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読む前に押さえたいこと
「尿量はなぜ毎回確認するの?」「尿量が少なかったら、何を考えればいいの?」と疑問に思ったことはありませんか。
尿量は、単に患者がどれだけ排尿したかを記録するためのものではありません。腎臓の働き、腎臓に届く血液の状態、体内の水分バランスなどを考えるための重要な情報です。
例えば、尿量が減少した患者では、脱水だけでなく、心機能の低下、急性腎障害、尿路の閉塞なども考える必要があります。
この記事では、尿が作られる仕組みから成人の尿量の評価方法、尿量が変化する原因、血液検査との関係、看護観察と報告のポイントまで順番に解説します。
尿量の数値だけで判断せず、患者の状態と結び付けて考えられるようになりましょう。
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尿量を確認するのは、腎機能・循環状態・水分バランスの変化を捉えるため
この章の要点尿量を確認する主な理由は、腎臓の働き、循環状態、体内の水分バランスを評価するためです。
尿は、腎臓が血液をろ過し、身体に必要な水分や電解質を調節する過程で作られます。
そのため、尿量が変化したときには、腎臓そのものの異常だけでなく、腎臓に流れ込む血液量や、体内に保持されている水分量が変化している可能性があります。
例えば、出血や脱水によって循環血液量が減少すると、身体は血圧や重要臓器への血流を維持するために、水分を保持しようとします。
その結果、腎臓から排泄される水分が減り、尿量が減少することがあります。
一方、腎臓が水分を十分に再吸収できない場合や、利尿薬によって水分の排泄が促進された場合には、尿量が増加することがあります。
ただし、尿量だけで腎機能や循環状態を確定することはできません。
尿量が保たれていても腎障害が生じている場合があり、尿量が少なくても、その原因が腎臓そのものの障害とは限りません。
看護師は尿量を単独の数値として判断するのではなく、血圧、脈拍、呼吸状態、浮腫、体重、血液検査、水分出納などと組み合わせて評価します。
特に、普段より尿量が急激に減少した場合には、身体の状態が変化している可能性を考え、早期に原因を確認することが重要です。
尿はどのように作られる?腎臓が水分量を調節する仕組み
この章の要点尿は、腎臓で血液がろ過され、必要な水分や物質が再吸収されたあとに作られます。
この仕組みを理解すると、尿量が減少・増加する理由を考えやすくなります。
腎臓は血液をろ過して原尿を作る
腎臓には、ネフロンと呼ばれる尿を作る基本構造があります。
ネフロンは、糸球体と尿細管などから構成されています。
糸球体では血液中の水分や小さな物質がろ過され、原尿が作られます。
原尿には水分だけでなく、ナトリウム、ブドウ糖、尿素などが含まれています。
しかし、ろ過された水分や物質がすべて尿として排泄されるわけではありません。
尿細管で必要な水分を再吸収する
原尿が尿細管を通過する過程で、身体に必要な水分や電解質などが再吸収されます。
再吸収された水分や物質は血液へ戻り、最終的に排泄される水分が尿になります。
尿量が減ると循環状態の変化を疑うのはなぜ?
この章の要点尿量が減少したときに循環状態を確認するのは、腎臓に十分な血液が届いていない可能性があるためです。
腎臓は血液から尿を作る臓器であり、腎臓への血流が変化すると、尿の生成にも影響が生じます。
循環血液量が減ると尿量も減少することがある
出血、脱水、嘔吐、下痢などによって循環血液量が減少すると、腎臓へ届く血液量が不足することがあります。
また、心不全などで心臓から送り出される血液量が低下した場合にも、腎臓への血流が不足する可能性があります。
腎臓への血流が減少すると、糸球体でのろ過量が低下することがあります。
同時に、身体は水分やナトリウムを保持する方向に働きます。
その結果、尿量が減少することがあります。
このように、腎臓そのものに明らかな構造的障害がなくても、腎臓への血流が不足することで腎機能が低下する場合があります。
血圧が正常でも腎臓への血流が十分とは限らない
血圧が正常範囲にあることだけで、腎臓への血流が十分に保たれているとは判断できません。
身体には、循環血液量が減少した際に血管を収縮させ、血圧を維持する仕組みがあります。
そのため、出血や脱水の初期には、血圧が大きく低下していなくても、頻脈や尿量減少などの変化が現れる可能性があります。
看護師は血圧だけで安心せず、普段の値との違いや、脈拍、末梢冷感、意識状態、皮膚の状態などを合わせて確認します。
成人の尿量はどのくらい?時間尿量と体重から評価する方法
この章の要点成人の尿量を評価するときは、単純な排尿量だけでなく、体重当たりの時間尿量を確認することが重要です。
同じ30mL/時という尿量でも、体重40kgの患者と80kgの患者では、体重当たりの尿量が異なります。
また、尿量は飲水量、発汗、食事、点滴、薬剤、腎機能などによって変化するため、すべての成人患者に共通する一つの尿量だけで正常・異常を判断することはできません。
時間尿量とは
時間尿量とは、一定時間に排泄された尿量を、測定時間で割ったものです。
計算式:
時間尿量(mL/時)=測定した尿量(mL)÷測定時間(時)
例えば、4時間で200mLの尿が排泄された場合、
200mL÷4時間=50mL/時
となります。
体重当たりの時間尿量とは
体重当たりの時間尿量は、時間尿量を体重で割って求めます。
計算式:
体重当たりの時間尿量(mL/kg/時)
=測定尿量(mL)÷体重(kg)÷測定時間(時)
例えば、体重60kgの患者が4時間で120mL排尿した場合、
120mL÷60kg÷4時間=0.5mL/kg/時
となります。
ここで注意したいのは、0.5mL/kg/時という数値は、すべての患者に共通する正常値ではないという点です。
この数値は、成人の急性腎障害(AKI)の診断基準で用いられる尿量の閾値として重要です。
AKIの診断では、0.5mL/kg/時未満の尿量が6時間以上持続することが基準の一つとなっています。
ただし、6時間が経過するまで報告や対応を待ってよいという意味ではありません。
急激な尿量減少や、血圧低下などを伴う場合には、診断基準を満たす前でも患者の状態を確認し、必要な報告を行います。
乏尿・無尿とは?急性腎障害(AKI)の診断基準と尿量の関係
この章の要点乏尿は尿量が少ない状態、無尿は尿がほとんど排泄されない状態を指します。
尿量の減少は、急性腎障害(AKI)を疑う重要な所見の一つです。
AKIとは何か
AKIとは、短期間で腎機能が低下する状態です。
腎機能が急激に低下すると、体内の老廃物、水分、電解質などを適切に調節できなくなることがあります。
AKIでは、血清クレアチニン(Cr)の変化と尿量が診断基準に用いられます。
血清Crは腎機能を評価する血液検査項目ですが、腎機能が急激に変化した直後には、血清Crの上昇がまだ明確でない場合があります。
そのため、尿量の変化も合わせて評価することが重要です。
ただし、尿量が保たれているAKIも存在します。
尿量だけでAKIの有無を判断することはできません。
AKIの尿量による診断基準
成人のAKIでは、以下の尿量基準が用いられます。
0.5mL/kg/時未満の尿量が6時間以上持続すること
この基準に該当する場合、尿量によるAKIの診断基準を満たします。
また、尿量の低下が持続する時間や程度によって、AKIの重症度が分類されます。
ステージ1
- 尿量による基準
- 0.5mL/kg/時未満が6〜12時間持続
ステージ2
- 尿量による基準
- 0.5mL/kg/時未満が12時間以上持続
ステージ3
- 尿量による基準
- 0.3mL/kg/時未満が24時間以上持続、または無尿が12時間以上持続
| AKIの重症度 | 尿量による基準 |
|---|---|
| ステージ1 | 0.5mL/kg/時未満が6〜12時間持続 |
| ステージ2 | 0.5mL/kg/時未満が12時間以上持続 |
| ステージ3 | 0.3mL/kg/時未満が24時間以上持続、または無尿が12時間以上持続 |
尿量が減少する原因は?腎前性・腎性・腎後性の3つに分けて考える
この章の要点尿量が減少した場合には、腎臓への血流が不足しているのか、腎臓そのものに障害があるのか、尿の排出経路に問題があるのかを考えます。
AKIの原因を整理する際には、腎前性・腎性・腎後性という3つの分類が役立ちます。
ただし、実際には複数の原因が重なっている場合もあります。
腎前性:腎臓へ届く血液が不足する
腎前性とは、腎臓への血流や灌流が不足することで腎機能が低下する状態です。
主な原因には、出血、脱水、心機能低下、敗血症などがあります。
例えば、嘔吐や下痢によって水分が失われると、循環血液量が減少します。
その結果、腎臓への血流が不足し、尿量が減少することがあります。
また、心不全によって心臓から送り出される血液量が低下した場合にも、腎臓への血流が不足する可能性があります。
一方、心不全では体内に水分が過剰に貯留している場合もあります。
そのため、尿量が少ない患者に対して、一律に水分を補給すればよいわけではありません。
看護では、血圧、脈拍、末梢冷感、浮腫、呼吸状態、体重、水分出納などを組み合わせて評価します。
腎性:腎臓そのものに障害がある
腎性とは、腎臓の糸球体や尿細管などに障害が生じ、腎機能が低下する状態です。
例えば、腎臓への血流不足が長く続くと、尿細管などに障害が生じる場合があります。
また、糸球体腎炎、薬剤による腎障害、敗血症に伴う腎障害なども原因となります。
腎性の障害では、尿量の減少だけでなく、血清Crの上昇、電解質異常、尿検査の異常などがみられる場合があります。
ただし、尿量が保たれている場合もあるため、尿量のみで腎臓そのものの障害を否定することはできません。
尿量が増加する原因は?多尿と水分・電解質異常の関係
この章の要点尿量が増加した場合には、水分摂取量の増加、利尿薬の作用、血糖上昇、腎臓の水分調節機能の異常などを考えます。
尿量が多いことは、必ずしも腎機能が良好であることを意味しません。
水分摂取量や輸液量の増加
飲水量や輸液量が増えると、体内の水分バランスを調節するために尿量が増えることがあります。
ただし、投与された水分がすべて直ちに尿として排泄されるわけではありません。
腎機能、循環状態、ホルモンによる調節などによって、排泄される水分量は変化します。
そのため、輸液量が増えたあとに尿量が増加した場合でも、尿量だけで輸液量が適切だったと判断することはできません。
利尿薬の作用
利尿薬は、腎臓におけるナトリウムや水分の再吸収に作用し、尿として排泄される水分を増やす薬剤です。
例えば、ループ利尿薬は、ヘンレ係蹄の太い上行脚におけるナトリウムなどの再吸収を抑制し、尿量を増加させます。
心不全などで体内に水分が過剰に貯留している場合には、利尿薬が使用されることがあります。
しかし、利尿薬によって尿量が増加したことだけでは、腎機能そのものが改善したとは判断できません。
また、利尿が進みすぎると、循環血液量の減少や電解質異常につながる場合があります。
看護師は、投与前後の尿量だけでなく、血圧、脈拍、体重、浮腫、呼吸状態、血清ナトリウム、血清カリウム、腎機能などを合わせて確認します。
血糖上昇による浸透圧利尿
尿量と水分出納はどう関係する?輸液・飲水・浮腫と合わせて考える
この章の要点尿量を評価するときは、身体に入った水分量と、身体から出た水分量を合わせて確認します。
この水分の出入りを整理したものが、水分出納(インアウトバランス)です。
INとOUTとは
INは身体に入った水分量、OUTは身体から排出された水分量です。
INには、飲水や輸液などが含まれます。
OUTには、尿、排液、嘔吐物などが含まれます。
発汗や呼吸などによって失われる水分もありますが、これらをすべて正確に測定することは困難です。
そのため、記録されたINとOUTの差は、身体全体の水分変化を完全に表しているわけではありません。
水分出納を評価するときには、測定できていない水分の出入りも考慮する必要があります。
水分出納の計算方法
水分出納=IN-OUT
例えば、ある患者について、24時間の記録されたINが2,000mL、OUTが1,500mLだった場合、
2,000mL-1,500mL=+500mL
となります。
この結果は、記録された水分の出入りでは、INがOUTを500mL上回っていることを意味します。
ただし、発汗や呼吸などによる水分喪失が含まれていない場合、この数値だけで体内に500mLの水分が増えたとは判断できません。
INが多く、尿量が少ない場合
輸液や飲水によって水分が身体に入っているにもかかわらず、尿量が少ない場合には、水分が体内に貯留している可能性があります。
ただし、尿以外の水分喪失が多い場合や、循環血液量が不足している場合などもあるため、尿量だけで体液過剰と判断することはできません。
看護では、体重増加、浮腫、呼吸状態、肺うっ血を疑う所見などを確認します。
特に、尿量減少とともに呼吸困難、酸素化の悪化、湿性ラ音などが現れた場合には、肺うっ血などの可能性を考える必要があります。
尿量と一緒に何を見る?看護師が確認したい観察項目とその意味
この章の要点尿量が変化したときには、尿量だけでなく、循環状態、呼吸状態、水分出納、尿の性状、排尿状態などを組み合わせて確認します。
それぞれの観察項目には、尿量が変化した原因や、患者の状態を考えるための意味があります。
① 尿量の経時変化
まず確認するのは、現在の尿量と、それまでの尿量の変化です。
尿量が少ない状態が以前から続いていたのか、直前までは十分に排尿していたのに急激に減少したのかによって、考えるべき状況が異なります。
例えば、普段は一定の尿量があった患者で、突然ほとんど排尿がなくなった場合には、急性の循環状態の変化や、尿路の閉塞などを考える必要があります。
尿量の変化を確認するときには、前回の排尿時刻、測定時間、測定方法も合わせて確認します。
② 血圧・脈拍
血圧や脈拍は、循環状態を評価するために重要です。
出血や脱水などによって循環血液量が減少すると、頻脈や血圧低下などが現れる場合があります。
尿量が減少した患者で、普段より血圧が低下している、脈拍が増加しているなどの変化があれば、循環血液量不足や循環不全の可能性を考えます。
ただし、血圧が正常でも循環状態に問題がないとは限りません。
普段の血圧との差や、その他の身体所見を合わせて評価します。
③ 意識状態・末梢循環
意識状態の変化、四肢の冷感、皮膚の状態などは、全身の循環状態を考える手掛かりになります。
尿量減少に加えて、新たな意識障害や末梢冷感が現れた場合には、循環不全などの重篤な状態を考える必要があります。
意識状態の変化は低血糖、低酸素血症、脳神経疾患などでも起こるため、尿量だけから原因を決めつけず、全身状態を評価します。
尿量と血液検査はどう組み合わせる?Cr・BUN・電解質の見かた
この章の要点尿量が変化したときには、血清クレアチニン、尿素窒素、電解質などの血液検査を組み合わせて評価します。
尿量は水分の排泄状況を示す情報ですが、それだけでは腎臓の老廃物排泄機能や電解質調節機能を十分に評価できないためです。
血清クレアチニン(Cr)
血清Crは、腎機能を評価するために使用される血液検査項目です。
Crは筋肉の代謝に由来する物質で、主に腎臓から排泄されます。
腎臓のろ過機能が低下すると、血液中のCrが上昇することがあります。
ただし、血清Crは筋肉量などの影響を受けるほか、急激な腎機能低下が起こった直後には、まだ明確に上昇していない場合があります。
そのため、尿量の減少が続いていても、血清Crが以前と大きく変わらないことがあります。
また、血清Crの単回値だけでは、急性の変化なのか、以前から腎機能が低下していたのかを判断できない場合があります。
血清Crは以前の値との比較が重要です。
AKIでは、血清Crの上昇幅や変化した期間も診断に用いられます。
尿素窒素(BUN)
BUNは、タンパク質の代謝によって生じる尿素に由来する血液検査項目です。
尿素は主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下するとBUNが上昇することがあります。
尿量が少ないときは尿閉やカテーテル閉塞も確認する
この章の要点尿量が少ない場合には、腎臓で作られる尿が減少しているのか、作られた尿が正常に排出されていないのかを確認します。
特に、尿閉や尿道留置カテーテルの閉塞は、尿量を評価する際に見落としたくない原因です。
自排尿の患者では尿閉を考える
尿閉とは、膀胱に尿がたまっているにもかかわらず、十分に排尿できない状態です。
尿閉が起こると、患者は尿意を感じていても排尿できなかったり、少量ずつしか排尿できなかったりする場合があります。
看護では、最終排尿時刻、尿意、排尿困難、残尿感、下腹部膨満、下腹部痛などを確認します。
また、排尿量が少なくても、膀胱内には尿が多く残っている場合があります。
尿閉が疑われる場合には、医師の指示や施設の手順に基づき、膀胱内尿量の評価などにつなげます。
尿道留置カテーテル使用中は排液経路を確認する
尿道留置カテーテルを使用している患者で尿量が急に減少した場合には、まず尿が正常にバッグへ流れているかを確認します。
カテーテルや排液チューブの屈曲、圧迫、閉塞などがあると、尿が排液バッグへ流れなくなることがあります。
また、バッグ内の尿量が少なくても、測定前にバッグの尿が排出されていた可能性があります。
そのため、最終測定時刻やバッグの排液記録も確認する必要があります。
尿道留置カテーテルは尿量測定のために一律に使用しない
尿量を正確に把握する必要がある場合でも、すべての患者に尿道留置カテーテルが必要というわけではありません。
尿道留置カテーテルには、カテーテル関連尿路感染症などのリスクがあります。
尿量が減少したらどうする?確認・報告・再評価の流れ
この章の要点尿量が減少したときには、まず患者の全身状態を確認し、測定した尿量が正確かどうかを確かめます。
そのうえで、尿量の変化とほかの身体所見を組み合わせ、必要に応じて医師やリーダー看護師へ報告します。
重要なのは、尿量の診断基準を満たすまで報告を待たないことです。
① 患者の全身状態を確認する
最初に、意識状態、呼吸状態、血圧、脈拍、SpO₂などを確認します。
尿量減少と同時に、血圧低下、意識状態の変化、呼吸困難、酸素化の悪化などがみられる場合には、緊急性が高い可能性があります。
患者の状態が急激に悪化している場合には、尿量の再測定や情報収集を完了するまで報告を遅らせず、医療チームの急変対応体制に従って速やかに応援を求めます。
② 尿量の測定条件を確認する
患者の状態を確認したうえで、尿量の記録が正確かどうかを確認します。
具体的には、最終排尿時刻、前回の測定時刻、尿量、測定時間、測定方法などを確認します。
尿道留置カテーテルを使用している場合には、チューブの屈曲や閉塞、バッグの位置、排液の記録なども確認します。
ただし、原因が不明なまま尿量減少が続いている場合には、カテーテルの確認だけで評価を終了せず、医師への報告につなげます。
③ 普段の尿量と比較する
尿量の変化を評価するときには、それまでの尿量と比較することが重要です。
例えば、普段は一定の尿量があった患者で、急激に尿量が減少した場合には、急性の変化として捉える必要があります。
また、数時間にわたって尿量が徐々に減少している場合にも、経時変化から状態の悪化を疑う必要があります。
尿量の変化を記録するときには、「少ない」という表現だけでなく、具体的な尿量と測定時間を残します。
④ 水分出納・使用薬剤・採血データを確認する
尿量について間違えやすい5つの考え方
この章の要点尿量は腎機能や水分バランスを考えるために重要ですが、尿量だけで患者の状態を判断すると、誤った解釈につながる場合があります。
ここでは、臨床で尿量を評価するときに注意したい考え方を整理します。
① 尿量が多ければ腎機能は正常?
尿量が多くても、腎機能が正常とは限りません。
腎臓には、血液をろ過して老廃物を排泄する機能と、水分や電解質を調節する機能があります。
尿量が保たれていても、腎臓のろ過機能が低下している場合があります。
また、利尿薬の作用や、腎臓の水分再吸収機能の異常によって尿量が増加する場合もあります。
尿量だけでなく、血清Cr、電解質、全身状態などを合わせて確認することが重要です。
② 尿量が少なければ必ず脱水?
尿量減少の原因は脱水だけではありません。
心不全、急性腎障害、尿路閉塞などでも尿量が減少することがあります。
特に、尿量が少なく、浮腫や呼吸困難などがみられる患者では、体内に水分が過剰に貯留している可能性も考える必要があります。
尿量が少ないからといって、一律に飲水や輸液を増やすことは避けます。
③ 尿量が増えたら腎機能が改善した?
尿量の増加だけでは、腎機能が改善したとは判断できません。
利尿薬によって尿量が増加した場合でも、腎臓のろ過機能が改善しているとは限りません。
治療後の評価では、尿量に加えて、血清Cr、電解質、水分出納、呼吸状態などを確認する必要があります。
④ 血清Crが正常ならAKIではない?
血清Crが基準範囲内であっても、AKIの可能性を否定することはできません。
AKIでは、血清の変化量や変化した時間が重要です。
患者には尿量を確認する理由をどう説明する?
この章の要点患者には、尿量を確認する目的を「腎臓の働きや、身体の水分バランスを確認するため」と説明すると伝わりやすくなります。
尿量の測定が必要な理由を理解してもらうことで、排尿の記録や尿量の変化について、患者自身から情報を得やすくなります。
自排尿の患者への説明
自分で排尿できる患者には、尿量を測定する必要がある場合、排尿後に看護師へ伝えてもらうことや、指示された測定方法を説明します。
また、排尿量が急に減った、尿が出にくい、下腹部が張る、尿の色が赤くなったなどの変化があれば、看護師へ伝えてもらうよう説明します。
ただし、患者の理解力や身体機能によっては、自分で正確に記録することが難しい場合もあります。
その場合には、必要な介助や測定方法を検討します。
尿道留置カテーテルを使用している患者への説明
尿道留置カテーテルを使用している患者には、尿の排泄状況を継続して確認する必要があることを説明します。
また、カテーテルによる不快感、下腹部痛、尿が流れていないように感じる場合などには、看護師へ伝えてもらうよう説明します。
尿道留置カテーテルは、適応がある場合に必要な期間使用するものであり、尿量測定のために一律に留置するものではありません。
患者の状態に応じて、留置継続の必要性を医療チームで確認することが重要です。
水分摂取についての説明
尿量が少ない患者に対して、「水分をたくさん飲めばよい」と一律に説明することは避けます。
心不全や腎機能障害などによって水分制限が必要な患者もいるためです。
患者には、尿量が少ない原因によって必要な対応が異なることを説明し、飲水量については医師の指示や治療方針に沿って案内します。
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まとめ|尿量は数値だけでなく、変化の理由と全身状態を合わせて考える
この章の要点尿量は、腎臓の働き、循環状態、体内の水分バランスを考えるための重要な情報です。
成人のAKIでは、0.5mL/kg/時未満の尿量が6時間以上持続することが診断基準の一つとして用いられます。
ただし、この数値はすべての患者に共通する正常値や、報告まで待つべき時間を示したものではありません。
尿量が減少した場合には、腎臓への血流不足、腎臓そのものの障害、尿路閉塞などの可能性を考えます。
尿量が増加した場合にも、利尿薬の作用、水分摂取量の増加、血糖上昇、水分調節機能の異常など、さまざまな原因があります。
看護師は尿量を単独で判断せず、血圧・脈拍・呼吸状態・水分出納・採血データなどと組み合わせて評価することが重要です。
特に、普段より尿量が急激に減少した場合や、全身状態の悪化を伴う場合には、診断基準を満たすまで待たず、速やかに評価と報告につなげます。
尿量を確認するときには、「どれだけ出たか」だけでなく、「なぜ変化したのか」「ほかにどのような変化があるのか」を考えることが、患者の状態を早期に捉えるために重要です。
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わかったこと、まだ曖昧なこと、次に調べたいことを残せます。
学びを、もう一度
復習日になると、ホームと復習リストで確認できます。
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主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
詳しい編集方針を見る →参考にした資料
- AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016AKI(急性腎障害)診療ガイドライン作成委員会(日本腎臓学会・日本集中治療医学会・日本透析医学会・日本急性血液浄化学会・日本小児腎臓病学会)・2016公開原文のAKIの定義・診断基準、尿量による重症度分類、AKIの原因評価などを確認。成人の尿量減少の評価、腎前性・腎性・腎後性の原因、腎機能と循環状態の関係について見出し1〜13の根拠とした。日本腎臓学会の公式掲載情報も確認した。原資料を開く
- Acute Kidney Injury (AKI) and Acute Kidney Disease (AKD)Kidney Disease: Improving Global OutcomesKDIGOの急性腎障害診療ガイドラインの公式掲載ページを確認。2012年版のガイドライン資料と2026年版改訂案の公開状況を確認した。AKIの尿量基準と血清クレアチニンによる評価について、国内ガイドラインとの整合性を確認するために使用。2026年版改訂案は、確定した診療基準として本文に採用していない。対応見出し1・2・4・5・10・13。原資料を開く
- Acute kidney injury: prevention, detection and managementNational Institute for Health and Care Excellence・2019Recommendationsの1.1 Assessing risk of acute kidney injury、1.3 Detecting acute kidney injury、1.4 Identifying the cause(s) of acute kidney injury、1.5 Managing acute kidney injuryの公開内容を確認。乏尿、脱水、心不全、薬剤、尿路閉塞などの原因評価、血清クレアチニンの経時評価、尿検査、尿路閉塞への対応、利尿薬の扱いを確認した。本文への使用は確認した該当項目の範囲に限定。対応見出し3・6〜10・12〜14。原資料を開く
残り2件の参考資料を見る原資料・発行元・発行年を確認できます+
- Summary of Recommendations: Guideline for Prevention of Catheter-Associated Urinary Tract Infections (2009)Centers for Disease Control and Prevention・20242024年3月25日付の公式掲載ページを確認。I. Appropriate Urinary Catheter Use、適切な留置適応、重症患者における正確な尿量測定の必要性、不要な留置の回避、閉鎖式排液システムの維持などを確認した。ガイドライン本体は2009年版。対応見出し11・12・14。原資料を開く