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目次この記事でわかること13項目+
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読む前に押さえたいこと
「褥瘡は何段階ですか」と聞かれ、深さだけ答えるべきか、DESIGN-R®2020の総点まで伝えるべきか迷うことはありませんか。褥瘡は表面の傷が小さくても深部で損傷が進んでいたり、同じ総点でも問題の中身が異なったりします。この記事では、7項目が何を示すか、DDTIとDU、炎症と感染をどう見分けるか、同じ条件でどう再評価するかを順に整理します。さらに、所見を「総点+内訳+変化+全身状態」として報告し、必要な連携につなげる方法を学びます。
DESIGN-R®2020は「何段階か」より「今どんな創か」を伝える共通言語
この章の要点DESIGN-R®2020は、褥瘡を一つの段階名だけで表すものではありません。深さ、滲出液、大きさ、炎症/感染、肉芽組織、壊死組織、ポケットの7方向から、現在の創の状態と変化を示す経過評価ツールです。
褥瘡は、圧迫やずれなどの外力により、骨と皮膚表面の間にある軟部組織の血流が低下・停止し、組織が損傷する病態です。傷の深さだけでなく、滲出液が増えていないか、感染へ進んでいないか、治癒に必要な良性肉芽が増えているか、見た目より広いポケットがないかで、必要な評価と連携が変わります。
DESIGN-R®2020では、Depth(深さ)のD、Exudate(滲出液)のE、Size(大きさ)のS、Inflammation/Infection(炎症/感染)のI、Granulation(肉芽組織)のG、Necrotic tissue(壊死組織)のN、Pocket(ポケット)のPを順に記載します。深さを除く6項目の合計は0~66点で、点数が大きいほど全体として重症度が高いと捉えます。ただし、総点だけでは「何が悪いか」は分かりません。報告では必ず各項目の表記と実際の所見を添えます。
尺度名
- 具体的に伝える内容
- DESIGN-R®2020、NPIAP分類など
- なぜ必要か
- 同じ数字でも分類によって意味が異なるため
部位・時刻
- 具体的に伝える内容
- 右踵、仙骨部、機器接触部、発見時刻
- なぜ必要か
- 原因となる姿勢や機器、経過を検討するため
観察事実
- 具体的に伝える内容
- 色、退色、皮膚欠損、見える組織、温度、硬さ、痛み
- なぜ必要か
- 段階判定の根拠を共有するため
大きさ・滲出液
- 具体的に伝える内容
- 長径×短径、交換頻度、漏れ、性状
- なぜ必要か
- 変化と局所管理の適否を追うため
前回からの変化
- 具体的に伝える内容
- 拡大、深くなった、紫色化、滲出液増加
- なぜ必要か
- 悪化・改善を判断するため
外力との関係
- 具体的に伝える内容
- 体位、ずれ、機器、装具、圧迫時間の情報
- なぜ必要か
- 発生・悪化要因を検討するため
対応と反応
- 具体的に伝える内容
- 圧迫が続かないよう調整した後の色や痛み
- なぜ必要か
- 対応後も異常が持続するか確認するため
相談点
- 具体的に伝える内容
- DDTI疑いの判定、感染評価、局所管理の見直し
- なぜ必要か
- 次に必要な判断を明確にするため
| 伝える順番 | 具体的に伝える内容 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 尺度名 | DESIGN-R®2020、NPIAP分類など | 同じ数字でも分類によって意味が異なるため |
| 部位・時刻 | 右踵、仙骨部、機器接触部、発見時刻 | 原因となる姿勢や機器、経過を検討するため |
| 観察事実 | 色、退色、皮膚欠損、見える組織、温度、硬さ、痛み | 段階判定の根拠を共有するため |
| 大きさ・滲出液 | 長径×短径、交換頻度、漏れ、性状 | 変化と局所管理の適否を追うため |
| 前回からの変化 | 拡大、深くなった、紫色化、滲出液増加 | 悪化・改善を判断するため |
| 外力との関係 | 体位、ずれ、機器、装具、圧迫時間の情報 | 発生・悪化要因を検討するため |
| 対応と反応 | 圧迫が続かないよう調整した後の色や痛み | 対応後も異常が持続するか確認するため |
| 相談点 | DDTI疑いの判定、感染評価、局所管理の見直し | 次に必要な判断を明確にするため |
採点の前に「圧迫・ずれによる褥瘡か」を確かめる
この章の要点DESIGN-R®2020を付ける前に、病変が褥瘡として説明できるかを確認します。スコアは原因診断の代わりにはならないためです。
まず、骨突出部や医療機器との接触部位か、同一体位が続いたか、手術・意識障害・移乗・座位・ずれなどの経緯があったかを確認します。発赤なら、除圧後の反応性充血との違いも見ます。便尿による皮膚炎、接触皮膚炎、カンジダ症、末梢動脈疾患に伴う潰瘍、熱傷なども褥瘡に似るため、部位・形・経過・外力の有無を組み合わせます。
看護師が診断を単独で確定するという意味ではありません。由来が不明、典型的な圧迫部位ではない、境界や分布が不自然、虚血を疑う冷感・色調変化があるときは、創傷に詳しい看護師や医師へ相談します。原因を取り違えると、同じ「赤み」でも必要な対応が変わります。
7項目は「文字・点数・実際の所見」を一組で読む
この章の要点DESIGN-R®2020は、D-E-S-I-G-N-Pの順に記載し、DとEの間だけにハイフン、Pの後にコロンと合計点を置きます。各項目では原則として小文字より大文字が重症ですが、点数だけを並べるのではなく、何を見てその評価にしたかを残します。
たとえば「D3-e3s6i1G4N3p0:17」なら、深さは皮下組織まで、滲出液は中等量、見えている皮膚損傷範囲は4以上16未満、局所炎症あり、良性肉芽は創面の10%以上50%未満、柔らかい壊死組織あり、ポケットなし、合計17点です。D3の「3」は深さ区分を示しますが、合計には足しません。
D:Depth
- 見る対象
- 創内で最も深い損傷
- 看護での意味
- 表面より深い損傷、DDTI、深さ判定不能を見落とさない
E:Exudate
- 見る対象
- 滲出液量
- 看護での意味
- 炎症、感染、創面の水分バランス、被覆材管理の変化を捉える
S:Size
- 見る対象
- 見えている皮膚損傷範囲
- 看護での意味
- 同じ方法で縮小・拡大を追う
I:Inflammation/Infection
- 見る対象
- 局所炎症、臨界的定着疑い、局所感染、全身影響
- 看護での意味
- 感染への進行や全身化を見逃さず連携する
G:Granulation
- 見る対象
- 良性肉芽が占める割合
- 看護での意味
- 創床が治癒へ向かう状態か、停滞しているかを見る
N:Necrotic tissue
- 見る対象
- 壊死組織の有無と性状
- 看護での意味
- 治癒を妨げる組織と、深さが隠れている可能性を捉える
P:Pocket
- 見る対象
- 皮膚開口部の下に広がる創腔
- 看護での意味
- 見た目より広い損傷、滲出液貯留、感染リスクを捉える
| 項目 | 見る対象 | 看護での意味 |
|---|---|---|
| D:Depth | 創内で最も深い損傷 | 表面より深い損傷、DDTI、深さ判定不能を見落とさない |
| E:Exudate | 滲出液量 | 炎症、感染、創面の水分バランス、被覆材管理の変化を捉える |
| S:Size | 見えている皮膚損傷範囲 | 同じ方法で縮小・拡大を追う |
| I:Inflammation/Infection | 局所炎症、臨界的定着疑い、局所感染、全身影響 | 感染への進行や全身化を見逃さず連携する |
| G:Granulation | 良性肉芽が占める割合 | 創床が治癒へ向かう状態か、停滞しているかを見る |
| N:Necrotic tissue | 壊死組織の有無と性状 | 治癒を妨げる組織と、深さが隠れている可能性を捉える |
| P:Pocket | 皮膚開口部の下に広がる創腔 | 見た目より広い損傷、滲出液貯留、感染リスクを捉える |
深さは最深部で判定し、DDTIとDUを混同しない
この章の要点深さは、創内の最も深い部分で評価します。治癒に伴って創底が浅くなれば、その時点で実際に相当する深さへ変更します。初回の深さを固定して書き続ける方式ではありません。
d0は皮膚損傷・発赤なし、d1は持続する発赤、d2は真皮までの損傷です。D3は皮下組織まで、D4は皮下組織を超え、D5は関節腔・体腔に至る損傷を示します。ここでの数字は深さの区分であり、総点には加えません。
特に重要なのがDDTIとDUの区別です。DDTIは、急性期の褥瘡で、皮下組織より深い組織の損傷が疑われる状態です。紫斑、暗い色調、浮腫、水疱、びらん、浅い潰瘍などの見た目に加え、周囲と比べた硬結、泥のような浮遊感、皮膚温の差、疼痛、長時間の圧迫歴を組み合わせます。視診だけで深部は見えないため、必要時は血液検査や画像検査などの補助データを医師と検討します。DDTIでは原則g0とし、合計点を予後予測に用いません。
DUは、黒色や黄色などの壊死組織に創底が覆われ、深さを判定できない状態です。「まだ浅い」という意味ではありません。壊死組織の下に深い損傷が隠れている可能性を前提に、全身状態、感染、循環、処置の適応をチームで判断します。
d0
- 定義
- 皮膚損傷・発赤なし
- 観察・報告の要点
- 治癒後を含む。再発リスクは別に評価する
d1
- 定義
- 持続する発赤
- 観察・報告の要点
- 圧迫歴、除圧後の変化、周囲との色・温度・硬さの差を確認
d2
- 定義
- 真皮までの損傷
- 観察・報告の要点
- びらん・浅い潰瘍、水疱を含む範囲と疼痛を確認
D3
- 定義
- 皮下組織までの損傷
- 観察・報告の要点
- 創縁と創底の段差、肉芽・壊死・ポケットを確認
D4
- 定義
- 皮下組織を超える損傷
- 観察・報告の要点
- 露出組織と感染徴候を含め、速やかに専門的評価へつなぐ
D5
- 定義
- 関節腔・体腔に至る損傷
- 観察・報告の要点
- 深部感染を含む全身への影響を評価し、医師・専門チームと連携
DDTI
- 定義
- 深部損傷褥瘡疑い
- 観察・報告の要点
- 発生経緯、視診、触診、必要な補助検査を統合。毎日再評価
DU
- 定義
- 壊死組織で覆われ深さ判定不能
- 観察・報告の要点
- 浅いと決めつけず、感染・循環・壊死の変化を報告
| 表記 | 定義 | 観察・報告の要点 |
|---|---|---|
| d0 | 皮膚損傷・発赤なし | 治癒後を含む。再発リスクは別に評価する |
| d1 | 持続する発赤 | 圧迫歴、除圧後の変化、周囲との色・温度・硬さの差を確認 |
| d2 | 真皮までの損傷 | びらん・浅い潰瘍、水疱を含む範囲と疼痛を確認 |
| D3 | 皮下組織までの損傷 | 創縁と創底の段差、肉芽・壊死・ポケットを確認 |
| D4 | 皮下組織を超える損傷 | 露出組織と感染徴候を含め、速やかに専門的評価へつなぐ |
| D5 | 関節腔・体腔に至る損傷 | 深部感染を含む全身への影響を評価し、医師・専門チームと連携 |
| DDTI | 深部損傷褥瘡疑い | 発生経緯、視診、触診、必要な補助検査を統合。毎日再評価 |
| DU | 壊死組織で覆われ深さ判定不能 | 浅いと決めつけず、感染・循環・壊死の変化を報告 |
滲出液・大きさ・ポケットは同じ条件で測って初めて比較できる
この章の要点経時変化を見るには、できるだけ同じ体位・同じ測定方法で評価します。数値が変わっても、姿勢や測り方、被覆材の吸収力が違えば、創の変化とは限らないからです。
滲出液は、ガーゼを貼付した場合を想定して量を判定します。実際のドレッシング材は吸収力が異なるため、「今使っている材料を何回交換したか」だけで機械的に決めません。1日1回でも外へあふれるならE6になり得ます。逆に1日2回交換していても、ごく少量しか付着しないならe1になり得ます。色、粘稠度、血性・膿性、臭い、前回からの増減は点数外でも報告価値があります。
大きさは、見えている皮膚損傷範囲の長径cm×長径に直交する最大短径cmで求めます。持続する発赤や水疱は範囲に含め、上皮化した部分と周囲皮膚の浸軟は含めません。これは創の正確な面積ではなく、区分のための積です。長径×短径の実測値も記録すると、同じ点数区分内の変化を伝えられます。
ポケットは、皮膚の開口部より外側へ広がる創腔です。毎回同じ体位で全周を確認し、「ポケットを含む外形の長径×短径」から「皮膚開口部の長径×短径」を差し引きます。無理な探索で損傷や出血を起こさないよう、施設手順と習熟者の指導に従います。
滲出液 E
- 表記と基準
- e0:なし/e1:少量・毎日の交換不要/e3:中等量・1日1回交換を要する/E6:多量・1日2回以上交換を要する
大きさ S(長径cm×短径cm)
- 表記と基準
- s0:皮膚損傷なし/s3:4cm²未満/s6:4cm²以上16cm²未満/s8:16cm²以上36cm²未満/s9:36cm²以上64cm²未満/s12:64cm²以上100cm²未満/S15:100cm²以上
ポケット P(外形の積-開口部の積)
- 表記と基準
- p0:なし/P6:4cm²未満/P9:4cm²以上16cm²未満/P12:16cm²以上36cm²未満/P24:36cm²以上
| 項目 | 表記と基準 |
|---|---|
| 滲出液 E | e0:なし/e1:少量・毎日の交換不要/e3:中等量・1日1回交換を要する/E6:多量・1日2回以上交換を要する |
| 大きさ S(長径cm×短径cm) | s0:皮膚損傷なし/s3:4cm²未満/s6:4cm²以上16cm²未満/s8:16cm²以上36cm²未満/s9:36cm²以上64cm²未満/s12:64cm²以上100cm²未満/S15:100cm²以上 |
| ポケット P(外形の積-開口部の積) | p0:なし/P6:4cm²未満/P9:4cm²以上16cm²未満/P12:16cm²以上36cm²未満/P24:36cm²以上 |
炎症・感染、肉芽、壊死は「一つの色」ではなく組み合わせて判断する
この章の要点炎症/感染は、創周囲と創面、患者の全身状態を合わせて判断します。I3CはI3と同じ3点でも意味が違うため、表記を省略せず伝えます。
i0は局所炎症徴候なし、i1は創周囲の発赤・腫脹・熱感・疼痛などの局所炎症ありです。I3Cは臨界的定着疑いで、創面のぬめり、多い滲出液、浮腫性で脆弱な肉芽などから疑います。明らかな膿がなくても、微生物負荷が治癒を妨げ、感染へ移りかけている可能性を意識する区分です。I3は炎症徴候、膿、悪臭など明らかな局所感染徴候、I9は発熱など全身的影響がある状態です。
創面に細菌が存在することと感染は同義ではありません。培養結果だけ、臭いだけ、疼痛だけで決めず、滲出液の増加や膿性・粘稠化、肉芽の浮腫・脆弱化・色調変化、周囲の発赤・腫脹・熱感、発熱、検査所見を総合します。知覚障害、意識障害、認知機能低下などがある人では、痛みの訴えが乏しくても感染を否定できません。
肉芽は、良性肉芽が創面に占める割合で評価します。良性肉芽は一般に赤く細顆粒状で、創を埋める治癒過程の組織です。浮腫性、暗赤色、白っぽい、触れると出血しやすいなどの不良肉芽は、良性肉芽の割合に含めず、炎症・感染や循環、外力、湿潤バランスなど他の所見と合わせて捉えます。
壊死組織は、n0がなし、N3が柔らかい壊死組織あり、N6が硬く厚く密着した壊死組織ありです。混在時は最も悪い部分だけでなく、全体として多い病態で判定します。ただし、急な拡大、波動、悪臭、滲出液増加などがあれば、点数にかかわらず感染や深部病変を疑って連携します。
炎症/感染 I
- 表記と基準
- i0:局所炎症なし/i1:局所炎症あり/I3C:臨界的定着疑い/I3:明らかな局所感染徴候/I9:全身的影響あり
肉芽 G
- 表記と基準
- g0:治癒、浅い創、DDTI/g1:良性肉芽90%以上/g3:50%以上90%未満/G4:10%以上50%未満/G5:10%未満/G6:良性肉芽なし
壊死 N
- 表記と基準
- n0:なし/N3:柔らかい壊死組織あり/N6:硬く厚く密着した壊死組織あり
| 項目 | 表記と基準 |
|---|---|
| 炎症/感染 I | i0:局所炎症なし/i1:局所炎症あり/I3C:臨界的定着疑い/I3:明らかな局所感染徴候/I9:全身的影響あり |
| 肉芽 G | g0:治癒、浅い創、DDTI/g1:良性肉芽90%以上/g3:50%以上90%未満/G4:10%以上50%未満/G5:10%未満/G6:良性肉芽なし |
| 壊死 N | n0:なし/N3:柔らかい壊死組織あり/N6:硬く厚く密着した壊死組織あり |
経時評価では総点より先に「どの項目がどう変わったか」を見る
この章の要点褥瘡の改善・悪化は、総点の上下だけでなく、各項目の変化を前回と比べて判断します。同じ17点でも、滲出液が減って肉芽が増えた創と、感染徴候が強まり壊死が増えた創では意味が異なります。
比較時は、評価日時、体位、長径・短径、ポケット測定条件、ドレッシング交換間隔、洗浄前後など、結果に影響する条件も残します。合計点が同じでも、Eが増えIが悪化し、Sが減ったため相殺されていることがあります。「前回14点、今回14点」だけでは、この危険な変化を見落とします。
評価頻度は全例一律ではありません。施設の褥瘡管理手順と治療計画に沿って定期評価し、急な変化があれば予定日を待たず再評価します。DDTI疑いは病態が短時間で変わり、真の深達度が後から明らかになるため、公式文書では毎日のフィジカルアセスメントが求められています。深さが明らかになった時点でDDTIから実際のd/DまたはDUへ変更します。
点数が低くても、深部損傷・感染・全身悪化は優先して報告する
この章の要点緊急性は、DESIGN-R®2020の合計点だけで決めません。DDTI、DU、I3、I9、急速な変化は、総点が高くなくても重要です。
発熱などの全身的影響、意識や循環・呼吸状態の悪化を伴う場合は、褥瘡感染の全身化を含む緊急病態を考え、直ちに医師へ報告し、施設の急変対応手順に従います。局所の発赤・腫脹・熱感や疼痛が急速に広がる、膿や強い悪臭が出る、滲出液が急増する、壊死組織の下に波動を触れる、創が急に拡大・深掘れする場合も、速やかに医師と褥瘡対策チームへ連携します。
DDTI疑いを見つけた場合は、圧迫・ずれを避け、医師へ報告し、毎日の再評価につなげます。DU、新しいポケット、壊死の増加、制御しにくい出血、新規または増強する痛みも、深部病変や感染、治療変更の必要性を示し得ます。I3Cでは明らかな膿がなくても、創面のぬめり、滲出液増加、脆弱な肉芽、治癒停滞をまとめて報告し、創管理の見直しを相談します。
一律の「合計○点以上で医師報告」という公式基準は確認できません。所属施設の基準があればそれに従い、基準がない場合も全身状態と危険な局所変化を優先します。
報告は「事実→前回との差→臨床上の心配→依頼」で組み立てる
この章の要点伝わる報告では、スコアを読み上げるだけでなく、観察した事実と変化を先に示します。受け手が、緊急度と次に確認すべきことを判断できる情報をそろえます。
最初に患者、部位・左右、発見または評価日時、発生経緯を示します。次に、DESIGN-R®2020の全表記と合計点、長径×短径cm、滲出液の量・性状・臭い、創面と周囲皮膚、疼痛、皮膚温・硬さ、ポケットの方向と広がりを伝えます。写真を共有する場合は、同意、施設手順、個人情報保護、撮影条件を守ります。
続いて「前回いつ、何点・何cmで、今回は何が変わったか」を示します。最後に、体温などのバイタルサイン、意識、食事・水分摂取、循環や感染に関する既知の検査所見、実施済みの除圧・体位・被覆の状況を添え、「本日中の診察」「深部損傷や感染の評価」「処置・除圧計画の再検討」など、何を依頼したいかを明確にします。
同定
- 伝える内容
- 部位・左右、初発/再発、発見・評価日時
背景
- 伝える内容
- 長時間の同一体位、手術、意識障害、移乗、機器、除圧状況など
現在の創
- 伝える内容
- DESIGN-R®2020全表記と総点、実測cm、滲出液、創面、周囲皮膚、疼痛、ポケット
変化
- 伝える内容
- 前回日時・表記・総点・実測値と、悪化/改善した項目
全身
- 伝える内容
- バイタルサイン、意識、全身症状、既知の検査結果、基礎疾患・知覚障害など
実施済み
- 伝える内容
- 除圧、体位調整、機器確認、既存指示内の創保護と再評価
依頼
- 伝える内容
- 診察、専門チーム評価、検査や治療計画の再検討など
| 報告要素 | 伝える内容 |
|---|---|
| 同定 | 部位・左右、初発/再発、発見・評価日時 |
| 背景 | 長時間の同一体位、手術、意識障害、移乗、機器、除圧状況など |
| 現在の創 | DESIGN-R®2020全表記と総点、実測cm、滲出液、創面、周囲皮膚、疼痛、ポケット |
| 変化 | 前回日時・表記・総点・実測値と、悪化/改善した項目 |
| 全身 | バイタルサイン、意識、全身症状、既知の検査結果、基礎疾患・知覚障害など |
| 実施済み | 除圧、体位調整、機器確認、既存指示内の創保護と再評価 |
| 依頼 | 診察、専門チーム評価、検査や治療計画の再検討など |
学習例では「17点」ではなく、悪化した中身まで伝える
この章の要点学習例でも、17点という総点だけでなく、悪化した項目と実測値を伝えます。次は理解のための架空の学習例であり、実在患者の事例ではありません。
仙骨部褥瘡を同じ側臥位で評価したところ、3.0×2.0cm、滲出液は1日1回の交換を要する中等量、創周囲に発赤と熱感、良性肉芽は創面の約30%、柔らかい壊死組織あり、ポケットなしでした。評価は「D3-e3s6i1G4N3p0:17」です。前回は「D3-e1s6i0g3n0p0:10」で、サイズ区分は同じでも、滲出液、炎症、肉芽、壊死が悪化しています。
報告例は次のようになります。「仙骨部褥瘡を本日10時、前回と同じ側臥位で評価しました。D3-e3s6i1G4N3p0、17点、3.0×2.0cmです。3日前の10点から、滲出液が少量から中等量へ増え、周囲発赤と熱感、柔らかい壊死組織が新たにみられます。良性肉芽は約30%へ低下しました。体温と全身状態は現在○○で、除圧は○○を実施しています。感染を含む悪化の評価と、本日の創管理計画の確認をお願いします」。○○には実際に確認した事実だけを入れます。
この例の要点は、点数上昇そのものより、E・I・G・Nが同時に悪化したことです。実測値、全身状態、実施済みの対応までそろえると、次の判断につながります。
患者・家族には「見た目より深い可能性」と「変化を追う理由」を説明する
この章の要点患者・家族には、スコアの数字だけで不安を与えず、観察の目的を具体的に説明します。特にDDTI疑いでは、表面が浅く見えても深部損傷が隠れる可能性があり、時間とともに本当の深さが明らかになることを伝えます。
たとえば「今は皮膚表面だけでは深さを確定できません。圧がかからないようにし、色、硬さ、温度、痛み、傷の広がりを毎日確認します。変化に応じて医師と処置を見直します」と説明します。DUなら「壊死組織で創底が見えないため、浅いと判断せず、感染や全身状態も含めて評価します」と伝えます。
感覚が低下している人には、痛みがなくても悪化がないとは限らないことを説明します。自分で伝えられる人には、痛みの増加、熱っぽさ、悪臭、被覆材から漏れるほどの滲出液、発熱やだるさなど、早く知らせてほしい変化を患者本人の言葉に置き換えて共有します。
DESIGN-R®2020の点数は治療指示でも個人の予後確定でもない
この章の要点DESIGN-R®2020は、創の状態を標準化して経過を追うための道具です。点数だけで薬剤、被覆材、デブリードマン、手術を決めるものではありません。
同じ総点でも問題の内訳は異なり、患者の循環、栄養、活動性、疼痛、感染、基礎疾患、治療目標、療養環境によって判断が変わります。処置は医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、褥瘡対策チーム、薬剤師、栄養職、リハビリテーション職などと連携し、適応・禁忌・患者の希望を確認して決めます。
また、DDTI疑いでは合計点を予後予測に利用できません。検査も、単独で深さや感染を確定する万能なものではありません。画像、血液検査、培養は、発生経緯、視診、触診、全身状態と組み合わせて医師が必要性を判断します。
褥瘡の段階を伝える要点は「全表記・実測・変化・全身状態」
この章の要点「褥瘡は何段階か」と聞かれたら、深さや総点だけで終えず、DESIGN-R®2020の全表記と内訳を伝えます。Dは最深部、Eは滲出液、Sは見えている損傷範囲、Iは炎症/感染、Gは良性肉芽、Nは壊死、Pはポケットです。
測定は同じ条件で繰り返し、実測cmと前回からの変化を残します。DDTIとDU、I3CとI3は意味が異なります。総点が低くても、深部損傷疑い、感染徴候、急速な拡大、全身悪化があれば優先して報告します。
最終的に看護が届けるべき情報は、「何点だったか」ではなく、何が、いつから、どう変わり、何を心配しているかです。その情報が、除圧、診察、検査、創管理、患者説明を適切なタイミングでつなぎます。
学習メモ・復習の予定気づきを自分の言葉で残す+
わかったこと、まだ曖昧なこと、次に調べたいことを残せます。
学びを、もう一度
復習日になると、ホームと復習リストで確認できます。
次に見返す日を決める
この記事の編集方針
主要な定義・数値・推奨は、公開時点で確認できるガイドライン、公的資料、学会資料、査読論文を優先して確認しています。未確認の編集メモは公開せず、根拠の範囲や限界を区別して、読者が原資料を確認できるよう参考資料を掲載します。
詳しい編集方針を見る →参考にした資料
- 褥瘡状態評価スケール 改定DESIGN-R®2020 コンセンサス・ドキュメント一般社団法人 日本褥瘡学会(発行所:株式会社照林社)・2020年原文PDFのp.3~30にある該当箇所および付録を確認。7項目、合計0~66点、採点・測定方法、DDTI・DU、I3C、毎日のDDTI再評価、判断の限界を見出し1、3~8、11~13に使用。原資料を開く
- DESIGN-R®2020 褥瘡経過評価用一般社団法人 日本褥瘡学会・2020年公式1ページ評価票の全項目と脚注を確認。各区分、点数、長径・短径、深さを合計に含めないこと、DDTIの判断、I3C/I3の点数を見出し3~6に使用。原資料を開く
- 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)公益社団法人 日本皮膚科学会・2023年原文PDFの第2章、第4章、解説1、3、5、6を確認。鑑別、DDTIの観察・検査の限界、感染の総合判断、DESIGN-R®2020の位置づけと経過評価を見出し2、4、6~8、11、12に使用。治療のCQは本記事の中心ではないため、個別の薬剤・処置指示には転用していない。原資料を開く
残り2件の参考資料を見る原資料・発行元・発行年を確認できます+
- 褥瘡について一般社団法人 日本褥瘡学会・記載なし(2026年9月14日参照)褥瘡の一般向け定義と、圧迫により血流が悪化して皮膚・組織損傷が生じる説明を見出し1に使用。原資料を開く
- 褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版(Mindsガイドラインライブラリ書誌)一般社団法人 日本褥瘡学会(発行元:株式会社照林社、Minds掲載:公益財団法人日本医療機能評価機構)・2022年第5版、発行日、Mindsの最新版表示を確認。本文は公開準備中のため、臨床的主張の根拠には使用していない。日本褥瘡学会の出版物ページで2023年第3刷の補訂も確認した。
実践時は最新情報と所属施設の手順をご確認ください。