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読む前に押さえたいこと
外用薬は「皮膚に塗る薬」だけではなく、点眼薬、吸入薬、坐薬なども含む広い分類です。皮膚用製剤だけでも軟膏、クリーム、ローション、ゲル、スプレー、貼付剤があり、見た目が似ていても、成分の届け方と安全上の注意は同じではありません。この記事では、まず全体像を示し、次に剤形と作用目的の違い、皮膚からの吸収を変える条件、塗布・貼付時の確認、効果と副作用を見分ける観察、報告の要点までを、看護の流れに沿って整理します。製品ごとの電子添文を優先する理由も分かります。
外用薬は「塗り薬」より広い―まず適用部位で全体像をつかむ
この章の要点外用薬は、飲み込む内用薬や注射薬とは異なり、特定の部位へ適用する薬を広く指します。実務上の剤形区分には、皮膚用剤だけでなく、点眼剤、吸入剤、点鼻・点耳剤、坐剤、膣剤、注腸剤、口腔内に用いる薬なども含まれます。
ただし、これらを「体の外側に使う薬」とだけ覚えるのは危険です。適用した場所で作用する薬もあれば、皮膚や粘膜から吸収され、全身へ作用する薬もあります。投与経路を誤れば、期待した効果が得られないだけでなく、重い有害事象につながることがあります。
本記事では全体像を示したうえで、皮膚用製剤と貼付剤を詳しく扱います。点眼、吸入、坐薬などは、清潔操作、体位、デバイス操作、投与後の確認がそれぞれ異なるため、詳しい手技は対象外とします。
皮膚・頭皮・爪
- 主な剤形
- 軟膏、クリーム、ゲル、ローション、外用液、スプレー、外用散剤
- 看護で最初に区別する点
- 病変部で作用するのか、皮膚から全身へ吸収させるのか
- 本記事での扱い
- 詳しく扱う
皮膚から全身循環へ
- 主な剤形
- 経皮吸収型の貼付剤・外用液剤
- 看護で最初に区別する点
- 貼付部だけでなく全身性の効果・副作用を観察する
- 本記事での扱い
- 詳しく扱う
眼
- 主な剤形
- 点眼剤、眼軟膏
- 看護で最初に区別する点
- 無菌性、左右、点眼間隔、容器先端の接触
- 本記事での扱い
- 全体像のみ
鼻・耳・口腔
- 主な剤形
- 点鼻剤、点耳剤、口腔用剤、含嗽剤
- 看護で最初に区別する点
- 適用部位、姿勢、嚥下の可否
- 本記事での扱い
- 全体像のみ
気道
- 主な剤形
- 吸入粉末剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤
- 看護で最初に区別する点
- 吸入手技、吸気流量、デバイス管理
- 本記事での扱い
- 全体像のみ
直腸・膣・大腸
- 主な剤形
- 坐剤、膣剤、注腸剤
- 看護で最初に区別する点
- 挿入部位、体位、保持、排泄との関係
- 本記事での扱い
- 全体像のみ
| 適用部位・経路 | 主な剤形 | 看護で最初に区別する点 | 本記事での扱い |
|---|---|---|---|
| 皮膚・頭皮・爪 | 軟膏、クリーム、ゲル、ローション、外用液、スプレー、外用散剤 | 病変部で作用するのか、皮膚から全身へ吸収させるのか | 詳しく扱う |
| 皮膚から全身循環へ | 経皮吸収型の貼付剤・外用液剤 | 貼付部だけでなく全身性の効果・副作用を観察する | 詳しく扱う |
| 眼 | 点眼剤、眼軟膏 | 無菌性、左右、点眼間隔、容器先端の接触 | 全体像のみ |
| 鼻・耳・口腔 | 点鼻剤、点耳剤、口腔用剤、含嗽剤 | 適用部位、姿勢、嚥下の可否 | 全体像のみ |
| 気道 | 吸入粉末剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤 | 吸入手技、吸気流量、デバイス管理 | 全体像のみ |
| 直腸・膣・大腸 | 坐剤、膣剤、注腸剤 | 挿入部位、体位、保持、排泄との関係 | 全体像のみ |
外用薬の種類は「何をする薬か」と「どう届けるか」を分けて読む
この章の要点外用薬は、有効成分と剤形を別々に確認すると整理できます。有効成分は炎症を抑える、真菌を治療する、皮膚を保護するなどの作用を担います。剤形は、その成分を皮膚に留め、放出し、必要な場所へ届ける形です。
軟膏やクリームを構成する土台を「基剤」と呼びます。基剤は単なるかさ増しではありません。皮膚への広がり方、落ちにくさ、乾燥の防ぎ方、刺激感、有効成分の放出や吸収に関係します。
したがって、同じ有効成分・同じ表示濃度でも、軟膏、クリーム、ローションを自由に置き換えられるとは限りません。後発医薬品の評価でも、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、テープ剤、パップ剤などは異なる剤形として扱われ、基剤の性状や製剤特性が考慮されます。
ステロイド外用薬も、濃度の数字だけでは強さを比較できません。日本では薬効の強さが5段階に分類され、成分、剤形、使用部位、皮疹の状態を合わせて選ばれます。看護師が確認するのは「ステロイドかどうか」だけでなく、販売名・成分・強さ・剤形・塗布部位の組み合わせです。
軟膏剤
- 特徴
- 半固形。油脂性または水溶性などの基剤がある
- 使用場面の例
- 乾燥した皮膚、保護が必要な部位
- 確認点
- べたつき、被覆状態、衣類への付着
クリーム剤
- 特徴
- 水相と油相を乳化した半固形製剤
- 使用場面の例
- 比較的塗り広げやすさが必要な部位
- 確認点
- 刺激感、添加物、乳化型
ゲル剤
- 特徴
- 水性または油性のゲル基剤
- 使用場面の例
- 毛のある部位、使用感を重視する場合など
- 確認点
- 乾燥感、刺激感、製品固有の用法
ローション・外用液剤
- 特徴
- 流動性が高い
- 使用場面の例
- 頭皮、毛の多い部位、広い範囲
- 確認点
- 滴数や量、垂れ、眼や粘膜への流入
スプレー剤
- 特徴
- 噴霧して使用
- 使用場面の例
- 触れにくい部位、広い範囲
- 確認点
- 噴霧距離、吸入・眼への飛散、火気
テープ剤
- 特徴
- 水分をほとんど含まない貼付剤
- 使用場面の例
- 局所治療または経皮吸収
- 確認点
- 薬効、規格、貼付時間、皮膚障害
パップ剤
- 特徴
- 水分を含む貼付剤
- 使用場面の例
- 主に疼痛部位などへの局所使用
- 確認点
- 剥がれ、乾燥、貼付部位
外用散剤
- 特徴
- 粉末状の製剤
- 使用場面の例
- 製品ごとに定められた皮膚病変
- 確認点
- 飛散、吸入、湿潤による固着
| 剤形 | 特徴 | 使用場面の例 | 確認点 |
|---|---|---|---|
| 軟膏剤 | 半固形。油脂性または水溶性などの基剤がある | 乾燥した皮膚、保護が必要な部位 | べたつき、被覆状態、衣類への付着 |
| クリーム剤 | 水相と油相を乳化した半固形製剤 | 比較的塗り広げやすさが必要な部位 | 刺激感、添加物、乳化型 |
| ゲル剤 | 水性または油性のゲル基剤 | 毛のある部位、使用感を重視する場合など | 乾燥感、刺激感、製品固有の用法 |
| ローション・外用液剤 | 流動性が高い | 頭皮、毛の多い部位、広い範囲 | 滴数や量、垂れ、眼や粘膜への流入 |
| スプレー剤 | 噴霧して使用 | 触れにくい部位、広い範囲 | 噴霧距離、吸入・眼への飛散、火気 |
| テープ剤 | 水分をほとんど含まない貼付剤 | 局所治療または経皮吸収 | 薬効、規格、貼付時間、皮膚障害 |
| パップ剤 | 水分を含む貼付剤 | 主に疼痛部位などへの局所使用 | 剥がれ、乾燥、貼付部位 |
| 外用散剤 | 粉末状の製剤 | 製品ごとに定められた皮膚病変 | 飛散、吸入、湿潤による固着 |
軟膏・クリーム・ローションは、基剤と皮膚状態の相性が異なる
この章の要点剤形は、病変の性状、使用部位、刺激の受けやすさ、継続しやすさを考えて選びます。使用感だけの違いではありませんが、剤形名だけで適否を断定することもできません。
軟膏剤には油脂性だけでなく水溶性のものもあります。「軟膏はすべてワセリン」とは限りません。油脂性軟膏は皮膚を覆って水分の蒸発を抑えやすい一方、べたつきが継続の妨げになることがあります。
クリーム剤は水相と油相を乳化した半固形製剤です。水中油型と油中水型があり、同じ「クリーム」でも性質は一様ではありません。伸ばしやすさを好む患者がいる一方、水分、乳化剤、防腐剤などが刺激や接触皮膚炎に関係する場合があります。
ローションや外用液は、被髪部や広い範囲に塗り広げやすい反面、流れやすく、びらんや亀裂ではしみることがあります。懸濁タイプは、製品表示に「振って使用」などの指示があれば、均一にしてから用います。
アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでは、乾燥を基盤とする病変では軟膏を基本としつつ、夏季などは継続しやすさを考えてクリームを選ぶ場合や、頭部ではローションを用いる場合が示されています。これはアトピー性皮膚炎での考え方であり、すべての疾患へそのまま当てはめるものではありません。
軟膏剤
- 薬局方上の基本的な形
- 有効成分を基剤に溶解・分散した半固形製剤。油脂性と水溶性がある
- 一般的な特徴
- 油脂性では皮膚を覆いやすい。べたつくことがある
- 看護で確認する点
- 基剤の種類、乾燥・びらん・浸出液、衣類への付着、継続可能性
クリーム剤
- 薬局方上の基本的な形
- 水中油型または油中水型に乳化した半固形製剤
- 一般的な特徴
- 伸ばしやすい製品が多いが、性質は乳化型や添加剤で異なる
- 看護で確認する点
- 刺激感、新しい紅斑、亀裂・びらんへの使用可否、製品名
ゲル剤
- 薬局方上の基本的な形
- 水性または油性のゲル状製剤
- 一般的な特徴
- 広げやすく、べたつきが少ない製品がある
- 看護で確認する点
- アルコール等の添加剤、しみる感覚、乾燥、塗布面積
ローション・外用液
- 薬局方上の基本的な形
- 水性液に溶解・乳化・分散したものなど
- 一般的な特徴
- 被髪部や広い部位に用いやすい
- 看護で確認する点
- 流れて目や粘膜に入らないか、振とうの要否、液だれ、刺激感
リニメント剤
- 薬局方上の基本的な形
- 皮膚へすり込んで用いる液状・泥状製剤
- 一般的な特徴
- 「すり込む」ことを前提とする剤形
- 看護で確認する点
- 他の塗り薬と同じ方法で扱わず、製品の使用法を確認
スプレー・フォーム
- 薬局方上の基本的な形
- 霧、粉末、泡などとして噴霧する製剤
- 一般的な特徴
- 手で直接触れにくい部位へ適用しやすい
- 看護で確認する点
- 噴霧距離・回数、吸入・眼への飛散、火気、高圧容器の注意
外用散剤
- 薬局方上の基本的な形
- 皮膚・頭皮・爪へ散布する粉末製剤
- 一般的な特徴
- 粉末として局所へ適用する
- 看護で確認する点
- 飛散、吸入、湿潤部での固まり、指示部位以外への付着
| 剤形 | 薬局方上の基本的な形 | 一般的な特徴 | 看護で確認する点 |
|---|---|---|---|
| 軟膏剤 | 有効成分を基剤に溶解・分散した半固形製剤。油脂性と水溶性がある | 油脂性では皮膚を覆いやすい。べたつくことがある | 基剤の種類、乾燥・びらん・浸出液、衣類への付着、継続可能性 |
| クリーム剤 | 水中油型または油中水型に乳化した半固形製剤 | 伸ばしやすい製品が多いが、性質は乳化型や添加剤で異なる | 刺激感、新しい紅斑、亀裂・びらんへの使用可否、製品名 |
| ゲル剤 | 水性または油性のゲル状製剤 | 広げやすく、べたつきが少ない製品がある | アルコール等の添加剤、しみる感覚、乾燥、塗布面積 |
| ローション・外用液 | 水性液に溶解・乳化・分散したものなど | 被髪部や広い部位に用いやすい | 流れて目や粘膜に入らないか、振とうの要否、液だれ、刺激感 |
| リニメント剤 | 皮膚へすり込んで用いる液状・泥状製剤 | 「すり込む」ことを前提とする剤形 | 他の塗り薬と同じ方法で扱わず、製品の使用法を確認 |
| スプレー・フォーム | 霧、粉末、泡などとして噴霧する製剤 | 手で直接触れにくい部位へ適用しやすい | 噴霧距離・回数、吸入・眼への飛散、火気、高圧容器の注意 |
| 外用散剤 | 皮膚・頭皮・爪へ散布する粉末製剤 | 粉末として局所へ適用する | 飛散、吸入、湿潤部での固まり、指示部位以外への付着 |
貼付剤は「局所用か全身作用型か」を最初に見分ける
この章の要点貼付剤で最も重要なのは、テープかパップかだけでなく、作用させる場所を見分けることです。筋肉痛や関節痛など、貼付部周辺での作用を主に期待する製品がある一方、皮膚から成分を吸収させ、全身循環へ一定時間届ける経皮吸収型製剤があります。
薬局方では、ほとんど水を含まない基剤を使うものをテープ剤、水を含む基剤を使うものをパップ剤としています。ただし、「テープは強い」「パップは安全」といった単純な比較はできません。有効成分、含有量、面積、放出設計、皮膚状態が異なるためです。
全身作用型貼付剤では、貼付部の皮膚だけを見ていてはいけません。治療効果とともに、意識、呼吸、循環、消化器症状など、成分に応じた全身性作用を観察します。貼り替え時には、前回の製剤を剝がしたか、現在何枚あるか、貼付時刻と部位を確認します。
貼付剤を切ってよいかどうかは製品ごとに異なります。放出調節構造を壊したり、投与量が不正確になったりする可能性があるため、電子添文または明確な指示を確認せずに切りません。
製品固有の注意もあります。フェンタニル経皮吸収型製剤では、貼付部の加温による吸収増加と過量投与、呼吸抑制、切断禁止などが記載されています。ケトプロフェンテープでは、重い接触皮膚炎や、使用後しばらくして現れることもある光線過敏症に注意が必要です。これらをすべての貼付剤の性質と一般化せず、製品名まで確認することが安全管理の基本です。
局所作用型貼付剤
- 主な目的
- 貼付部周辺の炎症、痛み、皮膚病変などへの作用
- 観察の中心
- 痛み、腫脹、可動性、貼付部の紅斑・そう痒・水疱
- 特に確認すること
- 成分、適応部位、皮膚障害、光線過敏症などの製品固有情報
全身作用型貼付剤
- 主な目的
- 皮膚から吸収させ、全身で持続的に作用させる
- 観察の中心
- 期待する全身効果と、意識・呼吸・血圧等の薬理作用
- 特に確認すること
- 前回分の除去、枚数、規格、時刻、部位、発熱・加温、剝離、廃棄
薬剤を含まない貼付物
- 主な目的
- 保護、固定、創傷被覆など
- 観察の中心
- 皮膚障害、固定状態、浸出液
- 特に確認すること
- 医薬品か医療機器かを区別し、薬剤貼付歴へ誤記しない
| 分類 | 主な目的 | 観察の中心 | 特に確認すること |
|---|---|---|---|
| 局所作用型貼付剤 | 貼付部周辺の炎症、痛み、皮膚病変などへの作用 | 痛み、腫脹、可動性、貼付部の紅斑・そう痒・水疱 | 成分、適応部位、皮膚障害、光線過敏症などの製品固有情報 |
| 全身作用型貼付剤 | 皮膚から吸収させ、全身で持続的に作用させる | 期待する全身効果と、意識・呼吸・血圧等の薬理作用 | 前回分の除去、枚数、規格、時刻、部位、発熱・加温、剝離、廃棄 |
| 薬剤を含まない貼付物 | 保護、固定、創傷被覆など | 皮膚障害、固定状態、浸出液 | 医薬品か医療機器かを区別し、薬剤貼付歴へ誤記しない |
作用目的で分けると、外用薬を「何のために使うか」が見える
この章の要点外用薬は剤形だけでなく、治療目的でも整理します。同じ軟膏剤でも、保護剤、抗炎症薬、抗真菌薬では、期待する変化も観察する副作用も異なります。
例えば、保湿・保護剤は皮膚バリアを補う目的で使われます。抗炎症外用薬は紅斑、腫脹、そう痒などの炎症を抑えますが、感染そのものを治療する薬ではありません。抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬は対象となる病原体が異なり、外観だけで自由に選べるものではありません。
ステロイド外用薬では、皮疹の重症度、部位、年齢などに合わせて強さを選びます。必要量を必要期間使うことと、漫然と強い薬を続けないことの両方が重要です。「ステロイドだから少量だけ」「早く治したいから厚く塗る」という自己調整では、効果不足や副作用のどちらにもつながり得ます。
保湿・保護
- 主な薬の群・例
- ワセリン、保湿剤、保護剤
- 期待する変化
- 乾燥、亀裂、つっぱり感、そう痒の軽減
- 観察上の注意
- べたつきによる中断、接触皮膚炎、浸軟
抗炎症・免疫調整
- 主な薬の群・例
- ステロイド、カルシニューリン阻害薬、JAK阻害薬、PDE4阻害薬など
- 期待する変化
- 紅斑、腫脹、丘疹、そう痒、搔破の改善
- 観察上の注意
- 薬ごとの適用部位、刺激感、局所副作用、感染徴候
抗感染
- 主な薬の群・例
- 抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬
- 期待する変化
- 病原体に由来する皮疹・症状の改善
- 観察上の注意
- 診断の再確認、治療期間、悪化・拡大、接触皮膚炎
鎮痛・消炎
- 主な薬の群・例
- NSAIDs外用薬、局所麻酔薬など
- 期待する変化
- 痛み、腫脹、動作時症状の軽減
- 観察上の注意
- 皮膚反応、アレルギー、喘息歴、光線過敏症など
角化・細胞増殖の調整
- 主な薬の群・例
- 角化症、ざ瘡、乾癬などに用いる薬
- 期待する変化
- 鱗屑、角化、面皰、局面の改善
- 観察上の注意
- 刺激、乾燥、びらん、妊娠等の個別禁忌
創傷・潰瘍への作用
- 主な薬の群・例
- 壊死組織除去、肉芽形成、感染管理等を目的とする薬
- 期待する変化
- 創面、壊死組織、肉芽、浸出液の変化
- 観察上の注意
- 創傷原因、感染・虚血、外用薬と被覆材の組み合わせ
全身作用
- 主な薬の群・例
- 鎮痛、循環器、神経系などの経皮吸収型製剤
- 期待する変化
- 薬剤ごとの全身治療効果
- 観察上の注意
- 全身性副作用、貼付枚数、加温、相互作用、使用済み製剤
| 作用目的 | 主な薬の群・例 | 期待する変化 | 観察上の注意 |
|---|---|---|---|
| 保湿・保護 | ワセリン、保湿剤、保護剤 | 乾燥、亀裂、つっぱり感、そう痒の軽減 | べたつきによる中断、接触皮膚炎、浸軟 |
| 抗炎症・免疫調整 | ステロイド、カルシニューリン阻害薬、JAK阻害薬、PDE4阻害薬など | 紅斑、腫脹、丘疹、そう痒、搔破の改善 | 薬ごとの適用部位、刺激感、局所副作用、感染徴候 |
| 抗感染 | 抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬 | 病原体に由来する皮疹・症状の改善 | 診断の再確認、治療期間、悪化・拡大、接触皮膚炎 |
| 鎮痛・消炎 | NSAIDs外用薬、局所麻酔薬など | 痛み、腫脹、動作時症状の軽減 | 皮膚反応、アレルギー、喘息歴、光線過敏症など |
| 角化・細胞増殖の調整 | 角化症、ざ瘡、乾癬などに用いる薬 | 鱗屑、角化、面皰、局面の改善 | 刺激、乾燥、びらん、妊娠等の個別禁忌 |
| 創傷・潰瘍への作用 | 壊死組織除去、肉芽形成、感染管理等を目的とする薬 | 創面、壊死組織、肉芽、浸出液の変化 | 創傷原因、感染・虚血、外用薬と被覆材の組み合わせ |
| 全身作用 | 鎮痛、循環器、神経系などの経皮吸収型製剤 | 薬剤ごとの全身治療効果 | 全身性副作用、貼付枚数、加温、相互作用、使用済み製剤 |
皮膚からの吸収は、成分だけでなく皮膚・面積・密封・温度で変わる
この章の要点皮膚の最外層にある角層は、水分の喪失と異物の侵入を抑えるバリアです。正常な角層が保たれている場合と、炎症、びらん、潰瘍などでバリアが低下している場合では、薬剤の浸透や刺激の受け方が同じではありません。
吸収と作用を変える主な条件は次のとおりです。
- 有効成分の性質、濃度、剤形、基剤
- 顔、頭皮、頸部、外陰部、手掌、足底などの適用部位
- 炎症、亀裂、びらん、潰瘍、浸軟など皮膚バリアの状態
- 一回量、使用面積、回数、使用期間
- フィルム、手袋、おむつ、包帯などによる密封
- 発熱、電気毛布、カイロ、湯たんぽ、長時間の高温入浴などの温度条件
- 小児、高齢者などの年齢と皮膚状態
- 他の外用薬との重ね塗りや、独自の混合
密封は皮膚の水分量を増やし、成分の吸収を高めることがあります。そのため、自己判断でラップを巻いたり、塗布部を密閉したりしてはいけません。おむつや手袋も結果的に密封環境となる場合があるため、塗布部位と製品情報を確認します。
温度の影響は特に経皮吸収型製剤で問題になります。ただし、すべての貼付剤で影響の程度が同じではありません。看護では「貼付剤一般の決まり」とせず、発熱や外部熱源への曝露があったときに、使用製品の電子添文を再確認することが重要です。
1FTU
- FTUの目安
- 約0.5g
- 補足
- 成人、直径5mm程度のチューブが前提
塗布面積
- FTUの目安
- 成人の手のひら約2枚分
- 補足
- およそ体表面積2%
主な対象
- FTUの目安
- 軟膏・クリーム
- 補足
- 特にステロイド外用薬の量の目安
そのまま使えない例
- FTUの目安
- ローション、ポンプ、スプレー、貼付剤
- 補足
- 製品別の指示を確認
優先順位
- FTUの目安
- 処方・電子添文の量が優先
- 補足
- FTUは処方を変更する基準ではない
| 項目 | FTUの目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 1FTU | 約0.5g | 成人、直径5mm程度のチューブが前提 |
| 塗布面積 | 成人の手のひら約2枚分 | およそ体表面積2% |
| 主な対象 | 軟膏・クリーム | 特にステロイド外用薬の量の目安 |
| そのまま使えない例 | ローション、ポンプ、スプレー、貼付剤 | 製品別の指示を確認 |
| 優先順位 | 処方・電子添文の量が優先 | FTUは処方を変更する基準ではない |
塗布・貼付前は、薬だけでなく部位・量・皮膚状態を照合する
この章の要点安全に使用するには、処方と製品を確認した後、現在の皮膚を基準として記録する必要があります。変化の前後を比べられなければ、治療効果、原疾患の悪化、刺激、接触皮膚炎、感染を区別しにくくなるためです。
使用前には、少なくとも患者、販売名、成分・規格、剤形、目的、使用部位、量または枚数、回数・貼付時間、禁忌・アレルギー歴を照合します。「白い軟膏」「湿布」といった外観だけでは識別しません。
皮膚は、紅斑の色と範囲、腫脹、丘疹、水疱、膿疱、びらん、潰瘍、浸出液、痂皮、乾燥、熱感、痛み、そう痒を確認します。前回と同じ照明、体図、長さなどで記録すると経時変化を比較しやすくなります。写真を用いる場合は、同意と施設の情報管理手順に従います。
塗布部を清潔にする方法は製品ごとに確認します。「必ず石けんやアルコールで拭く」とは限りません。例えば一部の経皮吸収型製剤では、石けん、アルコール、ローションが吸収や密着に影響するため避けるよう記載されています。
塗る量の目安としてfinger-tip unit(FTU)が使われることがあります。口径5mmのチューブから成人の第2指先端から第1関節まで押し出した量が約0.5gで、英国成人の手掌約2枚分を覆う目安です。ただし、すべての外用薬に共通する処方量ではありません。年齢、皮膚状態、基剤、容器、有効成分によって必要量が異なるため、処方指示を優先します。
軟膏やクリームは、処方された量を必要な範囲へ均一に広げます。強くこすれば効きやすくなるわけではありません。ただし、リニメント剤のようにすり込む使用法が定義された剤形もあるため、製品の用法を確認します。
複数の外用薬について、すべてに通用する塗布順序はありません。処方指示を確認し、不明なら処方医または薬剤師へ問い合わせます。手のひらで独自に混ぜると、濃度、安定性、吸収、塗布範囲が変わる可能性があります。
貼付剤では、前回分を剝がしたことを全身で確認し、枚数を数えます。新しい貼付部位の皮膚状態を確認し、指示された部位へ貼付します。日時、部位、規格、枚数を記録し、剝がれやすさや患者自身で確認できる位置かも評価します。使用済み製剤にも成分が残る場合があるため、製品の指示に従って粘着面を内側に折る、返却するなどの方法で安全に処理します。
炎症のある皮膚
- 基本動作
- やさしく塗り広げる
- 理由
- 摩擦刺激を避ける
塗擦が指示された製品
- 基本動作
- 指示された方法で塗る
- 理由
- 製品により使用法が異なる
非健常皮膚・体液に触れる
- 基本動作
- 手袋を使用する
- 理由
- 曝露・交差感染を減らす
手袋の着脱前後
- 基本動作
- 手指衛生を行う
- 理由
- 手袋は完全な防護ではない
チューブ製剤
- 基本動作
- 先端を患部へ触れさせない
- 理由
- 容器内の汚染を防ぐ
壺・広口容器
- 基本動作
- 清潔なへらなどで取り出す
- 理由
- 直接接触による汚染を減らす
| 場面 | 基本動作 | 理由 |
|---|---|---|
| 炎症のある皮膚 | やさしく塗り広げる | 摩擦刺激を避ける |
| 塗擦が指示された製品 | 指示された方法で塗る | 製品により使用法が異なる |
| 非健常皮膚・体液に触れる | 手袋を使用する | 曝露・交差感染を減らす |
| 手袋の着脱前後 | 手指衛生を行う | 手袋は完全な防護ではない |
| チューブ製剤 | 先端を患部へ触れさせない | 容器内の汚染を防ぐ |
| 壺・広口容器 | 清潔なへらなどで取り出す | 直接接触による汚染を減らす |
外用薬全体に共通する検査値はなく、経時変化と原因の再評価が中心になる
この章の要点外用薬に共通する「この値なら効いている」「この数値なら報告する」という検査基準はありません。基本となるのは、治療対象の症状と皮膚所見がどう変化したかを、使用状況と合わせて評価することです。
改善が乏しいときは、直ちに薬を強くするのではなく、次を確認します。
- 診断と治療目的は合っているか
- 指示された部位と実際の塗布部位が一致しているか
- 必要な範囲へ十分量が使われているか
- 使用回数、期間、貼付時間が守られているか
- べたつき、刺激、手が届かないなどで中断していないか
- 感染、接触皮膚炎、搔破、洗浄剤などの悪化要因がないか
- 他の外用薬、市販薬、化粧品、被覆材を併用していないか
接触皮膚炎では、原因物質を皮膚へ一定条件で貼付して反応を見るパッチテストが、アレルギー性接触皮膚炎の原因を調べる有用な検査です。治療用の貼付剤とは別物です。試料の濃度、基剤、貼付時間、判定時期などが結果へ影響するため、専門的な実施と解釈が必要です。刺激性接触皮膚炎を含むすべての「かぶれ」を、一回の検査だけで判定できるわけではありません。
薬によっては、全身移行や副作用を評価するために検査が必要になる場合があります。しかし、必要な検査と時期は有効成分、使用量、面積、期間、患者背景で異なります。外用薬共通の採血項目を作らず、電子添文と個別の治療計画に従います。
順番が指示されている
- 対応
- 指示どおり使用する
- 根拠の位置づけ
- 最優先
指示がなく、保湿剤と病変部用薬を使う
- 対応
- 広範囲用を先にする方法がある
- 根拠の位置づけ
- 学会の実用的案内
塗布間隔が不明
- 対応
- 薬剤師・処方医へ確認する
- 根拠の位置づけ
- 比較研究が乏しい
別々の外用薬
- 対応
- 自己判断で混ぜない
- 根拠の位置づけ
- 濃度・基剤が変わる可能性
調剤済み混合製剤
- 対応
- 調剤時の説明に従う
- 根拠の位置づけ
- 保存条件と使用期限も確認
| 状況 | 対応 | 根拠の位置づけ |
|---|---|---|
| 順番が指示されている | 指示どおり使用する | 最優先 |
| 指示がなく、保湿剤と病変部用薬を使う | 広範囲用を先にする方法がある | 学会の実用的案内 |
| 塗布間隔が不明 | 薬剤師・処方医へ確認する | 比較研究が乏しい |
| 別々の外用薬 | 自己判断で混ぜない | 濃度・基剤が変わる可能性 |
| 調剤済み混合製剤 | 調剤時の説明に従う | 保存条件と使用期限も確認 |
看護観察は「効いたか・皮膚障害か・全身作用か」を分けてつなげる
この章の要点観察では、単に「発赤あり」と記録するのではなく、治療前からあった所見か、新しく生じた所見かを区別します。さらに、薬を塗った範囲、症状が現れた時期、ほかの局所・全身所見と組み合わせて意味を考えます。
原疾患の改善なら、対象としていた紅斑、腫脹、そう痒、痛み、浸出液などが時間とともに軽減します。一方、塗布後に灼熱感が強まり、新しい小水疱や、塗布・貼付範囲に沿った紅斑が現れた場合は、刺激性またはアレルギー性接触皮膚炎を考えます。外用薬による接触皮膚炎は、原疾患が悪化・難治化したように見えることがあり、主薬だけでなく基剤や防腐剤が原因となる場合もあります。
感染を疑う所見には、急速な拡大、熱感・腫脹・疼痛の増強、膿性分泌物、悪臭、発熱、全身倦怠感などがあります。炎症を抑える薬で赤みが一時的に弱く見えても、感染が治療されたとは限りません。創部、皮膚周囲、全身状態を合わせて評価します。
紅斑、腫脹、丘疹、鱗屑、浸出液の範囲
- なぜ見るか
- 治療対象の改善度を判断する
- 変化が意味し得ること
- 縮小・軽減は効果、拡大は原疾患悪化、感染、接触皮膚炎など
- 組み合わせる所見・対応
- 使用開始時と比較し、塗布範囲・使用量・経過時間も確認
そう痒、痛み、灼熱感
- なぜ見るか
- 見た目より先に変化することがある
- 変化が意味し得ること
- そう痒・痛みの軽減は効果、新しい灼熱感は刺激の可能性
- 組み合わせる所見・対応
- 水疱、亀裂、びらん、使用直後か遅れて出たかを確認
新しい水疱、膿疱、びらん、痂皮
- なぜ見るか
- 重い皮膚反応や感染を見逃さない
- 変化が意味し得ること
- 接触皮膚炎、感染、原疾患の変化
- 組み合わせる所見・対応
- 発熱、疼痛、悪臭、全身への拡大、粘膜病変を確認
貼付部と一致する境界明瞭な紅斑
- なぜ見るか
- 薬剤・粘着剤・密封の影響を考える
- 変化が意味し得ること
- 刺激性反応、アレルギー性接触皮膚炎、浸軟
- 組み合わせる所見・対応
- 貼付時間、同一部位の反復、汗、ずれ、他製品を確認
薬の残量、使用回数、塗布面積
- なぜ見るか
- 効果不十分が薬効ではなく使用状況による場合がある
- 変化が意味し得ること
- 少量使用、中断、過量使用、誤部位への使用
- 組み合わせる所見・対応
- 患者の実演、理解、手の届きやすさ、生活状況を確認
貼付剤の枚数、規格、日時、部位
- なぜ見るか
- 剝がし忘れや重複貼付を防ぐ
- 変化が意味し得ること
- 過量投与、治療不足、皮膚障害
- 組み合わせる所見・対応
- 全身を確認し、前回分の除去、剝離、発熱・加温を再確認
意識、呼吸、循環、嘔気、便秘等
- なぜ見るか
- 全身作用型貼付剤は全身性副作用を起こし得る
- 変化が意味し得ること
- 薬理作用の増強、過量投与、相互作用
- 組み合わせる所見・対応
- 使用薬、貼付枚数、貼付時刻、体温、外部熱源、併用薬を確認
患者の理解と負担感
- なぜ見るか
- 継続できない理由を明らかにする
- 変化が意味し得ること
- べたつき、刺激、恐怖、複雑な手順による中断
- 組み合わせる所見・対応
- 患者の希望を処方医・薬剤師と共有し、剤形変更の可否を相談
| 観察すること | なぜ見るか | 変化が意味し得ること | 組み合わせる所見・対応 |
|---|---|---|---|
| 紅斑、腫脹、丘疹、鱗屑、浸出液の範囲 | 治療対象の改善度を判断する | 縮小・軽減は効果、拡大は原疾患悪化、感染、接触皮膚炎など | 使用開始時と比較し、塗布範囲・使用量・経過時間も確認 |
| そう痒、痛み、灼熱感 | 見た目より先に変化することがある | そう痒・痛みの軽減は効果、新しい灼熱感は刺激の可能性 | 水疱、亀裂、びらん、使用直後か遅れて出たかを確認 |
| 新しい水疱、膿疱、びらん、痂皮 | 重い皮膚反応や感染を見逃さない | 接触皮膚炎、感染、原疾患の変化 | 発熱、疼痛、悪臭、全身への拡大、粘膜病変を確認 |
| 貼付部と一致する境界明瞭な紅斑 | 薬剤・粘着剤・密封の影響を考える | 刺激性反応、アレルギー性接触皮膚炎、浸軟 | 貼付時間、同一部位の反復、汗、ずれ、他製品を確認 |
| 薬の残量、使用回数、塗布面積 | 効果不十分が薬効ではなく使用状況による場合がある | 少量使用、中断、過量使用、誤部位への使用 | 患者の実演、理解、手の届きやすさ、生活状況を確認 |
| 貼付剤の枚数、規格、日時、部位 | 剝がし忘れや重複貼付を防ぐ | 過量投与、治療不足、皮膚障害 | 全身を確認し、前回分の除去、剝離、発熱・加温を再確認 |
| 意識、呼吸、循環、嘔気、便秘等 | 全身作用型貼付剤は全身性副作用を起こし得る | 薬理作用の増強、過量投与、相互作用 | 使用薬、貼付枚数、貼付時刻、体温、外部熱源、併用薬を確認 |
| 患者の理解と負担感 | 継続できない理由を明らかにする | べたつき、刺激、恐怖、複雑な手順による中断 | 患者の希望を処方医・薬剤師と共有し、剤形変更の可否を相談 |
患者説明では「どこに・どれだけ・いつまで・何が起きたら連絡するか」を具体化する
この章の要点外用薬の説明は「患部に塗ってください」だけでは足りません。患者が再現できるように、部位・量・回数・期間・注意症状を具体的に示します。
体図や実物を用いて、塗る場所と塗らない場所、1回量、使用時刻を説明します。患者または介護者に実際の手順を言葉や動作で返してもらうと、左右や部位の誤り、量の思い違い、貼り替え忘れを確認できます。
よくある誤解は次のように修正します。
- 「外用薬だから全身には影響しない」
経皮吸収型製剤や、広範囲・長期間・バリアの低下した皮膚への使用では、全身作用が問題になることがあります。
- 「同じ成分名なら軟膏とクリームを交換できる」
基剤と放出特性が異なるため、処方どおりの剤形を使用します。
- 「薄く少なく塗るほど安全」
不足すると炎症が十分に抑えられません。処方量または説明された目安を守ります。
- 「早く効かせるため強く擦り込む」
摩擦で病変を刺激することがあります。リニメント剤などの例外を除き、指示された範囲へやさしく広げます。
- 「二つの薬を混ぜれば一度で済む」
安定性や吸収が変わる可能性があります。独自に混ぜず、順番を確認します。
- 「貼付剤は大きければ切ればよい」
切断できない製品があります。明確な指示がない限り切りません。
- 「貼付部が赤いのは、効いている証拠」
刺激、接触皮膚炎、密封による浸軟の可能性があります。そう痒、水疱、拡大、痛みを伴う場合は相談します。
- 「痛み止めの貼付剤はすべて同じ注意でよい」
成分によって禁忌や光線過敏症などの注意が異なります。袋や説明書を保管し、販売名を確認できるようにします。
手洗いは基本ですが、手そのものを治療する場合や、薬剤によって洗い流すまでの時間が指定される場合があります。眼、口、粘膜、創面、顔、外陰部へ使用できるかも製品ごとに異なります。
残薬を別の皮疹へ自己判断で使用したり、他人へ渡したりしないことも説明します。貼付剤は小児や同居者へ偶発的に付着しないよう管理し、使用済み製剤も製品ごとの方法で廃棄します。
外用薬は、名前ではなく「作用・剤形・部位・変化」を一組で捉える
この章の要点外用薬を安全に理解する要点は、何のための薬か、どの形で、どこへ使うかを分けて確認することです。同じ成分でも剤形や基剤が違えば、塗りやすさだけでなく、放出、吸収、刺激、継続しやすさが変わります。
看護では、使用前の皮膚状態を基準にし、治療対象の改善、新しい局所反応、感染徴候、全身作用を区別して追います。貼付剤は局所作用型か全身作用型かを確認し、前回分の除去、枚数、貼付時刻、部位、発熱・加温を記録します。
効果が乏しいときは、薬の強さだけでなく、診断、使用量、塗布範囲、継続状況、剤形の適合、感染、接触皮膚炎を再評価します。判断に迷うときは、販売名と具体的な経時変化をそろえ、処方医と薬剤師へつなぐことが、安全な外用療法を支える看護です。
T:組織
- 観察内容
- 肉芽、壊死、スラフ
- 外用薬・基剤との関係
- デブリードマンの必要性や治療目的を確認
I:感染・炎症
- 観察内容
- 発赤、熱感、腫脹、疼痛、臭気
- 外用薬・基剤との関係
- 抗菌薬だけでなく感染評価が必要
M:湿潤
- 観察内容
- 滲出液の量・性状、浸軟、乾燥
- 外用薬・基剤との関係
- 吸水性・保護性が創面に合うか確認
E:創縁
- 観察内容
- 上皮化、ポケット、創縁の停滞
- 外用薬・基剤との関係
- 治癒の進行や圧・摩擦を評価
周囲皮膚
- 観察内容
- 発赤、びらん、接触皮膚炎
- 外用薬・基剤との関係
- 漏れ、基剤、固定材の影響を確認
経時変化
- 観察内容
- 面積、深さ、疼痛、滲出液
- 外用薬・基剤との関係
- 効果の乏しい治療を漫然と続けない
| TIMEの要素 | 観察内容 | 外用薬・基剤との関係 |
|---|---|---|
| T:組織 | 肉芽、壊死、スラフ | デブリードマンの必要性や治療目的を確認 |
| I:感染・炎症 | 発赤、熱感、腫脹、疼痛、臭気 | 抗菌薬だけでなく感染評価が必要 |
| M:湿潤 | 滲出液の量・性状、浸軟、乾燥 | 吸水性・保護性が創面に合うか確認 |
| E:創縁 | 上皮化、ポケット、創縁の停滞 | 治癒の進行や圧・摩擦を評価 |
| 周囲皮膚 | 発赤、びらん、接触皮膚炎 | 漏れ、基剤、固定材の影響を確認 |
| 経時変化 | 面積、深さ、疼痛、滲出液 | 効果の乏しい治療を漫然と続けない |
学習メモ・復習の予定気づきを自分の言葉で残す+
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この記事の編集方針
主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
詳しい編集方針を見る →参考にした資料
- 第十九改正日本薬局方(通則~一般試験法)厚生労働省・2026製剤総則[1]製剤通則、[3]製剤各条11.1~11.7を確認。剤形の分類、外用固形剤・液剤・スプレー剤・軟膏剤・クリーム剤・ゲル剤・貼付剤、テープ剤・パップ剤の定義を見出し1~4で使用。原資料を開く
- 「後発医薬品の必要な規格を揃えること等について」の一部改正について厚生労働省・2020後発医薬品の規格揃えに関するQ&A、別表1「剤形区分」外用薬(PDF 7頁)を確認。点眼、吸入、耳鼻科用、坐剤・膣剤、注腸剤、口嗽剤を含む実務上の広い外用薬区分を見出し1で使用。原資料を開く
- 「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドライン」等の一部改正について厚生労働省・2025別紙1第1章・第2章、別紙2第1章を確認。局所作用型と全身作用型の区別、剤形ごとの別扱い、基剤・製剤特性が同等性に関わる点を見出し2・4で使用。原資料を開く
残り5件の参考資料を見る原資料・発行元・発行年を確認できます+
- 「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の一部改正について厚生労働省・2025Q7~Q9を確認。皮膚バリア低下時の全身移行、剤形・基剤の性状差、ステロイド外用薬の曝露条件を見出し2・6で使用。原資料を開く
- アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024公益社団法人日本皮膚科学会・一般社団法人日本アレルギー学会・2024第I章3.1の剤型選択・外用量・部位別注意(PDF 21~22頁)と3.5保湿外用薬(PDF 42頁)を確認。剤形選択、ステロイドの5段階、FTU、保湿・保護、再評価を見出し3・5・7~9で使用。適用は主にアトピー性皮膚炎。原資料を開く
- 接触皮膚炎診療ガイドライン2020公益社団法人日本皮膚科学会・2020パッチテスト(PDF 6~7頁)と医薬品・医療材料による接触皮膚炎(PDF 25~27頁)を確認。外用薬の主剤・基剤・防腐剤による接触皮膚炎、症状悪化・難治化、検査の目的と限界を見出し8~10で使用。原資料を開く