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読む前に押さえたいこと
「JCS 10と20の違いは?」「GCSのM4とM5が分からない」「挿管中なのにV1でいいの?」。意識レベルの評価は国家試験でも臨床でも頻繁に登場しますが、数字だけを暗記すると実際の患者を前に迷いやすい分野です。
大切なのは、JCSは主に覚醒の程度を軸に評価し、GCSは開眼・言語・運動の3つの反応を分けて評価するという基本を理解することです。JCSとGCSは似ていますが、同じ情報を別の数字で表したものではありません。この記事では、判定基準だけでなく、実際の評価手順、迷いやすいポイント、記録・報告まで整理します。
JCSとGCSは何が違う?まず「評価する軸」を押さえる
この章の要点JCSとGCSはいずれも、意識状態を一定の基準で表現するために用いられる尺度です。しかし、構造は大きく異なります。
JCS(Japan Coma Scale)は、患者が刺激なしで覚醒しているか、刺激すると覚醒するか、刺激しても覚醒しないかを大きな軸として分類します。0を意識清明とし、1・2・3、10・20・30、100・200・300の合計10段階で表します。厚生労働省資料でも同じ分類が掲載されています。
一方、GCS(Glasgow Coma Scale)は、E:Eye opening(開眼)、V:Verbal response(言語反応)、M:Motor response(運動反応)をそれぞれ独立して評価します。合計は3〜15点ですが、公式資料では合計点だけではなく、E・V・Mそれぞれの反応を記録・伝達することが重視されています。
覚え方としては、
JCS=「起きているか」を中心に見る
GCS=「目・言葉・動き」を分けて見る
と整理すると理解しやすくなります。
ただし、JCSも単に開眼だけを見る尺度ではありません。JCS 1〜3では見当識や氏名・生年月日の回答、JCS 100〜300では刺激に対する運動反応まで含めて判断します。
正式名称
- JCS
- Japan Coma Scale
- GCS
- Glasgow Coma Scale
主な構造
- JCS
- 覚醒度を中心とした段階評価
- GCS
- E・V・Mの3成分
最も良い状態
- JCS
- JCS 0
- GCS
- E4V5M6=15
重症になると
- JCS
- 数字が大きくなる
- GCS
- 点数が低くなる
評価範囲
- JCS
- 0、1〜3、10〜30、100〜300
- GCS
- 3〜15点
特徴
- JCS
- 比較的簡潔
- GCS
- 反応を3方向から詳しく記述できる
記録例
- JCS
- JCS 20
- GCS
- E3V4M6
注意
- JCS
- 数字だけでなく反応内容を確認する
- GCS
- 合計点だけでなくE・V・Mの内訳を確認する
| 比較 | JCS | GCS |
|---|---|---|
| 正式名称 | Japan Coma Scale | Glasgow Coma Scale |
| 主な構造 | 覚醒度を中心とした段階評価 | E・V・Mの3成分 |
| 最も良い状態 | JCS 0 | E4V5M6=15 |
| 重症になると | 数字が大きくなる | 点数が低くなる |
| 評価範囲 | 0、1〜3、10〜30、100〜300 | 3〜15点 |
| 特徴 | 比較的簡潔 | 反応を3方向から詳しく記述できる |
| 記録例 | JCS 20 | E3V4M6 |
| 注意 | 数字だけでなく反応内容を確認する | 合計点だけでなくE・V・Mの内訳を確認する |
JCSは「1桁・2桁・3桁」を最初に判断すると迷いにくい
この章の要点JCSを評価するときは、最初から「10か20か30か」と考えるより、まず刺激なしで覚醒しているのか、刺激すれば覚醒するのか、刺激しても覚醒しないのかを判断すると整理しやすくなります。
JCS 0は意識清明です。
1桁のJCS 1〜3は、刺激をしなくても覚醒している状態です。
JCS 1は「意識清明とはいえない」、JCS 2は「見当識障害がある」、JCS 3は「自分の名前・生年月日が言えない」と分類されます。
2桁の10〜30では、患者は刺激がなければ十分に覚醒しておらず、どの程度の刺激で開眼するかをみます。
JCS 10は普通の呼びかけで容易に開眼します。
JCS 20は大きな声や体を揺さぶる刺激で開眼します。
JCS 30は痛み刺激を加えながら呼びかけを繰り返すことで、辛うじて開眼する状態です。
3桁の100〜300では、刺激をしても覚醒しません。ここでは痛み刺激に対する反応の程度を評価します。
JCS 100では払いのけるような動作がみられます。
JCS 200では少し手足を動かす、あるいは顔をしかめる程度の反応があります。
JCS 300では痛み刺激にも反応しません。
つまりJCSは、
**起きている → 1桁
刺激で起きる → 2桁
刺激しても起きない → 3桁**
という大分類を先に押さえるのがポイントです。
0
- 状態
- 意識清明
- 判断のポイント
- 明らかな意識障害なし
1
- 状態
- 刺激なしで覚醒
- 判断のポイント
- 意識清明とはいえない
2
- 状態
- 刺激なしで覚醒
- 判断のポイント
- 見当識障害あり
3
- 状態
- 刺激なしで覚醒
- 判断のポイント
- 自分の名前・生年月日が言えない
10
- 状態
- 刺激で覚醒
- 判断のポイント
- 普通の呼びかけで容易に開眼
20
- 状態
- 刺激で覚醒
- 判断のポイント
- 大声・体を揺さぶることで開眼
30
- 状態
- 刺激で覚醒
- 判断のポイント
- 痛み刺激+繰り返す呼びかけで辛うじて開眼
100
- 状態
- 刺激しても覚醒しない
- 判断のポイント
- 痛みに対して払いのけるような動作
200
- 状態
- 刺激しても覚醒しない
- 判断のポイント
- 手足を少し動かす・顔をしかめる
300
- 状態
- 刺激しても覚醒しない
- 判断のポイント
- 痛み刺激にも反応なし
| JCS | 状態 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 0 | 意識清明 | 明らかな意識障害なし |
| 1 | 刺激なしで覚醒 | 意識清明とはいえない |
| 2 | 刺激なしで覚醒 | 見当識障害あり |
| 3 | 刺激なしで覚醒 | 自分の名前・生年月日が言えない |
| 10 | 刺激で覚醒 | 普通の呼びかけで容易に開眼 |
| 20 | 刺激で覚醒 | 大声・体を揺さぶることで開眼 |
| 30 | 刺激で覚醒 | 痛み刺激+繰り返す呼びかけで辛うじて開眼 |
| 100 | 刺激しても覚醒しない | 痛みに対して払いのけるような動作 |
| 200 | 刺激しても覚醒しない | 手足を少し動かす・顔をしかめる |
| 300 | 刺激しても覚醒しない | 痛み刺激にも反応なし |
GCSはE・V・Mを別々に評価する|合計点だけでは患者像が分からない
この章の要点GCSでは、開眼・言語・運動をそれぞれ評価します。
E:Eye openingは4〜1点です。
E4は自発的に開眼している状態、E3は声かけで開眼、E2は圧刺激で開眼、E1は反応なしです。現在のGlasgow Coma Scale公式資料では、従来よく使われる「to pain」ではなく「to pressure」という表現が使用されています。
V:Verbal responseは5〜1点です。
V5は氏名・場所・日付などについて見当識が保たれている状態です。
V4は見当識は正しくないものの、会話としては成立します。
V3は理解可能な単語は発するものの、まとまった会話として成立しません。
V2はうめき声などの音声のみ、V1は音声反応なしです。
M:Motor responseは6〜1点です。
M6は命令に従える状態です。
M5は刺激された部位へ手を持っていくなど、刺激を認識して局在化する反応です。
M4は刺激に対して上肢を素早く屈曲させて逃避する正常屈曲、M3は異常屈曲、M2は伸展、M1は運動反応なしです。
たとえばGCS 12点だけでは、どこが低下しているのか分かりません。
E2V4M6も12点、E3V3M6も12点です。しかし前者は開眼反応の低下、後者は言語反応の低下がより目立ちます。
そのため、「GCS 12」だけではなく「E2V4M6」のように内訳を確認することが重要です。GCS公式サイトでも、臨床では3成分を個別に記述することが推奨されています。
E
- 点数
- 4
- 評価
- 自発的に開眼
E
- 点数
- 3
- 評価
- 声かけで開眼
E
- 点数
- 2
- 評価
- 圧刺激で開眼
E
- 点数
- 1
- 評価
- 開眼なし
V
- 点数
- 5
- 評価
- 見当識あり
V
- 点数
- 4
- 評価
- 見当識は不正確だが会話可能
V
- 点数
- 3
- 評価
- 理解可能な単語
V
- 点数
- 2
- 評価
- うめき声などの音声
V
- 点数
- 1
- 評価
- 音声反応なし
M
- 点数
- 6
- 評価
- 命令に従う
M
- 点数
- 5
- 評価
- 刺激を局在化する
M
- 点数
- 4
- 評価
- 正常屈曲・逃避
M
- 点数
- 3
- 評価
- 異常屈曲
M
- 点数
- 2
- 評価
- 伸展
M
- 点数
- 1
- 評価
- 運動反応なし
| 項目 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|
| E | 4 | 自発的に開眼 |
| E | 3 | 声かけで開眼 |
| E | 2 | 圧刺激で開眼 |
| E | 1 | 開眼なし |
| V | 5 | 見当識あり |
| V | 4 | 見当識は不正確だが会話可能 |
| V | 3 | 理解可能な単語 |
| V | 2 | うめき声などの音声 |
| V | 1 | 音声反応なし |
| M | 6 | 命令に従う |
| M | 5 | 刺激を局在化する |
| M | 4 | 正常屈曲・逃避 |
| M | 3 | 異常屈曲 |
| M | 2 | 伸展 |
| M | 1 | 運動反応なし |
GCSは「CHECK→OBSERVE→STIMULATE→RATE」の順に評価する
この章の要点GCSは、いきなり強い刺激を加えて点数を決めるものではありません。
Glasgow Coma Scale公式のStructured Approachでは、
CHECK → OBSERVE → STIMULATE → RATE
という順序が示されています。
まずCHECKでは、評価を妨げる要因がないか確認します。
挿管・気管切開、鎮静薬、筋弛緩薬、失語、聴覚障害、言語の違い、眼瞼の腫脹、麻痺、脊髄損傷などによって、本来の意識状態とは別の理由で反応できないことがあります。
次にOBSERVEです。
患者へ刺激を加える前に、自発的に目を開けているか、話しているか、左右の手足を動かしているかを観察します。
自発反応が得られなければ、STIMULATEへ進みます。
まず声かけを行い、それでも十分な反応がなければ必要に応じて身体的刺激を使用します。
GCS公式Assessment Aidでは、指先への圧迫、僧帽筋への刺激、眼窩上切痕への圧迫が例示されています。
胸骨を拳で強くこするいわゆるsternal rubは、皮下出血などを生じる可能性があり、反応の解釈も難しいとしてGCS公式資料では強く推奨されていません。
最後にRATEとして、観察された最も良い反応を基準にE・V・Mを決定します。
刺激は「患者を痛がらせること」が目的ではありません。反応を評価するために必要な範囲で、標準化された方法を用いることが重要です。
CHECK
- すること
- 評価を妨げる因子を確認
- 具体例
- 挿管、鎮静、麻痺、失語、眼瞼腫脹
OBSERVE
- すること
- 刺激前の自発反応を見る
- 具体例
- 開眼、発語、自発運動
STIMULATE
- すること
- 必要な刺激を段階的に加える
- 具体例
- 声かけ→身体刺激
RATE
- すること
- 最も良い反応を判定
- 具体例
- E・V・Mをそれぞれ記録
身体刺激
- すること
- 標準化した部位を使う
- 具体例
- 指先、僧帽筋、眼窩上切痕
避けたい刺激
- すること
- 評価しにくく損傷につながる刺激
- 具体例
- 胸骨を拳で強くこする方法
| 手順 | すること | 具体例 |
|---|---|---|
| CHECK | 評価を妨げる因子を確認 | 挿管、鎮静、麻痺、失語、眼瞼腫脹 |
| OBSERVE | 刺激前の自発反応を見る | 開眼、発語、自発運動 |
| STIMULATE | 必要な刺激を段階的に加える | 声かけ→身体刺激 |
| RATE | 最も良い反応を判定 | E・V・Mをそれぞれ記録 |
| 身体刺激 | 標準化した部位を使う | 指先、僧帽筋、眼窩上切痕 |
| 避けたい刺激 | 評価しにくく損傷につながる刺激 | 胸骨を拳で強くこする方法 |
JCSとGCSはどう使い分ける?「どちらが優れているか」ではなく目的が違う
この章の要点JCSとGCSは、どちらか一方が正解という関係ではありません。
JCSは一軸型で比較的簡潔に意識状態を表現でき、日本の救急・脳神経領域を中心に広く使用されています。一方、GCSはE・V・Mの3つを個別に評価するため、患者の反応をより細かく記述できます。
SNSでは「JCSは急変時にパッと見るもの、GCSは経過を詳しく見るもの」と説明されることがあります。
実際の臨床では、診療科、患者背景、救急・外傷・脳卒中などの領域、施設の記録様式によって用いられるスケールが異なります。
重要なのは、同じ患者を同じ方法で繰り返し評価し、経時的な変化を拾うことです。
また、JCSとGCSは単純に数字を置き換えるものではありません。
2023年に掲載された日本の多施設研究ではJCSからGCSへの換算方法が研究されていますが、これは8,194人の成人救急患者データから開発・検証された統計的換算法です。JCSとGCSが本質的に同一の尺度という意味ではありません。
新人看護師が患者を評価するときは、換算表を暗記するよりも、それぞれのスケールを基準どおり評価できることを優先しましょう。
評価構造
- JCS
- 主に覚醒度を軸とした一軸型
- GCS
- E・V・Mの3軸
情報量
- JCS
- 比較的シンプル
- GCS
- 反応の違いを細かく表現
国内での使用
- JCS
- 広く使用される
- GCS
- 救急・外傷・神経領域などで使用
国際的な利用
- JCS
- 日本中心
- GCS
- 国際的に広く使用
経時変化
- JCS
- 評価可能
- GCS
- E・V・Mごとの変化を追える
単純換算
- JCS
- 原則として別の尺度として考える
- GCS
- 同左
実際の選択
- JCS
- 施設・診療領域のルールに従う
- GCS
- 施設・診療領域のルールに従う
| 観点 | JCS | GCS |
|---|---|---|
| 評価構造 | 主に覚醒度を軸とした一軸型 | E・V・Mの3軸 |
| 情報量 | 比較的シンプル | 反応の違いを細かく表現 |
| 国内での使用 | 広く使用される | 救急・外傷・神経領域などで使用 |
| 国際的な利用 | 日本中心 | 国際的に広く使用 |
| 経時変化 | 評価可能 | E・V・Mごとの変化を追える |
| 単純換算 | 原則として別の尺度として考える | 同左 |
| 実際の選択 | 施設・診療領域のルールに従う | 施設・診療領域のルールに従う |
GCSで最も迷いやすいM4とM5は「刺激の場所へ手が向かうか」で考える
この章の要点GCSの運動反応で特に混乱しやすいのがM4とM5です。
M5はLocalising、つまり刺激がどこに加わっているかを認識し、その刺激を取り除こうとする方向へ動く反応です。
公式Assessment Aidでは、頭部・頸部への刺激に対して手を鎖骨より上まで持っていく反応がLocalisingとして示されています。
一方M4はNormal flexionです。
刺激に対して肘を素早く曲げ、手・腕を刺激から遠ざけるように逃避します。しかし、刺激部位そのものへ手を持っていって除去しようとするところまではみられません。
つまり、
**刺激を取りにいく → M5
刺激から逃げる → M4**
と考えると整理しやすくなります。
M3の異常屈曲では、反応が遅く定型的で、腕が胸部へ向かい、前腕の回転や手指の特徴的な屈曲などがみられます。
M2では伸展反応です。
「肘が曲がった=M4」と決めず、動きの方向・速さ・パターンを見ることがポイントです。
また左右差がある場合、GCSの点数だけでは左右差が消えてしまいます。公式資料でも左右の運動を観察することが示されています。脳神経患者では「M5だった」で終わらず、右上肢と左上肢で反応が違わないかも確認することが重要です。
M6
- 反応
- 命令に従う
- 見分けるポイント
- 指示された動作を実行できる
M5
- 反応
- Localising
- 見分けるポイント
- 刺激部位へ手を持っていき除去しようとする
M4
- 反応
- Normal flexion
- 見分けるポイント
- 刺激から腕を素早く逃がす
M3
- 反応
- Abnormal flexion
- 見分けるポイント
- 遅く定型的な異常屈曲
M2
- 反応
- Extension
- 見分けるポイント
- 上肢が伸展する
M1
- 反応
- None
- 見分けるポイント
- 運動反応なし
左右差あり
- 反応
- 点数+実際の反応を記録
- 見分けるポイント
- 片麻痺などを見落とさない
| Motor | 反応 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| M6 | 命令に従う | 指示された動作を実行できる |
| M5 | Localising | 刺激部位へ手を持っていき除去しようとする |
| M4 | Normal flexion | 刺激から腕を素早く逃がす |
| M3 | Abnormal flexion | 遅く定型的な異常屈曲 |
| M2 | Extension | 上肢が伸展する |
| M1 | None | 運動反応なし |
| 左右差あり | 点数+実際の反応を記録 | 片麻痺などを見落とさない |
V3とV4の違いは「会話として成立しているか」を見る
この章の要点言語反応で迷いやすいのがV3とV4です。
V4はConfusedです。
場所や日時などの見当識は誤っていても、質問に対して意味のある文章で受け答えができます。
例えば「ここはどこですか?」という質問に、場所は間違っていても会話として自然な返答ができる場合は、V4に相当する可能性があります。
一方V3はWordsです。
意味の分かる単語は発しますが、質問とのやり取りとしてまとまった会話にはなっていません。
V2はSoundsで、うめき声や意味を持たない音声のみです。
公式GCS Aidでは、V5を「氏名・場所・日付を正しく答える」、V4を「見当識はないがコミュニケーションは一貫している」、V3を「理解可能な単語」、V2を「うめき・呻吟」、V1を「音声反応なし」と整理しています。
したがって、
**会話できるが見当識がずれている → V4
単語は出るが会話にならない → V3**
が基本的な見分け方です。
ただし、失語症、構音障害、聴覚障害、言語の違いなどがある場合、点数が意識状態だけを反映しているとは限りません。
V5
- 状態
- Orientated
- 判断の目安
- 氏名・場所・日時などが適切
V4
- 状態
- Confused
- 判断の目安
- 見当識は不正確でも会話が成立
V3
- 状態
- Words
- 判断の目安
- 理解可能な単語は出るが会話にならない
V2
- 状態
- Sounds
- 判断の目安
- うめき声などのみ
V1
- 状態
- None
- 判断の目安
- 音声反応なし
NT
- 状態
- 評価不能
- 判断の目安
- 挿管などで評価できない
| Verbal | 状態 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| V5 | Orientated | 氏名・場所・日時などが適切 |
| V4 | Confused | 見当識は不正確でも会話が成立 |
| V3 | Words | 理解可能な単語は出るが会話にならない |
| V2 | Sounds | うめき声などのみ |
| V1 | None | 音声反応なし |
| NT | 評価不能 | 挿管などで評価できない |
挿管患者のGCSは「V1」と決めつけない|評価不能はNTで記録する
この章の要点挿管中の患者でよく起こる誤りが、「しゃべれないからV1」としてしまうことです。
GCS公式FAQでは、気管挿管や気管切開により言語反応を評価できない場合、言語項目はNT(Not testable:評価不能)として扱うことが示されています。
V1は、言語反応を出せる条件が整っているにもかかわらず、音声反応がない状態です。
一方、挿管されている患者は「意識障害によって話さない」のか「チューブがあるため話せない」のかを区別できません。
したがって、評価できない項目を無理に最低点に置き換えるべきではありません。
GCS公式資料では、評価不能項目を「1」に置き換えずNTとし、NTを含む場合は合計点を出さないことが推奨されています。
たとえば、
E3 VNT M6
のように記録できます。
同様に、著明な眼瞼腫脹によって物理的に目を開けられない場合も、単純にE1とはせず、評価不能となる場合があります。
また、鎮静薬や筋弛緩薬を使用している患者では、観察された反応が薬剤の影響を受けている可能性があります。
点数だけを記録するのではなく、「挿管中」「鎮静中」「失語あり」「眼瞼腫脹あり」など、評価を妨げている要因を一緒に記録することが重要です。
気管挿管中
- 避けたい記録
- 自動的にV1
- 基本的な考え方
- VNTとして評価不能を示す
気管切開で発声不能
- 避けたい記録
- 自動的にV1
- 基本的な考え方
- 評価不能要因を記載
強い眼瞼腫脹
- 避けたい記録
- 自動的にE1
- 基本的な考え方
- 開眼を物理的に妨げる場合はNTを検討
筋弛緩薬使用
- 避けたい記録
- 自動的にM1
- 基本的な考え方
- 薬剤で評価不能なことを明示
鎮静中
- 避けたい記録
- 点数だけ記録
- 基本的な考え方
- 鎮静の影響を併記
NTを含む
- 避けたい記録
- 無理に合計点を算出
- 基本的な考え方
- E・V・Mの評価可能な成分を個別に記録
| 状況 | 避けたい記録 | 基本的な考え方 |
|---|---|---|
| 気管挿管中 | 自動的にV1 | VNTとして評価不能を示す |
| 気管切開で発声不能 | 自動的にV1 | 評価不能要因を記載 |
| 強い眼瞼腫脹 | 自動的にE1 | 開眼を物理的に妨げる場合はNTを検討 |
| 筋弛緩薬使用 | 自動的にM1 | 薬剤で評価不能なことを明示 |
| 鎮静中 | 点数だけ記録 | 鎮静の影響を併記 |
| NTを含む | 無理に合計点を算出 | E・V・Mの評価可能な成分を個別に記録 |
JCS・GCSは「今の数字」より「前回からどう変わったか」が重要
この章の要点意識レベル評価の大きな目的の一つは、患者の状態変化を捉えることです。
「JCS 10だった」という情報だけでは、その患者がもともとJCS 10なのか、数十分前までJCS 0だったのかで意味が大きく変わります。
GCSも同じです。
GCS 14点という数字だけを見るのではなく、
E4V5M6
↓
E3V5M6
のように、どの成分が変化したのかを見ることで患者の変化が具体的になります。
GCS公式サイトでも、経時的なtrendを記録・伝達する重要性が示されています。
特に神経系患者では、意識レベルだけで完結させず、瞳孔、対光反射、麻痺・運動反応、言語、けいれん、バイタルサインなど、他の神経学的所見と合わせて観察します。
意識レベルスケールは「原因を診断する検査」ではありません。
意識が低下する原因には頭蓋内病変だけでなく、低酸素、循環不全、代謝異常、薬剤などさまざまな要因があります。したがって、急な意識変化を認めたときはスコアをつけて終わるのではなく、患者全体の状態を確認する必要があります。
JCS/GCS
- 重要なポイント
- 前回値との差を見る
GCS
- 重要なポイント
- 合計点だけでなくE・V・Mのどこが変化したか確認
瞳孔
- 重要なポイント
- 大きさ・左右差・対光反射
運動
- 重要なポイント
- 麻痺・左右差・刺激への反応
言語
- 重要なポイント
- 発語・失語・構音の変化
けいれん
- 重要なポイント
- 発作の有無・発作後の意識
呼吸
- 重要なポイント
- 呼吸状態・SpO₂
循環
- 重要なポイント
- 血圧・脈拍など
薬剤
- 重要なポイント
- 鎮静薬・睡眠薬・筋弛緩薬などの影響
| 観察 | 重要なポイント |
|---|---|
| JCS/GCS | 前回値との差を見る |
| GCS | 合計点だけでなくE・V・Mのどこが変化したか確認 |
| 瞳孔 | 大きさ・左右差・対光反射 |
| 運動 | 麻痺・左右差・刺激への反応 |
| 言語 | 発語・失語・構音の変化 |
| けいれん | 発作の有無・発作後の意識 |
| 呼吸 | 呼吸状態・SpO₂ |
| 循環 | 血圧・脈拍など |
| 薬剤 | 鎮静薬・睡眠薬・筋弛緩薬などの影響 |
報告では「JCS○、GCS○点」だけでなく実際の反応まで伝える
この章の要点意識レベルを報告するときは、スコアだけではなく「患者が実際にどう反応したか」を加えると状態が伝わりやすくなります。
例えば、
「先ほどまでJCS 0でしたが、現在は普通の声かけでは開眼せず、大きな声かけで開眼するためJCS 20です」
というように、前回からの変化と判断根拠をセットで伝えます。
GCSなら、
「GCS E2V4M6。圧刺激で開眼、会話はできますが日時の見当識がありません。命令動作は可能です」
とすると、数字だけより患者像が明確になります。
GCS公式サイトでも、数値は簡便な記録方法として使用できる一方、患者の状態を説明するときは各反応の内容も用いることが推奨されています。
さらに重要なのはベースラインです。
認知機能障害や既存の神経障害、失語などがある患者では、入院時から完全な見当識が得られない場合があります。
そのため、
「普段はどの程度なのか」
「前回観察時はどうだったのか」
「いつから変わったのか」
を確認します。
意識レベル評価は、数字を当てるためのものではありません。
患者の変化を客観的に共有するための共通言語として使うことが最も重要です。
いつから
- 例
- 「10分前から」
前回
- 例
- 「JCS 0でした」
現在
- 例
- 「JCS 20です」
判断根拠
- 例
- 「普通の声では反応せず、大声で開眼します」
GCS内訳
- 例
- 「E2V4M6」
実際の反応
- 例
- 「圧刺激で開眼、会話は可能、命令動作可能」
他の変化
- 例
- 瞳孔、麻痺、けいれん、VSなど
評価を妨げる因子
- 例
- 挿管、鎮静、失語など
| 報告項目 | 例 |
|---|---|
| いつから | 「10分前から」 |
| 前回 | 「JCS 0でした」 |
| 現在 | 「JCS 20です」 |
| 判断根拠 | 「普通の声では反応せず、大声で開眼します」 |
| GCS内訳 | 「E2V4M6」 |
| 実際の反応 | 「圧刺激で開眼、会話は可能、命令動作可能」 |
| 他の変化 | 瞳孔、麻痺、けいれん、VSなど |
| 評価を妨げる因子 | 挿管、鎮静、失語など |
JCSとGCSを覚えるなら「数字」ではなく評価の流れを覚える
この章の要点JCS・GCSは暗記項目が多く見えますが、評価の構造を理解すると覚えやすくなります。
JCSは、
**刺激なしで起きている?
→ YES:1桁
→ NO:刺激で起きる?
→ YES:2桁
→ NO:3桁**
という流れです。
そのうえで、
1・2・3では意識内容、
10・20・30では覚醒に必要な刺激の強さ、
100・200・300では刺激への反応量
を判断します。
GCSは、
**目 E4
言葉 V5
動き M6**
の最大値を最初に覚えます。
そこから反応が悪くなるほど1点ずつ下がります。
特に臨床では、
E:自発 → 声 → 圧 → なし
V:見当識あり → 混乱 → 単語 → 音 → なし
M:従命 → 局在 → 逃避 → 異常屈曲 → 伸展 → なし
という順序が理解できれば、単純な語呂合わせより患者を評価しやすくなります。
そして最後に一番大切なのが、
「数字をつけること」ではなく「変化に気づくこと」
です。
昨日のJCS、1時間前のGCS、患者の普段の状態と比べて、何が変わったのかを言葉にできることが、看護で意識レベルを評価する意味につながります。
JCS 1桁
- 内容
- 刺激なしで覚醒
JCS 2桁
- 内容
- 刺激すると覚醒
JCS 3桁
- 内容
- 刺激しても覚醒しない
GCS E
- 内容
- 4→3→2→1
GCS V
- 内容
- 5→4→3→2→1
GCS M
- 内容
- 6→5→4→3→2→1
最重要
- 内容
- 前回からの変化
記録
- 内容
- 数字+実際の反応
評価不能
- 内容
- 無理に最低点にせずNTを検討
| 覚える軸 | 内容 |
|---|---|
| JCS 1桁 | 刺激なしで覚醒 |
| JCS 2桁 | 刺激すると覚醒 |
| JCS 3桁 | 刺激しても覚醒しない |
| GCS E | 4→3→2→1 |
| GCS V | 5→4→3→2→1 |
| GCS M | 6→5→4→3→2→1 |
| 最重要 | 前回からの変化 |
| 記録 | 数字+実際の反応 |
| 評価不能 | 無理に最低点にせずNTを検討 |
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この記事の編集方針
主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
詳しい編集方針を見る →参考にした資料
- 入院・外来医療等の調査・評価分科会 これまでの検討結果【別添】厚生労働省・2023年Japan Coma Scaleの0、1、2、3、10、20、30、100、200、300の分類と定義を確認した。資料内のJCS表は脳卒中ガイドライン2009を出典として掲載されている。原資料を開く
- 急性期意識障害の新しいGradingとその表現法―いわゆる3-3-9度方式脳卒中の外科研究会講演集/日本脳卒中の外科学会・1975年3-3-9度方式の原型となる分類、1桁・2桁・3桁の考え方、各段階の反応について確認した。JCSの歴史的原著にあたる古い資料であり、現行表の確認には厚生労働省資料を併用した。原資料を開く
- Assessment of coma and impaired consciousness. A practical scaleThe Lancet・1974年TeasdaleとJennettによってGlasgow Coma Scaleの基礎となる実用的な意識障害評価尺度が報告された原著論文であることを確認した。原資料を開く
残り4件の参考資料を見る原資料・発行元・発行年を確認できます+
- Glasgow Coma Scale Assessment AidInstitute of Neurological Sciences, NHS Greater Glasgow and Clyde/Glasgow Coma Scale・2017年GCSのE・V・M各成分の判定基準、CHECK・OBSERVE・STIMULATE・RATEの評価手順、身体刺激として指先・僧帽筋・眼窩上切痕を用いる方法、評価不能NTの扱いを確認した。原資料を開く
- The Glasgow Coma Scale: Structured Assessment/FAQGlasgow Coma Scale/University of Glasgow関連公式サイト・発行年の明確な記載を確認できずGCSがEye、Verbal、Motorの3成分からなること、評価を妨げる要因、挿管・気管切開時のVerbalをNTとする考え方、NTを1点に置き換えないこと、NTを含む場合に合計点を算出しないこと、3成分を個別に記録する重要性を確認した。原資料を開く