーマでは水分の多い排泄物となりやすいため、脱水や電解質異常にも注意します。
周囲皮膚は便の接触によって皮膚障害が起きやすいため、発赤、びらん、疼痛、漏れ、装具の密着状態を確認します。
セルフケア支援では、交換手技ができるかだけでなく、ストーマを受け入れられているか、視力・手指機能、家族支援、仕事、外出、入浴など本人が困っている生活場面を確認します。
ストーマには一時的なものと永久的なものがあります。造設されたという事実だけで「一生ストーマになる」と説明しないことも重要です。
異常時は「大腸がん患者だから」ではなく、どの合併症が考えられる変化か整理して報告する
この章の要点大腸がん患者の看護では、「血便あり」「発熱あり」「腹痛あり」と所見を単発で報告するのではなく、何が変化し、何と組み合わさっているかを整理することが重要です。
例えば術後患者であれば、
・術後何日目か
・手術方法と吻合部位
・ストーマやドレーンの有無
・発症時刻
・バイタルサインの変化
・腹痛の部位・程度・性質
・腹部膨満
・排便・排ガス
・嘔吐
・創部
・ドレーン排液
・尿量
・血液検査の推移
などから、縫合不全、腸閉塞、感染、出血、脱水などを考えます。
薬物療法中であれば、レジメン、最終投与日、発熱、好中球数、口腔・呼吸器・腹部・尿路症状、水分摂取などが重要です。
「体温38℃だから全員同じ対応」「排便が○日なければ全員報告」といった根拠のない共通基準を作るのではなく、患者背景、治療、院内基準、医師指示、経時変化を合わせて判断します。
治療後も再発だけでなく、新たな大腸病変や治療後の生活障害を継続してみる
この章の要点大腸がん治療後は、治療が終わった時点で観察終了ではありません。再発や新しい大腸病変を確認するため、病期や治療法に応じて定期的な診察、血液検査、画像検査、大腸内視鏡などを行います。
国立がん研究センターの一般向け情報では、手術後は治療後3年目まで血液検査を3カ月ごと、CTなどの画像検査を6カ月ごとに行い、4年目以降は血液検査を6カ月ごと、画像検査を6~12カ月ごとに行うことが目安として示されています。定期検査が必要な期間の目安は5年間です。ただし、実際の頻度はStageや治療内容によって異なります。
また再発は肝臓、肺、局所、腹膜、リンパ節などにみられることがあります。
したがってフォローアップではCEAなどの数値だけを見るのではなく、体重減少、食欲、便通、血便、腹痛、呼吸器症状、疼痛なども合わせて確認します。
大切なのは「CEA正常だから再発なし」と判断しないことです。腫瘍マーカーは補助的な指標であり、症状・診察・画像検査などと合わせて評価します。
大腸がん看護では「病期」「治療」「腸管機能」「生活」の4つをつなげて考える
この章の要点大腸がんを理解するときは、病名だけを暗記するより、次の流れで考えると臨床につながります。
まず「どこに、どの程度広がっているがんか」を確認します。次に、その病期と切除可能性から「内視鏡・手術・薬物療法など何を目的に行っている治療か」を把握します。
その上で、「その治療だからどの合併症が起こり得るか」を予測し、腹痛、排便、排ガス、出血、感染徴候、ドレーン、ストーマ、薬物療法の有害事象などを観察します。
そして最後に、排便障害、ストーマ、食事、仕事、外出など生活への影響まで確認します。
大腸がん看護で重要なのは、「血便」「便秘」「ストーマ」「CEA」などを別々の知識として覚えることではありません。腫瘍が腸管に起こることで何が生じ、治療によって何が変わり、その変化をどの所見から捉えるのかをつなげることです。
学習メモ・復習の予定気づきを自分の言葉で残す+
わかったこと、まだ曖昧なこと、次に調べたいことを残せます。
学びを、もう一度
復習日になると、ホームと復習リストで確認できます。
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この記事の編集方針
主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
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- 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2026年版大腸癌研究会/金原出版株式会社・2026年2026年7月発行。2024年版以降のエビデンスを踏まえ、薬物療法、免疫チェックポイント阻害薬、後方治療、バイオマーカー、高齢者の治療選択などを更新。見出し7・11に対応。原資料を開く
- 大腸がん(結腸がん・直腸がん)について国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス・更新時期は公式ページ参照大腸がんの定義、早期では自覚症状が乏しいこと、血便、便通異常、貧血、腸閉塞など。見出し1・3・4に対応。原資料を開く
- 大腸がん(結腸がん・直腸がん) 検査国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス・2025年更新確認大腸内視鏡、生検、CT、MRI、PET、KRAS・BRAF・HER2・MSI/MMR検査、CEA・CA19-9の目的と限界。見出し6に対応。原資料を開く
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- 大腸がん(結腸がん・直腸がん) 治療国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス・2025年3月確認病期と治療選択、内視鏡治療、手術、ストーマ、補助化学療法、切除不能進行・再発大腸がんへの薬物療法、術後合併症。見出し7~11・13に対応。原資料を開く
- 大腸がん検診について国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス・公式ページ確認時点2026年40歳から1年に1回の便潜血検査2日法、1日分でも陽性なら精密検査が必要であること、便潜血再検は精密検査の代用にならないこと。見出し5に対応。原資料を開く
- 大腸がん(結腸がん・直腸がん) 療養国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス・公式ページ確認時点2026年手術後の排便障害、排尿障害、腸閉塞への注意、治療後の経過観察。見出し12・15に対応。原資料を開く
- 大腸がんファクトシート 2024国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所・2024年大腸がんの病態、生活習慣・遺伝などのリスク、予防に関する根拠。見出し2に対応。原資料を開く