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目次この記事でわかること13項目+
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読む前に押さえたいこと
血液ガスの結果を見ても、「どの項目から読むのか」「異常値を見つけた後に何を観察するのか」で迷うことはありませんか。大切なのは、数値を暗記することではなく、①pHで全体の傾きを捉える、②PaCO₂とHCO₃⁻で主な原因と代償を考える、③酸素化、患者状態、治療条件、時間変化を統合する、という順序です。この記事では、基本の3ステップに、混合性障害、アニオンギャップ、静脈血ガスの限界、看護報告の組み立て方まで加えて解説します。
血液ガスは「酸塩基・換気・酸素化」を同時に見る検査
この章の要点血液ガスから読み取る中心情報は、酸塩基平衡、換気、酸素化の3つです。
pHは血液が酸性側かアルカリ性側かを示します。PaCO₂は動脈血二酸化炭素分圧で、主に肺胞換気を反映します。HCO₃⁻は重炭酸イオンで、代謝性・腎性の要素を考える手掛かりです。PaO₂は動脈血に溶けている酸素の分圧を表します。
基準範囲は判断の入口であり、診断そのものではありません。検査室、測定法、年齢、標高、体温、酸素投与条件によって異なるため、実際には検査結果に記載された施設基準を優先します。
pH
- 成人動脈血の一般的な目安
- 7.35〜7.45
- 主に見る機能
- 酸塩基平衡
- 読み方の要点
- 低ければアシデミア、高ければアルカレミア
PaCO₂
- 成人動脈血の一般的な目安
- 35〜45mmHg
- 主に見る機能
- 肺胞換気・呼吸性要素
- 読み方の要点
- 上昇は呼吸性アシドーシス方向、低下は呼吸性アルカローシス方向
HCO₃⁻
- 成人動脈血の一般的な目安
- 22〜26mmol/L
- 主に見る機能
- 代謝性・腎性要素
- 読み方の要点
- 低下は代謝性アシドーシス方向、上昇は代謝性アルカローシス方向
PaO₂
- 成人動脈血の一般的な目安
- おおむね75〜100mmHg
- 主に見る機能
- 酸素化
- 読み方の要点
- 室内気・海面付近の目安。FiO₂、年齢、標高と合わせる
| 項目 | 成人動脈血の一般的な目安 | 主に見る機能 | 読み方の要点 |
|---|---|---|---|
| pH | 7.35〜7.45 | 酸塩基平衡 | 低ければアシデミア、高ければアルカレミア |
| PaCO₂ | 35〜45mmHg | 肺胞換気・呼吸性要素 | 上昇は呼吸性アシドーシス方向、低下は呼吸性アルカローシス方向 |
| HCO₃⁻ | 22〜26mmol/L | 代謝性・腎性要素 | 低下は代謝性アシドーシス方向、上昇は代謝性アルカローシス方向 |
| PaO₂ | おおむね75〜100mmHg | 酸素化 | 室内気・海面付近の目安。FiO₂、年齢、標高と合わせる |
3ステップの前に、検体と酸素投与条件を確認する
この章の要点最初に、その結果が「何の血液を、どの条件で採った値か」を確認します。動脈血か静脈血か、直接穿刺か動脈ラインかで、特にPO₂の意味が変わります。
採血時刻、酸素デバイス、流量またはFiO₂、人工呼吸器・NIVの設定、呼吸数、体温も必要です。採血直前に酸素条件を変更していれば、値が現在の状態を十分に反映していない可能性があります。
前回値も確認します。単回のPaCO₂が高いというだけでは、慢性的なCO₂貯留か、急な換気悪化かを区別できません。酸素量の増加、PaCO₂の上昇、pHの低下、意識状態の変化が同時に進んでいれば、単独の数値以上に緊急性があります。
ステップ1:pHでアシデミアかアルカレミアかを判断する
この章の要点pHが7.35未満ならアシデミア、7.45を超えればアルカレミアです。ただし、アシデミアとアシドーシスは同じ意味ではありません。
アシデミアは「現在のpHが酸性側」という状態です。アシドーシスは「pHを酸性側へ動かす病態・過程」を指します。呼吸性アシドーシスと代謝性アルカローシスが同時に存在するような場合、pHが基準範囲内に収まることがあります。
したがって、「pHが正常だから異常なし」とは判断できません。PaCO₂とHCO₃⁻がともに異常、基準範囲の両端に偏る、前回値から大きく変化している場合は、代償や混合性障害を考えます。
pHだけで重症度を決めることも避けます。血圧低下、意識変化、不整脈、呼吸疲労、乏尿、末梢循環不良などを同時に評価し、施設の緊急報告基準に従います。
ステップ2:PaCO₂とHCO₃⁻から主な異常を分類する
この章の要点pHを酸性側またはアルカリ性側へ動かしている項目を探します。
PaCO₂は酸性側の要素です。PaCO₂が上昇するとpHは低下する方向へ、低下するとpHは上昇する方向へ動きます。HCO₃⁻は塩基性側の要素で、低下するとpHは低下する方向へ、上昇するとpHは上昇する方向へ動きます。
PaCO₂が低いから呼吸状態がよい、とは限りません。敗血症、肺血栓塞栓症、疼痛、発熱、低酸素血症のほか、代謝性アシドーシスに対する代償性過換気でも低下します。
低下
- PaCO₂・HCO₃⁻の主な変化
- PaCO₂上昇
- 第一に考える異常
- 呼吸性アシドーシス
- よくみられる状況の例
- 気道閉塞、COPD増悪、中枢抑制、神経筋障害、換気設定不足
低下
- PaCO₂・HCO₃⁻の主な変化
- HCO₃⁻低下
- 第一に考える異常
- 代謝性アシドーシス
- よくみられる状況の例
- 乳酸増加、ケトアシドーシス、腎機能障害、重炭酸喪失
上昇
- PaCO₂・HCO₃⁻の主な変化
- PaCO₂低下
- 第一に考える異常
- 呼吸性アルカローシス
- よくみられる状況の例
- 低酸素血症、疼痛、発熱、敗血症、妊娠、過換気
上昇
- PaCO₂・HCO₃⁻の主な変化
- HCO₃⁻上昇
- 第一に考える異常
- 代謝性アルカローシス
- よくみられる状況の例
- 嘔吐・胃液喪失、利尿薬、低カリウム血症、重炭酸投与
| pHの方向 | PaCO₂・HCO₃⁻の主な変化 | 第一に考える異常 | よくみられる状況の例 |
|---|---|---|---|
| 低下 | PaCO₂上昇 | 呼吸性アシドーシス | 気道閉塞、COPD増悪、中枢抑制、神経筋障害、換気設定不足 |
| 低下 | HCO₃⁻低下 | 代謝性アシドーシス | 乳酸増加、ケトアシドーシス、腎機能障害、重炭酸喪失 |
| 上昇 | PaCO₂低下 | 呼吸性アルカローシス | 低酸素血症、疼痛、発熱、敗血症、妊娠、過換気 |
| 上昇 | HCO₃⁻上昇 | 代謝性アルカローシス | 嘔吐・胃液喪失、利尿薬、低カリウム血症、重炭酸投与 |
代償が予測範囲から外れたら、混合性障害を考える
この章の要点身体は、肺と腎臓を使ってpHの変化を小さくしようとします。これが代償です。代償の大きさが予測より強い、または弱い場合は、別の酸塩基異常が重なっている可能性があります。
特に代謝性アシドーシスでは、Winterの式がよく使われます。
予測PaCO₂=1.5×HCO₃⁻+8±2mmHg
実測PaCO₂が予測より高ければ、呼吸性アシドーシスの併存を考えます。実測値が予測より低ければ、呼吸性アルカローシスの併存を考えます。
代謝性アシドーシスの患者が深く速く呼吸している場合、その呼吸はpHを支える代償かもしれません。呼吸数が減って一見落ち着いたように見えても、PaCO₂が予測より上昇し、傾眠や呼吸努力の低下を伴うなら、呼吸疲労や換気不全を疑って早急に再評価します。
代謝性アシドーシス
- 一般的に用いられる代償の予測
- 予測PaCO₂=1.5×HCO₃⁻+8±2
代謝性アルカローシス
- 一般的に用いられる代償の予測
- 予測PaCO₂=0.7×HCO₃⁻+20±5
急性呼吸性アシドーシス
- 一般的に用いられる代償の予測
- PaCO₂が10mmHg上昇するごとにHCO₃⁻が約1mmol/L上昇
慢性呼吸性アシドーシス
- 一般的に用いられる代償の予測
- PaCO₂が10mmHg上昇するごとにHCO₃⁻が約3.5mmol/L上昇
急性呼吸性アルカローシス
- 一般的に用いられる代償の予測
- PaCO₂が10mmHg低下するごとにHCO₃⁻が約2mmol/L低下
慢性呼吸性アルカローシス
- 一般的に用いられる代償の予測
- PaCO₂が10mmHg低下するごとにHCO₃⁻が約4mmol/L低下
| 主な異常 | 一般的に用いられる代償の予測 |
|---|---|
| 代謝性アシドーシス | 予測PaCO₂=1.5×HCO₃⁻+8±2 |
| 代謝性アルカローシス | 予測PaCO₂=0.7×HCO₃⁻+20±5 |
| 急性呼吸性アシドーシス | PaCO₂が10mmHg上昇するごとにHCO₃⁻が約1mmol/L上昇 |
| 慢性呼吸性アシドーシス | PaCO₂が10mmHg上昇するごとにHCO₃⁻が約3.5mmol/L上昇 |
| 急性呼吸性アルカローシス | PaCO₂が10mmHg低下するごとにHCO₃⁻が約2mmol/L低下 |
| 慢性呼吸性アルカローシス | PaCO₂が10mmHg低下するごとにHCO₃⁻が約4mmol/L低下 |
代謝性アシドーシスではアニオンギャップを追加する
この章の要点HCO₃⁻が低く、代謝性アシドーシスと判断したら、アニオンギャップを確認します。
AG=Na⁺−(Cl⁻+HCO₃⁻)
一般的な基準は約12mmol/Lですが、検査法やカリウムを式に含めるかによって基準値が変わります。施設の計算式と基準範囲を優先してください。
AG上昇では、乳酸、ケトン体、腎機能低下で蓄積する酸、薬物・毒物などの未測定陰イオンを考えます。AGが上昇しない代謝性アシドーシスでは、下痢などによるHCO₃⁻喪失、尿細管性アシドーシス、高クロール血症などが候補になります。
アルブミンはAGの大きな構成要素です。低アルブミン血症ではAGが見かけ上低くなり、酸の蓄積を見逃すことがあります。補正値は次の式で求められます。
補正AG=実測AG+2.5×(4.0−アルブミン[g/dL])
ただし、AGが正常でも高乳酸血症を完全には否定できません。ショックや敗血症が疑われる場合は、AGだけでなく乳酸を直接確認します。
ステップ3:酸素化、患者状態、治療条件、時間変化を統合する
この章の要点最後に、血液ガスを「患者に起きていること」と結びつけます。PaO₂だけでなく、SpO₂、呼吸数、呼吸努力、意識、循環、酸素投与条件を合わせて判断します。
PaO₂はFiO₂に左右されます。PaO₂が同じ60mmHgでも、室内気で測定した場合と、高濃度酸素投与中の場合では意味が異なります。鼻カニュラの流量だけでなく、マスクの装着状態、回路の外れ、酸素供給、人工呼吸器・NIVの設定も確認します。
SpO₂は酸素化のモニターであり、換気を直接示しません。SpO₂が目標範囲内でも、PaCO₂が上昇して換気不全が進んでいることがあります。特にCO₂貯留リスクがある患者では、意識状態、呼吸数、pH、PaCO₂の変化を見落とさないことが重要です。
酸素は、疾患と病態に応じて定められた目標SpO₂へ調整します。対象を問わず同じ目標値を当てはめたり、血液ガスを確認せず自己判断で酸素を中止したりせず、処方、施設基準、緊急時手順に従います。
換気
- 観察する内容
- PaCO₂、pH、呼吸数、呼吸の深さ、努力呼吸、意識
- 看護判断へつなげる視点
- PaCO₂上昇+pH低下+傾眠は換気不全の進行を疑う
酸素化
- 観察する内容
- PaO₂、SpO₂、FiO₂、デバイス、流量
- 看護判断へつなげる視点
- 必要酸素量の増加や目標未達は再評価を急ぐ
循環・代謝
- 観察する内容
- 血圧、脈拍、皮膚、毛細血管再充満、尿量、乳酸
- 看護判断へつなげる視点
- 高乳酸値は単独で原因を決めず、循環所見と推移を見る
経過
- 観察する内容
- 前回値、治療前後、採血時刻
- 看護判断へつなげる視点
- 絶対値だけでなく悪化・改善の方向と速さを見る
背景
- 観察する内容
- COPD、腎機能、糖尿病、嘔吐・下痢、薬剤、感染
- 看護判断へつなげる視点
- 基礎疾患から起こり得る異常と矛盾がないか確認する
| 統合する情報 | 観察する内容 | 看護判断へつなげる視点 |
|---|---|---|
| 換気 | PaCO₂、pH、呼吸数、呼吸の深さ、努力呼吸、意識 | PaCO₂上昇+pH低下+傾眠は換気不全の進行を疑う |
| 酸素化 | PaO₂、SpO₂、FiO₂、デバイス、流量 | 必要酸素量の増加や目標未達は再評価を急ぐ |
| 循環・代謝 | 血圧、脈拍、皮膚、毛細血管再充満、尿量、乳酸 | 高乳酸値は単独で原因を決めず、循環所見と推移を見る |
| 経過 | 前回値、治療前後、採血時刻 | 絶対値だけでなく悪化・改善の方向と速さを見る |
| 背景 | COPD、腎機能、糖尿病、嘔吐・下痢、薬剤、感染 | 基礎疾患から起こり得る異常と矛盾がないか確認する |
静脈血ガスのpHは参考になるが、PO₂とPaCO₂は固定換算しない
この章の要点静脈血ガスは採血しやすく、酸塩基状態の初期評価に使われることがあります。成人18研究・1,768人をまとめたメタ解析では、動脈pHは静脈pHより平均約0.03高く、pHの平均的な一致は比較的良好でした。
一方、静脈PCO₂と動脈PaCO₂の差には大きなばらつきがあり、静脈PO₂は動脈PaO₂の代用になりません。HCO₃⁻も平均差は小さいものの、一人ひとりを固定値で換算できるほど一致限界は狭くありません。
このため、「静脈pHに0.03を足せば動脈値になる」と機械的に処理するのは避けます。酸素化の評価、正確なPaCO₂の把握、人工呼吸管理などで動脈値が必要かどうかを目的から判断します。
患者像と合わない結果は、採血・検体条件を疑う
この章の要点血液ガスは検体の扱いに影響されやすい検査です。気泡の混入、不適切な抗凝固、動脈ライン内の輸液や生理食塩液による希釈、静脈血の誤採取、分析までの遅延で結果が変わる可能性があります。
たとえば、患者は明らかに低酸素状態なのにPaO₂だけが不自然に高い、他の電解質もまとめて希釈されている、SpO₂や臨床像と大きく矛盾する場合は、数値を無理に解釈せず検体条件を確認します。
採血部位、採血方法、気泡の有無、提出までの経過、動脈ラインから採った場合の手順を確認し、再採血の必要性を医師・検査部門と相談します。異常値を「採血ミスだろう」と決めつけるのではなく、患者の安全確認を先に行うことが重要です。
症例1:PaCO₂上昇と傾眠があれば換気不全を優先する
この章の要点例として、pH 7.28、PaCO₂ 60mmHg、HCO₃⁻ 27mmol/Lだったとします。
ステップ1ではアシデミアです。ステップ2ではPaCO₂上昇がpH低下の方向と一致するため、主な異常は呼吸性アシドーシスと考えます。HCO₃⁻はやや高く、代償の可能性がありますが、前回値や慢性呼吸器疾患の有無がなければ急性・慢性を断定できません。
ステップ3では、呼吸数、努力呼吸、胸郭運動、気道分泌物、呼吸音、意識状態、鎮静薬・オピオイド、酸素デバイス、前回PaCO₂を確認します。傾眠、呼吸努力の低下、pHのさらなる低下があれば、換気不全の進行として速やかに報告します。SpO₂が保たれていることだけを安心材料にはできません。
症例2:代謝性アシドーシスでは代償とAGまで確認する
この章の要点pH 7.29、PaCO₂ 28mmHg、HCO₃⁻ 13mmol/L、Na⁺ 140mmol/L、Cl⁻ 102mmol/Lとします。
ステップ1ではアシデミアです。ステップ2ではHCO₃⁻低下がpH低下の方向と一致するため、主な異常は代謝性アシドーシスです。
Winterの式による予測PaCO₂は、1.5×13+8=27.5±2mmHgです。実測値28mmHgは予測範囲に入り、呼吸性代償はおおむね適切と考えられます。
AGは140−(102+13)=25mmol/Lで上昇しています。乳酸、血糖・ケトン体、腎機能、薬剤・中毒の可能性を確認します。看護師は血圧、末梢循環、呼吸の深さ、尿量、意識、発熱・感染徴候、嘔吐・下痢、糖尿病歴、内服薬を整理し、原因検索につながる情報として報告します。
報告は「数値・採血条件・患者状態・変化・依頼」をセットにする
この章の要点血液ガスの報告では、結果だけを読み上げず、採血条件と患者の変化を一緒に伝えます。
報告例は次のように組み立てます。
「動脈血ガスでpH 7.28、PaCO₂ 60mmHgです。酸素は鼻カニュラ2L/分で、SpO₂は92%です。呼吸数は28回/分ですが、先ほどより傾眠傾向があります。前回よりPaCO₂が上昇し、pHが低下しています。換気状態の至急再評価をお願いします」
代謝性アシドーシスでは、「pH・HCO₃⁻・PaCO₂」「AGまたは計算に必要な電解質」「乳酸・血糖・ケトン体・腎機能」「循環所見と尿量」をまとめます。
最も重要なのは、どの数値が異常かだけでなく、「患者がどう変化しているか」「現在どの治療条件か」「何を再評価してほしいか」を明確にすることです。
血液ガスの3ステップは、異常名を付けて終わりではない
この章の要点血液ガスの読み方は、次の3ステップで整理できます。
pHでアシデミアかアルカレミアかを捉える
PaCO₂とHCO₃⁻から主な異常、代償、混合性障害を考える
PaO₂・SpO₂、酸素条件、呼吸・循環・意識、前回値を統合して行動を決める
pHが正常でも、PaCO₂とHCO₃⁻の異常が隠れていることがあります。PaCO₂が低くても、それが代償性過換気なら「呼吸がよい」とは限りません。SpO₂が保たれていても、換気不全は否定できません。
血液ガスは患者から切り離して読む数字ではなく、観察の焦点と報告の優先順位を決めるための検査です。迷ったときは、検体、酸素条件、患者状態、時間変化の4点へ戻ると看護判断を整理しやすくなります。
学習メモ・復習の予定気づきを自分の言葉で残す+
わかったこと、まだ曖昧なこと、次に調べたいことを残せます。
学びを、もう一度
復習日になると、ホームと復習リストで確認できます。
次に見返す日を決める
この記事の編集方針
主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
詳しい編集方針を見る →参考にした資料
- AARC Clinical Practice Guideline: Blood Gas Analysis and Hemoximetry: 2013American Association for Respiratory Care・2013年血液ガスは換気・酸塩基・酸素化の評価に推奨される(1A)。治療反応の評価は2B、疾患の重症度・進行の監視は1A。末梢静脈PO₂をPaO₂の代用にしないこと、採血部位、呼吸数、FiO₂・酸素流量、人工呼吸器設定を記録すること、気泡・希釈・遅延などの検体誤差を確認した。新生児から高齢者までを対象とするが、文献検索は2012年までであり古さがある。
- Fundamentals of Arterial Blood Gas InterpretationKidney360/American Society of Nephrology・2022年成人の酸塩基異常を扱うナラティブレビュー。pH 7.35〜7.45、PaCO₂ 35〜45mmHg、酸塩基異常の方向、代償予測式、混合性障害の考え方を確認した。推奨強度を示すガイドラインではない。
- Interpreting arterial blood gas resultsThe BMJ・2013年査読済みRational Testing記事。病歴と診察を先行させ、酸素化、pH、HCO₃⁻・BE、PaCO₂、追加測定項目を系統的に評価する方法を確認した。主に成人急性期診療を想定した教育資料で、推奨強度は設定されていない。
残り6件の参考資料を見る原資料・発行元・発行年を確認できます+
- Peripheral venous and arterial blood gas analysis in adults: are they comparable? A systematic review and meta-analysisRespirology/Asian Pacific Society of Respirology・2014年成人18研究、1,768人の系統的レビュー・メタ解析。動脈pHは静脈pHより平均0.03高かったが、PCO₂とPO₂には臨床的に重要なばらつきがあり、直接置換できないことを確認した。研究間異質性が大きい。
- Diagnosis and management of metabolic acidosis: guidelines from a French expert panelSociété de Réanimation de Langue Française/Société Française de Médecine d’Urgence・2019年救急・集中治療領域の代謝性アシドーシスを対象としたGRADEガイドライン。アルブミン補正AGを未補正AGより優先する推奨はGrade 2+。pH単独で重症患者を判定しない推奨はGrade 2−。Henderson–Hasselbalch法と補正AGを用いる診断手順、乳酸の評価を確認した。
- British Thoracic Society Guideline for oxygen use in adults in healthcare and emergency settingsBritish Thoracic Society・2017年成人急性期の酸素療法を対象とするガイドライン。酸素を目標飽和度範囲に合わせて管理し、デバイス・流量とSpO₂を記録する考え方を確認した。多くの急性疾患に対する目標94〜98%はGrade D、COPDで高CO₂血症性呼吸不全リスクがある場合の88〜92%はGrade A。ただし、日本の全施設へそのまま適用する基準ではなく、患者別処方・国内基準を優先する。
- 酸素療法マニュアル日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 酸素療法マニュアル作成委員会/日本呼吸器学会 肺生理専門委員会・2017年急性・慢性呼吸不全、酸素投与後の動脈血ガス評価、CO₂ナルコーシス、SpO₂の解釈、看護・患者教育を扱う国内資料であることを確認した。全文は会員限定のため、具体的推奨と推奨強度は公開範囲で確認できなかった。